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LIFESTYLE

2022.07.22

イソップ物語「酸っぱいブドウ」から学ぶ教訓とは? 心理学の点からも解説

「酸っぱいブドウ」とは、イソップ物語の一つ。キツネが、高いところに実っているブドウを諦める時「あのブドウは酸っぱくて美味しくないはずだ」と言って立ち去る話です。そこから学ぶ教訓から、心理学における解説まで、紹介します。

「酸っぱいブドウ」とは?

「酸っぱいブドウ」という言葉に、文字どおり「酸味が強いブドウ」以外の意味があるのを知っていますか? 最近、「酸っぱいブドウ」という言葉が持つもう一つの意味が、話題になっています。

イソップ物語

「酸っぱいブドウ」とは、イソップ物語の一つ。イソップ物語とは、古代ギリシアの寓話集です。動物を擬人化させた話が多く、動物寓話とも呼ばれています。紀元前5世紀には存在したといわれ、長い歴史の中で親しまれ、愛され続けてきました。多くの人々が、イソップ物語から、知恵や教訓を学んだのです。

「酸っぱいブドウ」のあらすじ

「酸っぱいブドウ」のお話の主人公はキツネ。キツネはおいしそうなブドウを見つけますが、それはとても高いところに実っていて、とても届きません。ブドウを諦める際、キツネは「あのブドウは酸っぱくて美味しくないはずだ」と言い残して立ち去ります。

「酸っぱいブドウ」から得られる教訓

(c)Shutterstock.com

この物語から、どのような教訓が得られるでしょうか。美味しそうなブドウは、キツネにとって魅力的で、「食べたい」という強い執着心を沸かせたでしょう。しかし、高さはキツネの努力次第ではどうにもできません。ブドウを諦めざるを得なかった時、悲しさや悔しさがあったはずです。

しかしキツネがつぶやいた言葉は「ブドウが食べられなくて残念だ」「あのブドウを食べたかったなあ」などではなく、「あのブドウは酸っぱくて美味しくないに違いない」でした。

過去に執着しない

キツネは、ブドウを食べることができないと分かると、いつまでも「食べたかった」「おいしそうだった」とくよくよ考えるのではなく「酸っぱくて美味しくないはず」と仮定することで、ブドウに対する執着心を手放しました。ここから得られるのは、「過去に執着しても仕方がない」という教訓です。

就職や恋愛における「酸っぱいブドウ」

誰でも一度は、手に入れたくても手に入らなかったという経験をしたことがあるはず。代表的なものは、就職や恋愛ではないでしょうか。第一志望の企業から内定をもらえず、落ち込んでしまった時、いつまでも「あの企業で働きたかった」「あの時こうしていれば」と考えていては、その次の就職活動にも悪影響を及ぼしかねません。

起こってしまったことは、いくら考えてもどうしようもないもの。現実は変わりません。それよりも、今の自分がやるべきことや今後できることを考える方が、有意義な時間を過ごせます。就職活動では、内定がもらえなかった企業に対して「ご縁がなかった」と表現することがありますよね。何事も、執着心を手放して気持ちを切り替えることが大切です。

心理学における「酸っぱいブドウ」

(c)Shutterstock.com

ブドウを諦めた時、キツネの気持ちと行動は一致していませんでした。「ブドウが食べたい」という気持ちと「高くて届かないので諦める」という行動は、相反していますよね。このような状態を、心理学では「認知的不協和」と呼びます。

認知的不協和理論

認知的不協和理論とは、アメリカの心理学者フェスティンガーが提唱した理論。人間は、態度と行動が一致しない場合、ストレスを感じるとされています。そして、そのストレスを解消するために、態度や行動を変えることで、一致させようとします。

キツネの場合、本当は「ブドウが食べたい」と思っているにもかかわらず、「諦めて立ち去る」という相反する行動にストレスを感じたはず。そこで、「ブドウは酸っぱくて美味しくないはずだ」と態度を変えることで、態度と行動を一致させたと説明できます。

正当化

態度と行動を一致するためによく使われる手段の一つが、「自己正当化」です。ブドウを諦める際に、キツネは自分自身に、食べてもいないブドウを「酸っぱくて美味しくない」と思い込ませました。それにより、「自分にとってあのブドウは手に入れる必要がないものだった」と行動を正当化したのです。

価値を下げる

人は、自分を正当化させるために、対象となる人や物の価値を下げるという手段を取ることが多々あります。

例えば、恋人と別れた時に「あの人は遅刻ばかりだった」と言ったり、欲しかったガラス食器を買えなかった時に「ガラスはすぐに割れて使いにくい」と言うなど。相手や物の価値を下げると、手に入れられなかった自分の判断が正しかったと思えてきます。

キツネはブドウを「酸っぱくておいしくない」としましたが、食べ物であるブドウは、甘くて美味しいからこそ価値のあるもの。酸っぱくて美味しくないのであればその価値は下がります。そうしてキツネはブドウの価値を下げて、自分を正当化させたのです。

「酸っぱいブドウ」のレシピ

(c)Shutterstock.com

さて、ここまでイソップ物語の「酸っぱいブドウ」から学ぶ教訓ついて解説しました。キツネは「酸っぱいブドウはおいしくない」ということでブドウを諦めましたが、果たして本当に「酸っぱいブドウ」は美味しくないのでしょうか? 最後は、少し視点を変えて文字通り「酸っぱいブドウ」の美味しい食べ方について解説します。

ジャム

一番のオススメは何と言ってもジャム。砂糖を加えることで、酸味の強さが緩和されて食べやすくなります。また、大量の砂糖を使って煮詰めているので、長期間の保存が効くのも嬉しい点。パンやスコーンに塗ったり、ヨーグルトに入れてもおいしいですね。

コンポート

ジャムは煮詰める時間が長すぎて面倒、という方におすすめなのがコンポート。コンポートとは、果物をシロップで煮たものです。ジャムほどたくさんの砂糖を使わず、加熱時間も短くて済みます。そのまま食べてもおいしいですし、ジャムと同じようにヨーグルトやアイスに添えてみてもいいでしょう。

最後に

「酸っぱいブドウ」は、ただの酸味が強いブドウという意味だけでなく、イソップ物語から学ぶ教訓の意味もありました。もし、最近ストレスを感じていたら、キツネのように気持ちと行動が一致していないのかも。それらを少しずつでも一致させていくことで、ストレスが和らぐかもしれません。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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