執着とは?
「執着」という言葉を聞いたことがありますか? おそらく多くの人が耳にしたことがあるでしょう。「過去の栄光に執着していても仕方がない」「いつまであの人に執着しているの?」など、ネガティブな場面で使われるイメージが強いですね。
意味
執着とは、一つの物事に心を囚われて、離れられないこと。また、執着心とは、物事に執着する心。執着心が強いことを「執念(しゅうねん)」とも言います。「あの人は執念深い」などと表現しますね。
執着しやすい対象
人が執着しやすい対象は、主に、恋愛、友人、家族、お金、仕事、過去の成功や失敗など。「執着」と「こだわり」は、時に区別が難しいですが、執着は「他人や周囲に悪影響を与えるもの」、こだわりは「物事をよりよくし、いい影響を与えるもの」と考えると区別しやすいかもしれません。
執着が強い人の特徴
あなたの身の周りに、執着が強い人はいますか? あるいは、自分自身の執着が強くて悩んだことはありますか? 決していいことではないと分かっていながらも、執着の強さはなかなか変えられないもの。そんな執着が強い人には、どのような特徴があるのでしょうか。
自分に自信がない
執着が強い人は、ありのままの自分には価値がないと感じています。そのため、恋人やお金、仕事のステータスなど、誰が見てもわかるような、客観的な価値を手に入れたいと思うのです。
また、承認欲求が強く、誰かから認められたり、愛されることで自分の価値を感じています。そのため、周囲に承認されるためにも、自分の価値を上げるものを「絶対に手に入れたい」という強い気持ちを抱きます。
過去に囚われている
執着が強い人は、現在や未来よりも、過去のことを振り返りがちです。いつまでも過去のことを覚えていて、愚痴を言ったり、まるで昨日のことのように細部まで語ることも。
そのような人はリスク回避の本能が強いと言えるかもしれません。楽しい記憶よりも、悲しい記憶や辛い記憶を留めやすいのが特徴。再び悲しい経験をしないように、記憶を反芻することで、本能的に自衛しているのです。
何度も思い出すことで、記憶はさらに強烈に刷り込まれ、簡単に忘れられなくなります。悲しい記憶であればなおさら、そこから執着が生まれる可能性は高いでしょう。
感情表現が苦手
執着が強い人は、感情表現が苦手な傾向があります。その時に思ったことや感じたことがあっても、うまく相手や周囲に伝えることができず、自分が望んでいない方向に物事が進んでしまったり、誤解を生むことも。
そのせいで、思い通りの結末にならなかった時には、「こんなはずではなかったのに」と、後悔から執着が生じることがあります。
食べ物を溜め込むと腐って異臭を放つように、感情も溜め込むと腐って悪質になることがあります。純粋な悲しみや後悔も、溜め込むことで厄介な執着に変化していくのです。
「執着を手放す」メリット
いい影響はないと分かっていながらも、なかなか手放せない「執着」。「執着を手放す」ことで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
最近多くの人が、家の中で不要になったものをネット上で手放す「ネットフリーマーケット」に夢中になっています。物を手放すと、スッキリしますよね。ものがなくなって広くなった部屋を見ると、気持ちが良くなります。
また、いらないものを手放すことで、スペースが空いて新しいものを取り入れることもできます。心も同じです。執着という「いらないもの」を手放すことで気分転換になり、心機一転、新たな気持ちが湧いてきます。
反対に、いつまでも不用品が山積みされている部屋は、スペースの無駄遣いです。同じように、いつまでも執着しているのは時間の無駄遣い。スペースも心も、本来のパフォーマンスを十分に有効活用しなければ、もったいないですよね。
引き寄せの法則
「手放すと入ってくる」という言葉を聞いたことがありますか? スピリチュアルな点から「執着を手放すと、逆にいい結果が引き寄せられる」と言われているのです。例えば、「ずっと片思いしていた相手への執着を手放したら、逆に相手からアプローチされるようになった」など。
物事に執着している間は、気持ちや行動が停滞しています。それと同時に運気も停滞しているのです。一度、「執着を手放す」と、堰を切ったように運気の流れが生まれ、いい運気が流れ込んでくるといわれています。
執着の手放し方
では、実際にどうすれば「執着を手放す」ことができるのでしょうか。簡単に執着を手放せていたら、多くの人が苦労していないでしょう。自覚があっても難しい執着の手放し方について、具体的に3点解説します。
自分の本当の気持ちに気づく
人は、何かに執着している時、自分の本当の気持ちを受け止めるのが辛くて、目を背けていることがあります。お金に執着してしまうときは、その根本に「お金がないことをばかにされて悲しかった」「貧しかった時に友達と同じものが買えなくて悲しかった」といったような「悲しみ」の感情があります。
その場合、向き合うべきは「お金」ではなく、当時の「悲しい気持ち」です。本来の目的から逸れた対象物に執着して、自分の気持ちを紛らわせるのはやめましょう。当時の自分の素直な「悲しみ」に向き合うことで、執着から解放されるはずです。
感情はその場で出す
一度抱え込んでしまった「執着を手放す」には、エネルギーが必要です。できれば「執着を手放す」前に、執着を生まないようにしたいもの。
執着を生まないためには、のちのち「ああすればよかった」「本当は違うのに」と思わないように、自分が思ったこと、感じたことを、素直にその場で出すことが大切です。少しずつでも、自分の意見や気持ちを伝える努力をしましょう。
自分に自信を持つ
自分に自信がないと、自分以外のものに強く執着してしまいます。しかし、自分に自信がない人にとって、いきなり自信を持てといわれても難しいですよね。そんな時には、どんな些細なことでもいいですから、自分の成功体験を思い出してみましょう。
もし、どうしても思い出せなかったら、これから作っていきましょう。毎日小さな目標を立てて達成するだけでも、人は十分な達成感を得て、自己肯定感が高まります。どんなことでもいいのです。「朝ごはんをちゃんと食べる」や「夜9時には寝る」で十分です。
そして、大切なことは、人と比べないことです。人と比べて優れている点に自信を持つのではなく、自分で自分に与えた課題を乗り越えた経験を、自信にしましょう。
最後に
執着が強い人の特徴から、「執着を手放す」メリット、方法まで解説しました。なかなか手放せない気持ちこそが「執着」ですが、限られた時間を楽しく有効に過ごすためにも、不要な「執着」は手放す努力を続けていきたいですね。
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