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「アシュタンガヨガ」って、どんなヨガ?
ヨガに興味を持ったとき、ヨガスタジオのホームぺージやYouTubeなどで、その内容を検索することは多いでしょう。ベーシックヨガ、リラックスヨガ、腸活ヨガ、美脚ヨガ…のように目的や運動強度が想像しやすいものがある一方で、「一体何をするんだろう?」と疑問に思うタイトルはありませんか?
その代表例のひとつが、今回のテーマ「アシュタンガヨガ」です。
“運動量が多く、ダイエットに効果的”や“アシュタンガヨガで体型が変わった・痩せた”なんていう口コミもあるけれど、本当のところは…?

決まったポーズを順番通りにおこなう「アシュタンガヨガ」
ヨガにはさまざまな流派がありますが、現代おこなわれているほとんどがハタヨガといわれる伝統的なヨガが基になったものです。ハタヨガは、肉体的なアーサナ(ポーズ)と呼吸法に重点を置き、心をリラックスさせ、精神面のバランスを整えることを主な目的としています。
正式名称「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ」もまた、ハタヨガが基になったもののひとつ。ところがこの「アシュタンガヨガ」、練習するポーズやルールの自由度が高いハタヨガとは違い、決まったポーズを順番通りにおこなっていくという大きな特徴があるんです。
具体的には、独特な呼吸法「ウジャイ呼吸」を用いながら、ほかの流派でもヨガ初心者さんから経験することの多い「太陽礼拝」に始まり、立位のポーズ、座位のポーズ、逆転のポーズ、最終ポーズまで途切れることなく体を動かしていきます。
ほかにも練習前に食事をしない・シャワーを浴びる、練習中に水を飲まない―など、伝統を重んじるルールがあるのが「アシュタンガヨガ」なんです。
ざっくりまとめると…呼吸とともに決まったポーズを順番通りにおこなうダイナミックで運動量の多い「アシュタンガヨガ」は、エネルギッシュな内容で展開していくため、ヨガ経験者や運動習慣のある人に特におすすめ。
ということは、ヨガ初心者さんには難しいのかというとそうではありません! 「アシュタンガヨガ」でおこなう「ウジャイ呼吸」と「太陽礼拝」は、集中力UPや体力作り・ボディバランスを整えるのに効果的なので、次の項で詳しく解説していきます。
集中力が高まる「ウジャイ呼吸」のやり方
「ウジャイ呼吸」は、鼻から吸って鼻から吐く胸式呼吸です。
「ウジャイ」=「勝利」の意味があり、勝利の呼吸法といわれることもあります。期待される効果は血行促進や内臓の活性化、集中力アップ。呼吸中の姿勢に決まりはないので、例えば仕事中にプツッと集中力が途切れてしまった時などに取り入れることも可能です。ただし、呼吸音がでるので注意。
「ウジャイ呼吸」の練習法:息を吸う時も吐く時もお腹をへこませた状態で口を閉じ、喉の奥のほうを引き締めてシューッという摩擦音を出す。

▲寝息を立てるように息を吐き出すイメージ。手で耳をふさぐと、内側で鳴る摩擦音を感じやすい。
前後屈で背骨を伸ばし、柔軟に動く「太陽礼拝A」のやり方
次は、「太陽礼拝」について。
複数のヨガポーズからなる一連のシークエンスが「太陽礼拝」。1日の始まりに太陽にあいさつし、その恵みに感謝するという意味を持ち、朝ヨガのメニューとして早い時間帯におこなわれたり、「アシュタンガヨガ」の冒頭におこなわれたりします。
全身の筋肉を緩やかに動かすため、柔軟性や筋力UP、血流が促されて代謝UP、冷え・むくみの改善、脳に酸素が行き渡って集中力、記憶力UPなどの効果が期待できるでしょう。
ちなみに「太陽礼拝」にはAとBがあり、ポーズ数や動きが異なります。「【ヨガで便秘解消】おすすめポーズ+お腹を動かす呼吸でスッキリ!」で解説している「太陽礼拝A」は、前後屈の動きが中心。背骨やお腹まわりの伸び縮みを繰り返します。
腰のねじりや前後開脚で全身の筋肉をバランスよく使う「太陽礼拝B」:やり方
続いて「太陽礼拝B」は、「太陽礼拝A」に腰のねじりや前後開脚が加わり、全身の筋肉をバランスよく使うことができます。
STEP 1:【息を吐く】脚を揃えて立つ~【息を吸う】腰を落とし、両腕を頭上に伸ばす。


▲直立する時は頭頂を引き上げ、尾骨を床に向けて引き下げます。
次の腰を落とした姿勢「椅子のポーズ」では、手の指先からお尻が斜め一直線の姿勢を取りましょう。
STEP 2:【息を吐く】上体を前に倒して、深い前屈。

▲背筋を伸ばしたまま、頭頂部を床に近づけるように前屈。手のひら全体を床につけます。
脚の伸びがツラい場合、ひざを曲げてもOK。
STEP 3:【息を吸う】上体を半分起こした前屈。

▲手の指先で床を押し、上体を半分起こします。ひざを伸ばし、目線は正面に向けましょう。
STEP 4:【息を吐く】脚をうしろに引き、体を床と水平にした「板のポーズ」。

▲ひじは90度を目安に曲げ、脇はキュッと締めておきましょう。首のうしろが詰まらないように、目線は前方の床に向けます。
STEP 5:【息を吸う】上体を起こす。

▲足の甲を床につけ、両手で床を押しながら上半身をゆっくり起こします。目線は斜め上に向けましょう。
STEP 6:【息を吐く】腰を引き上げて頭を下げ、「ダウンドッグ」。

▲腰は真上、尾骨は斜め後方に引き上げます。手首~お尻までが斜め一直線になるように背筋を伸ばしましょう。脚の伸びがツラい場合、ひざを緩めてもOK。
STEP 7:【息を吸う】右脚を前に踏み出して、「英雄のポーズⅠ」。

▲右ひざは90度に曲げ、その下にかかとをセット。左つま先は45度外側に向けた姿勢で、両腕を頭上に伸ばします。
STEP 8:【息を吐く】「板のポーズ」。

▲両手を床についたら右脚をうしろに引き、STEP 4と同じ「板のポーズ」に移行。
STEP 9:【息を吸う】上体を起こす。

▲STEP 5と同じ姿勢です。
STEP 10:【息を吐く】「ダウンドッグ」。

▲STEP 6と同じ姿勢です。
STEP 11:【息を吸う】今度は左脚を前に踏み出して、「英雄のポーズⅠ」。

▲STEP 7の反対側です。
STEP 12:【息を吐く】「板のポーズ」。

▲STEP 4の「板のポーズ」を取ったら、ここからは前半のポーズを遡っていきます。
STEP 13:【息を吸う】上体を起こす。

STEP 14:【息を吐く】「ダウンドッグ」。

STEP 15:【息を吸う】脚を前に歩かせ、上体を半分起こした前屈。

STEP 16:【息を吐く】上体を前に倒して、深い前屈。

STEP 17:【息を吸う】腰を落とし、両腕を頭上に伸ばす~【息を吐く】脚を揃えて立つ。


「太陽礼拝B」の各ポーズを解説しました。
少し長い…かもしれませんが、覚えやすい動きなので一度頭・体に教え込んでしまえば、自宅でのちょっとした運動として役に立ってくれます。3~5回ほど繰り返せば、うっすら汗ばむくらいの爽快感が得られるでしょう。
全身をバランスよく動かせる内容で構成されているので、続けていくうちに体の変化も感じられるのではないでしょうか。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。