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2023.08.19

スマホ認知症の予防にも! 「ぼんやりタイム」で脳の疲れが改善!?【医師が解説】

今回ピックアップするのは、脳の疲れを改善する「ぼんやりタイム」について。書籍 『スマホ脳の処方箋』(著者:奥村 歩/あさ出版)から、スマホと上手に付き合う方法を紹介。

スマホはあなたの生活を本当に豊かにしている?

スマホは今や私たちの日常生活から切っても切り離せない電子ツール。

連絡手段として用いるだけでなく、旅先で目的地までの道のりを検索したり、電子書籍や映画、ネットショッピングを楽しんだり、SNSで情報収集・発信をしたり……。

スマホ1台でこんなにたくさんのことが行えるのだから、朝起きてから就寝直前まで肌身離さずに生活を送っているという人も少なくないはず!

このようにスマホによって生活の利便性が向上することで、私たちに大きな恩恵を与えてくれているのは紛れもない事実。

スマホを触る女性
(c)Adobe Stock

でも一方で、私たちの健康への影響について考えると、負の側面ともいえる事態が発生していることも無視できません。

「私はもの忘れに悩む人を対象にした『もの忘れ外来』で診療しておりますが、医療の最前線に立っている者として、このスマホによる健康問題は日に日に深刻化しているように感じています。

特に、これまでは高齢者を中心とした患者さんが大半を占めていましたが、最近は30~50代の患者さんが急増。そのほとんどがスマホを原因とした、認知症のようなもの忘れを発症して来院されます」

そう警鐘を鳴らすのは、日本認知症学会専門医・指導医の奥村 歩先生

しかし、奥村先生によると、これまでの診療経験と医学的根拠から、スマホ依存による体調不良は生活習慣を見直すことで改善できることがわかっているという。

スマホ=悪ではありません。どんなに素晴らしいツールでも、正しく付き合っていくことが大切ですよね!

そこで今回は、奥村先生の著書『スマホ脳の処方箋』から、スマホと脳過労の関係や生活改善テクニックをご紹介! 数回にわたってプチ連載形式でお届けします。

前回の記事はこちら>>「スマホうつ」って!? スマホ酷使によりうつ病のリスクが高まる?

ぼんやりすることは脳によい影響を与える

前回の記事で、スマホの酷使によりうつ病のリスクが高まることについて解説しました。さらにスマホ依存症は、脳過労により「スマホ認知症」を発症させる可能性が。

これらを予防するためには、自分の脳過労を自覚して脳をメンテナンスすることが大切。

では、どうやって脳のメンテナンスをすればよいのか、そのためのヒントになるのが「ぼんやりタイム」

人間の脳には、デフォルトモード・ネットワークと呼ばれる特殊な機能があり、頭をボーっとさせる「ぼんやりタイム」でその特殊な機能が働きます。

ソファに座る女性
(c)Adobe Stock

そしてこのデフォルトモード・ネットワークが機能すると、脳を省エネモードに切り替えて、スマホ依存によって引き起こされた脳過労の改善につながる働きをします

そもそもスマホ依存による脳過労を改善するには、1. スマホをできる限り使わないようにする、2. 脳が本来持っている回復機能を働かせるという2つのアプローチが大切になります。

そうすることで、脳に疲れが溜まりづらくなるからです。

デフォルトモード・ネットワークは、起動させるために1.の条件を満たす必要があり、その主な役割は2.となります。ですから、脳過労を改善させるのに最適な方法というわけです。

デフォルトモード・ネットワークは計算をしたり考え事をしたり、頭の中で特定の作業をすると、速やかに活動を停止してしまいます。

つまり、デフォルトモード・ネットワークはぼんやりしているときにしか機能しないということ。

「ぼんやりタイム」を私たちはついつい忌避しがちですが、脳科学的にはとても重要な時間なのです!

* * *

冒頭の「スマホはあなたの生活を本当に豊かにしている?」の問いに自信をもって「イエス!」と答えられる生活を送るためにも、ぜひ本書を参考に生活習慣の改善を実践してみてくださいね!

TOP画像/(c)Adobe Stock

『スマホ脳の処方箋』(著者:奥村 歩/あさ出版)

近年、働き盛りの方々をふくめて体調不良をうったえる外来が増えているという。その原因はズバリ、スマホ。認知症に似た症状であるが、「脳疲労(脳過労)」によるもの。その原因は「脳内エネルギー」の枯渇によるもの。

一昨年『スマホ脳』がベストセラーとなり、スマホと脳との関係が話題になった。しかし、その数年前から、著者はスマホと脳との関係を医学的見地から注目していた。最近ではもの忘れはもちろん、「うつ」リスクが3倍になることを指摘している。

スマホはビジネスでは手放せないものとなり、もはや、「いかにスマホと上手に付き合うか」という時代に入ったといえる。本書では、普段の日常生活における、無理のない上手な付き合い方を「もの忘れ外来」「認知症・鬱」の専門家が解説。

また、うつは認知症に移行する可能性が大きいことも紹介するとともに、うつがいかに健康を害するリスクが高いこともお伝えする。

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