【目次】
・睡眠不足は大きなストレスのうちの一つ
・【睡眠チェック】しっかり眠れているか確認!
・【寝不足による影響】睡眠が足りないと体はどうなる?
・【睡眠トラブルの対策】深く眠るために
・最後に
睡眠不足は大きなストレスのうちの一つ
忙しい毎日を過ごすOggi世代の女性には、睡眠が足りておらず疲れがたまっているという人も多いようです。寝不足は日中のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすので、なるべく避けたいものですよね。今回は「睡眠不足」をテーマに、自身の眠りについて振り返り、睡眠トラブルを解消するための対策方法について確認していきます。
〈POINT〉
・睡眠不足はチェックできる
・寝不足は身体に悪影響をもたらす
・トラブル回避は生活習慣の見直しにあり!
【睡眠チェック】しっかり眠れているか確認!
「なかなか眠れない。寝つけない」という人もいれば「寝つきも良くちゃんと寝てるのに疲れが抜けない」という人も。“睡眠不足状態”にはどんな特徴があるのでしょうか? 心当たりのある人は、チェックリストで確認してみましょう。
◆まずは睡眠チェックをしてみよう!
\教えてくれたのは…/
東京疲労・睡眠クリニック 院長:梶本修身先生
(医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授)
■隠れ睡眠負債チェックテスト
下記のような状態が起きている人は睡眠不足かも!
□ 電車でよくうたた寝をする
□ ベッドに入るとすぐに眠りに落ちる
□ いびきをかいて寝ている
□ 朝は目覚まし時計で起床する
□ パジャマが寝汗でびっしょりになる
□ 起きてから4時間後に眠気を感じ始める
□ 休みの日は昼まで寝る
□ 風邪をひきやすい
□ ケアレスミスが多い
□ やる気が出ない
3つ以上当てはまる人は要注意です。
◆疲れやすいのは睡眠不足が原因かも?

\教えてくれたのは…/
パラマウントベッド睡眠研究所・木暮貴政さん
睡眠時間が不足すると痛みに対して敏感になりやすく、寝つけない原因にも。夜中に目が覚めたり、ぐっすり眠った気がしないという人は「一年後に首痛や肩痛・腰痛になるリスクが高まる」という研究結果も出ています。
さらに、慢性的な疼痛を持つ人が睡眠の質を高めることで、痛みの症状が改善するケースも多いとされています。
情報提供:パラマウントベッド睡眠研究所
腰痛や肩こり… それって睡眠不足のせいかも!? 解消への第一歩は、睡眠を計ること!
【寝不足による影響】睡眠が足りないと体はどうなる?
睡眠不足になると身体が休まらず、パワーチャージも出来ないイメージがありますよね。では、実際に睡眠不足になるとどのような悪影響があるのでしょうか? 「意外だな」と思う影響もあるかもしれません。確認しておきましょう。
◆眠りの質が低下することによる美容や感情への影響3つ
睡眠不足は心身にどんな影響を与えるのでしょうか?
\教えてくれたのは…/
睡眠コンサルタント・友野なお先生
・肌荒れ
肌が新しく生まれ変わるためには、肌の内部で細胞分裂が起こることが必要ですが、この細胞分裂は、睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで促進されます。
・肥満
睡眠時間と肥満の関連性は様々な研究(※)から報告されています。睡眠不足が食欲ホルモンの分泌や空腹感の増大を招き、食行動に影響することがあります。
※2017早稲田大学、花王株式会社共同研究、2016筑波大学など
・冬季うつ(季節性感情障害)
日照時間の少ない冬は、脳の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌が減少する傾向にあり、精神の安定や自律神経のバランスを崩しやすくなります。
睡眠不足によって肌荒れや肥満も? 不眠解消には朝に身近なアノ果物がおすすめ♡
◆睡眠不足は注意力が低下しやすい状態に
\教えてくれたのは…/
東京疲労・睡眠クリニック 院長:梶本修身先生
個人差はありますが、6時間睡眠が10日以上続くと徹夜明けと同じくらい注意力が落ちてミスが増えやすいといわれています。
どのくらい落ちるかというと、酎ハイを7〜8杯飲んだときの作業効率と同じくらい。また、睡眠不足が5日間続くだけで、不安や抑うつが強まるという研究結果も出ています。寝不足によって自律神経に疲れがたまると睡眠の質も悪くなるのです。
■アラサー以降は睡眠不足から回復しにくくなるって本当?
2〜3日の睡眠不足なら、その後じっくり休むことで取り戻せます。
しかし、それ以上続くと生理不順などホルモン異常を引き起こすこともあります。しかも女性の場合は30歳になると、自律神経の機能が20歳のときの3/4程度にパワーダウンするので注意が必要です。
【睡眠トラブル対策】深く眠るために
睡眠不足が体にも日中のパフォーマンスにも多くの影響を及ぼすということが分かりました。この章では睡眠不足の対策方法を確認していきましょう。睡眠トラブルを解消するためのカギは「生活習慣を見直すこと」。簡単に実践できるものが多いので、早速今日から試してみて。
◆朝すっきり起きる対策

■人間の理想の睡眠時間
個人差はありますが、理想的なのは7時間前後の睡眠とされています。私たちの睡眠にはサイクルがあり、おおよそ90分の間隔で「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しています。
・ノンレム睡眠とは?
深い眠りで脳と身体をしっかり休める睡眠。45分ほど続いたあとは「レム睡眠」へと移行します。
・レム睡眠とは?
身体は休んでいるものの脳は活動している状態。つまり、眠りが浅い状態です。また45分ほど続いたあとは再び「ノンレム睡眠」に移行します。
■スッキリ目覚める対策
身体も脳もしっかり休めるには十分な「ノンレム睡眠」をとることが必要。朝すっきりと目覚めるには「レム睡眠」の最中に起床するのがよいとされています。
◆安眠するための対策4つ

・規則正しい生活を送る
良質な睡眠に関与する「メラトニン」の分泌を安定させるためにも、起床・就寝時間は規則正しく、起床時にはカーテンを開けてしっかりと日光を浴びることが大切です。
・食事は就寝3時間前までに
就寝前に食事を摂ると、入眠時に胃や腸が活発に動いた状態となるため、睡眠が浅くなってしまうことがあります。また、脂肪分が多い食事は消化に時間がかかるため、夕食時はほどほどにすることも大切です。食事は、就寝の3時間前までに済ませ、入眠時は心身ともに休める体制を整えましょう。
・ストレスをためない
ストレスは交感神経を刺激して入眠や熟眠を妨げることがあります。日常生活からストレスを完全に排除することはできませんが、ストレスを発散できるような趣味を持ったり、就寝前にアロマを焚くなどして心を穏やかに就寝できるよう心がけましょう。
・就寝前のスマホやパソコンは控える
スマホやパソコンの画面から放たれるブルーライトは、脳を活性化させ入眠を妨げる作用があります。就寝前はスマホやパソコンなどをいじらないようにしましょう。
◆生活の中で“光”を意識
前章で「日照時間の短い冬は自律神経のバランスが崩れやすくなる」という解説がありました。“光”をどのように意識したら良いのでしょうか?

光の中でも特に重要なのが『朝の光』。人は朝起きて光を浴びることで体内時計がリセットされ、朝日を浴びてから14〜16時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が増えて眠くなってきます。快眠の準備は朝から始まっているのです。
日が沈むと脳は夜だと判断して「メラトニン」を分泌します。そのため、寝る3時間くらい前からは強い光や、PC・スマホなどのブルーライトを避け、関節照明を利用するのが効果的です。
◆睡眠前のカフェイン摂取を控える
睡眠を妨げるものの代表がカフェイン。コーヒー・玉露・エナジードリンク・紅茶・ウーロン茶などのカフェインの積み重ねで、結構な量になっていることも。1日300mgを目安にし、寝る4~5時間前のカフェイン摂取は避けましょう。
◆決まった時刻に寝て決まった時刻に起きる
\教えてくれたのは…/
東京睡眠医学センター長・遠藤拓郎先生
(医学博士。睡眠学会認定医師。日本精神神経学会 精神科専門医)
それぞれのライフスタイルによって睡眠をとる時間帯はバラバラでも、同じ時刻に寝て同じ時刻に起きることが大切。そうすることで、ホルモンや体温調整のリズムが、決まった時刻に合うように調整されて睡眠の質が上がるのです。
■ワンポイントアドバイス
最も熟睡できるという時刻が「午前0時〜午前6時」の間! 仮に睡眠時間が4時間しかとれない場合でも、睡眠時刻をなるべくこの時間帯に近づけるようにしましょう。
少ない睡眠時間でも疲労回復! 睡眠のプロが教える【驚きの快眠法】
◆朝にバナナを食べる
睡眠コンサルタントの友野なお先生に、良質な睡眠を促す「睡眠ホルモン」について教えていただきました。
良質な睡眠には、メラトニン・セロトニン・トリプトファンの分泌が大切です。
メラトニンは別名“睡眠ホルモン”。このメラトニンの分泌を促すのが“セロトニン”で、さらにこれを生み出すのが“トリプトファン”という必須アミノ酸です。つまりこのトリプトファンの摂取が『睡眠』にとって重要なのです。
ただしトリプトファンは体内で合成することができず、食べ物から摂取する必要があります。そして「トリプトファンを多く含む食材を摂取すればいい」というわけでもなく、トリプトファンのほかに「炭水化物」「ビタミンB6」を組み合わせることが重要。
この3つをバランスよく摂取できるのが「バナナ」なんです。さらに、効率よく摂取するには「朝」食べるのがおすすめ。朝にトリプトファンを摂取することで昼間の意欲的な活動が後押しされ、メラトニン分泌という側面だけでなく、日中を活動的に過ごせて上手に疲れることができるという点からも、快適な眠りが後押しされます。
睡眠不足によって肌荒れや肥満も? 不眠解消には朝に身近なアノ果物がおすすめ♡
◆タンパク質の多い食品を摂る
バナナ以外に、赤身の魚や肉・卵などタンパク質の多い食品にも「トリプトファン」が多く含まれています。アーモンドやアボカド類にも豊富。寝る前のホットアーモンドミルクなども安眠に効果的です。
◆湯船に浸かる

シャワーだけでは体を温めたり、血流を改善させたりすることができず、寝る前に体が冷えて睡眠障害につながりやすくなります。
湯船に浸かることで血液がお湯の熱を全身に流してくれるため、体の芯から温まります。人は体温がストンと下がるときに眠りにつくようになっているので、体温が低いままだとそれ以上は下がらず「冷えて眠れない」ということが起きてしまうのです。
もしかして「シャワー」が原因? じっくり入浴で「睡眠障害」と決別しよう
◆睡眠の30分前までに入浴する
入浴後、すぐにベッドに入ってしまうと体が火照って深部の体温が下がりにくくなります。かえって眠れない原因になってしまうので、入浴は睡眠の30分前までには済ませましょう。
◆寝つきをよくする対策2つ
\教えてくれたのは…/
池谷医院 院長・池谷郎先生
(医学博士。東京医科大学循環器内科客員講師。日本循環器学会循環器専門医)
・ゆったりした衣服を着用
衣服をうまく活用して、体から出る熱と汗を上手に逃がすようにするのが重要です。吸汗・速乾に優れた素材や、ゆったりして通気性がよい衣類を選びましょう。
・寝る前にコップ1杯の水を飲む
睡眠中の脱水状態を防ぐため、就寝前に冷たい水をコップ1杯分飲むのがおすすめ。ただし、アルコールは脱水を促し、利尿作用もあるため体から水分を奪って危険なので控えましょう。
【名医が教える!】夏の朝、疲れが取れない・起きられない… 原因や対策は?
◆睡眠薬は最終手段

\教えてくれたのは…/
一般内科医・成田亜希子先生
(日本内科学会・日本感染症学会・日本公衆衛生学会所属)
不眠の治療は現在、眠気を誘う脳内物質を調整する睡眠薬や不安などを和らげる抗不安薬などを用いた薬物療法が主体になっています。
これらは薬の作用によって人為的に眠気を引き起こしたり、心の乱れをストップさせたりすることで睡眠の改善を目指していますが、依存性や副作用が心配されているのも事実です。
まずは生活習慣の改善を行いつつ漢方薬を服用するなどし、それでもダメならクリニックなどで相談して、適切に服用するのが良いかもしれませんね。
最後に
健やかに生きる上で大切な睡眠。睡眠不足が気になっている人におすすめの習慣や対策を紹介しました。日本人は勤勉で真面目な人が多く、仕事に費やす時間が長くなるため、睡眠不足になりがちというデータもあります。睡眠時間と質、両面において改善していけるよう、今回紹介した対策法を取り入れてみてくださいね。
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