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職場で見られる典型的な「試し行動」とは?

職場の人間関係で散見される「試し行動」の代表例を解説します。
♦︎必要以上に弱音を吐いて反応を見る
ちょっとした問題が生じるたびに「どうせ私なんて…」や「自分には無理です」などとネガティブな発言を繰り返して、周囲がどれだけ自分を気にかけてくれるかを確認する行動に出ます。
まわりが心配をしてくれるほど本人の満足度が上がるため、試し行動を繰り返すうちに話の内容がエスカレートする傾向も…。
♦︎上司や同僚の前であえてミスを放置する
自分がミスをしたときに、あえて誰かから指摘されるまで待って上司や同僚の反応を見たがります。
似たケースでは「自分のことを、ちゃんと見てくれているのか?」を確かめるためだけに“報連相”をわざと控え、指摘されるまで待ち続けるタイプも…。
♦︎急な有休や遅刻で様子を見る
「私がいなくても、どうせ業務は回るんでしょ?」といった皮肉を含みながら、急な有休取得をしたりわざと遅刻をして自分の存在価値を確かめるような行動をとることもあります。
周囲は困惑しつつも本人からの申請を受け入れるしかなく、繰り返されるたびに職場内には困惑が広がっていきがちです。
「試し行動」によって起きる問題は?

試し行動をする大人が身近にいると、それによって問題が発生することも…。本人にとっては不安を解消するための試し行動でも、繰り返されるほどに人間関係に深刻な問題をもたらします。
ありがちなトラブル例を解説していきます。
♦︎信頼が築けず人間関係が不安定になる
試し行動を繰り返された相手は「自分は疑われている」と感じたり「信用されていないんだな」と受け取ったりします。
すると、本来なら築けるはずだった信頼が崩れやすくなってしまい、人間関係は不安定に。
試し行動をする人に対して最初は本気で心配をしたとしても、次第に離れる準備をしてしまう事例は少なくありません。
♦︎「重い人」「面倒な人」のレッテルが貼られる
試し行動を受け続けた側は、心が疲弊します。
試し行動への対応をするたびに「何が本心なのか?」も探らなければならず、安心して接することができなくなってしまいがちです。
「一緒に働くのは、しんどい」「振り回されてしまう」などの印象が強まり、コミュニティ内では「重い人」「面倒な人」のレッテルが貼られやすいでしょう。
♦︎社会的な信頼を失い仕事に悪影響が出る
ビジネスシーンで試し行動が繰り返されると「扱いにくい人」や「感情的な人」「信頼できない人」などのネガティブな印象が強まり、最終的には「一緒に仕事をしたくない相手」と見なされやすくなります。
試し行動がチームの輪を乱す例も少なくないために、チーム全体の評価が下がる結果も招きがちです。
まずは心がけから変えてみて!「試し行動」の克服法

試し行動への自覚があるならば、早めに克服しましょう。
後輩や同僚などの身近な人が試し行動をする場合には、克服法を一緒に試してみるのも一案です。
♦︎内面にある不安や恐れに気づく
試し行動を止めるためには「なんでこんなことをしてしまうのか?」を振り返る必要があります。
自分の中にある“見捨てられる不安”や“愛情への飢え”に気づくことができれば、そこから改善策を模索できるもの。
まずは、自分の内側にある感情を見つめ直すのが第一歩です。
♦︎素直なコミュニケーションを心がける
不安になったときに相手を試すのではなく、「不安になってしまった」「実はこう思っている」などと、感じていることを率直に伝える練習も効果的。
人間関係では、相手を信じる姿勢が信頼を深めます。
いきなり全面的に心を開くのは難しくても、まずは少しずつ本音を話せる関係性を意識していきましょう。
♦︎試さなくても愛される体験に気づく
「素直にしていても、大丈夫だった!」「試し行動をしないほうが、周りとうまくいっている」などの小さな成功体験が積み重なっていくと、徐々に試し行動から卒業できます。
まずは試し行動をしたくなったときにグッと堪え、素直な自分のままで周囲に接するよう心がけていきましょう。
「試し行動」に隠されているトラウマを探るのも有効
試し行動を繰り返す人には、承認欲求や幼少期の愛着形成の課題が潜んでいる例も決して少なくはありません。
周囲から問題視されるほどに試し行動が目立っている場合には、ビジネス上の問題が大きくならないよう、なるべく早い段階で専門家によるカウンセリングや心理療法を通じて心の整理に取り組むのも有効な方法です。
セルフでは解決できないと感じたときに「恥ずかしいから」を理由に、無理を続ける必要はありません。
自分の内側にあるトラウマを探っていくことが、試し行動を克服する第一歩です◎。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。