【目次】
・医師に聞いた睡眠と自律神経の疲れの関係
・睡眠の質を高める方法が知りたい
医師に聞いた睡眠と自律神経の疲れの関係
まずはチェックしてみよう!
教えてくれたのは… 医学博士・医師:梶本修身先生
(大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長)
■隠れ睡眠負債チェックテスト
□電車でよくうたた寝をする
□布団に入るとすぐに眠りに落ちる
□いびきをかいて寝ている
□朝は目覚まし時計で起床する
□パジャマが寝汗でびっしょりになる
□起きてから4時間後に眠気を感じ始める
□休みの日は昼まで寝る
□風邪をひきやすい
□ケアレスミスが多い
□やる気が出ない
睡眠不足で疲れをためていませんか? 3つ以上当てはまる人は要注意です!
睡眠が足りないと体の中で何が起きるの?
■疲れを回復することが必要不可欠
起きている間の疲れを回復させるために必要な睡眠。すべての疲れの正体は“自律神経”の中枢が疲れることです。
運動なら心拍や呼吸・体温の調整、デスクワークなら緊張の維持や目のピント調節などの司令塔でもある自律神経の疲れは、睡眠でしか回復できません。
眠りは「量×質」が重要。長さだけでは十分な睡眠かどうか判断できないんです。毎日6時間睡眠している人より、質がよくない10時間睡眠の人のほうが寿命が短いというデータもあるんですよ。
■注意力が低下する原因にも
個人差はありますが、6時間睡眠が10日以上続くと徹夜明けと同じくらい注意力が落ちてミスが増えるといわれています。
どのくらい落ちるかというと、酎ハイを7〜8杯飲んだときの作業効率と同じくらい。また、睡眠不足が5日間続くだけで、不安や抑うつが強まるという最新の研究結果も出ています。寝不足によって自律神経に疲れがたまると、睡眠の質も悪くなるんですよ。
■アラサー以降は睡眠不足から回復しにくくなる?
2〜3日の睡眠不足なら、その後じっくり休むことで取り戻せます。
しかし、それ以上続くと生理不順などホルモン異常を引き起こすこともあります。しかも、女性の場合は30歳になると、自律神経の機能が20歳のときの3/4程度にパワーダウンするんです。
寝不足で起こりやすい症状
教えてくれたのは… パラマウントベッド睡眠研究所の:木暮貴政さん
■その疲れ、睡眠不足が原因かも?
睡眠時間が不足すると痛みに対して敏感になりやすく、寝つけない原因にも。夜中に目が覚めたり、ぐっすり眠った気がしないという人は、一年後に首痛や肩痛・腰痛になるリスクが高まるという研究結果も出ています。
さらに、慢性的な疼痛を持つ人が睡眠の質を高めることで、痛みの症状が改善するケースも多いとされます。
情報提供:パラマウントベッド睡眠研究所
腰痛や肩こり… それって睡眠不足のせいかも!? 解消への第一歩は、睡眠を計ること!
睡眠の質を高める方法が知りたい
不安はさらなる不眠を引き起こしがち
■仕事でミスが多いとき
「また会社で怒られた…」落ち込んで不眠になりがちなときこそ、普段より多く睡眠時間をとることがおすすめ。良質な睡眠は心身を修復し、脳の休息、記憶や情報の整理に役立ちます。
眠ることで扁桃体を十分に休息させると、その出来事自体を忘れなくても、嫌な感情はきれいに整理してくれます。逆に睡眠不足の場合は、嫌な感情が次の日に持続することも。
仕事でミスが多い人の特徴と対策とは? ミスから立ち直る方法も紹介!
寝つきをよくする方法-1
教えてくれたのは… 池谷医院院長 医学博士:池谷郎先生
(東京医科大学循環器内科客員講師。日本循環器学会循環器専門医)
■寝つきをよくする習慣
1. ゆったりした衣服を着用するようにしましょう。
衣服をうまく活用して、体から出る熱と汗を上手に逃がすようにするのが重要です。吸汗・速乾に優れた素材や、ゆったりして通気性がよい衣類を選びましょう。
2. 寝る前にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。
睡眠中の脱水状態を防ぐため、就寝前に冷たい水をコップ1杯分飲むのがおすすめ。ただし、アルコールは脱水を促し、利尿作用もあるため体から水分を奪って危険なので控えましょう。
【名医が教える!】夏の朝、疲れが取れない・起きられない…原因や対策は?
睡眠の質を高める食べ物
■おすすめは夜もやし!
■サラダコスモ|GABA 子大豆もやし 200g
睡眠の質を上げるためにはGABAを摂取することもオススメです。GABAは、穀物や野菜・果実などに含まれるアミノ酸。ノルアドレナリンの分泌を抑制する働きがあり、交感神経の働きを抑えて副交感神経を優位にすることで、安眠効果が期待できます。
「寝る30分前にGABAを食べることで睡眠の質が高まった」という研究もあるので、夜もやしがおすすめなのです。
【名医が教える!】夏の朝、疲れが取れない・起きられない…原因や対策は?
寝つきをよくする方法-2
教えてくれたのは… 一般内科医:成田亜希子先生
(日本内科学会。日本感染症学会。日本公衆衛生学会所属)
■寝つきがよくなる方法って?
就寝30分くらい前から音楽を聴くこと。
ですが、単に好きな音楽を聴けばよいというわけではなく、ポイントがあります。心身のリラックスをもたらす副交感神経を優位に働かせ、脳内で眠気をいざなうセロトニンという物質が産生されることによって引き起こされるのが、自然な睡眠です。
このため、自然な眠気を誘いながら速やかな寝つきを引き起こすために、心身がリラックスできるような音楽を聴くことが勧められるのです。
おすすめなのは、スローテンポで音の数が多くないクラシック音楽。有名どころでは、パッヘルベルの「カノン」やラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」など。弱い音量でかけ流し、眠ったあとで目が覚めてしまわないよう、タイマーをかけましょう。
冷え性の人の対策
\引き続き、成田亜希子先生にお聞きします/
■冷え性なので靴下をはいて寝たい
実は、靴下をはいて眠ることで知らず知らずのうちに汗をかき、かえって足先が冷えてしまうことがあります。朝起きた時に足が冷えているという人も、睡眠時は靴下を履くのは控えた方がよいでしょう。
※特にきついゴムが入った靴下は、冷え性によるむくみを助長させることがありますので、注意が必要です。
夏でも冷え性! 1年中OLを悩ませるその正体は? 女医が回答。
肩こりがひどい場合
■枕が合わず深く眠れないことも
十分な睡眠や休息をとっているはずなのに肩こりが改善しない場合は、枕やベッドマットなどの寝具が身体に合っていない可能性があります。睡眠中は副交感神経が働くため、全身の血管が拡張して血行が良くなります。
そのため、肩こりは良質な睡眠をとることである程度は改善します。ただし、睡眠中に首や肩に負担がかかっているなど十分にリラックスできていない状態が続くと、肩こりが改善しないどころか、起床時に強いこりを感じることも少なくありません。
どのくらい眠ればスッキリ起きられる?
■人間の理想の睡眠時間
個人差はありますが、理想的なのは7時間前後の睡眠とされています。私たちの睡眠にはサイクルがあり、おおよそ90分の間隔で「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しています。
ノンレム睡眠は深い眠りで脳と身体をしっかり休める睡眠。45分ほど続いたあとは「レム睡眠」へと移行します。レム睡眠は身体は休んでいるものの脳は活動している状態。つまり、眠りが浅い状態です。また45分ほど続いたあとは再び「ノンレム睡眠」に移行します。
■スッキリ目覚めるためには?
身体も脳もしっかり休めるには十分な「ノンレム睡眠」をとることが必要。朝すっきりと目覚めるには「レム睡眠」の最中に起きるのがよいとされています。