門戸開放とは? 意味や読み方を解説
「門戸(もんこ)」とは、家の出入り口のことです。また、実際の入り口ではなく、外部と交流して受け入れるための入り口といった比喩的な意味でも使われます。
一方「開放(かいほう)」とは、門や戸などを開け放すことや開けたままにしておくこと。また、制限をなくして自由に出入りさせることを指すこともあります。
「門戸開放」は「もんこかいほう」と読み、次の2つの意味がある言葉です。
1. 制限をなくして自由な出入りを可能にすること
2. 港や市場を諸外国に開放し、経済活動の制限を撤廃すること
それぞれの意味や使い方を例文を通して見ていきましょう。
【意味1】自由に出入りできるようにすること
「門戸開放」は、自由に出入りを可能にすることです。扉や門を開放し、誰もが出入りできるようにしたり、比喩的な門戸を開放したりすることを指します。
・今日は庭園の門戸開放日なので、誰もが無料で中に入れます
・今までは大卒以上でないと採用試験にエントリーできなかったが、今年からは18歳以上であれば学歴・職歴を問わず門戸開放された
・このクラブは誰にでも門戸開放されています
「門戸が開放されている」「門戸が開かれている」といった表現をすることもあります。
【意味2】経済活動の制限を撤廃すること
「門戸開放」は、経済活動に限定して使うこともあります。
・門戸開放の影響もあり、海外投資家による投資も増えたように感じる
・この市場は門戸開放されたはずだが、期待したような経済効果は得られなかった
・外国に門戸開放せずに外貨を稼ぐのはほぼ無理だ
なお、経済的に門戸が開放されていることと、外国企業と国内企業がまったく同条件で取引することは同義ではありません。関税や為替差損益がありつつも、外国企業が市場参入できる状態を経済的な「門戸開放」と表現します。
もんこ‐かいほう〔‐カイハウ〕【門戸開放】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 制限をなくし自由に出入りできるようにすること。
2 港や市場を諸外国に開放して経済活動の制限を撤廃すること。
門戸開放政策とは? わかりやすく解説
「門戸開放政策」とは、経済的な門戸開放を政策として実施することです。さまざまな国家が「門戸開放政策」を実施してきましたが、その中でも経済大国でもあるアメリカが主体となる「門戸開放政策」は、諸外国に大きな影響を及ぼしてきたといえるでしょう。
歴史的に知られている門戸開放政策について、簡単に見ていきます。

19世紀末、列強諸国は中国(清国)進出に注力していました。出遅れたアメリカは1899年、イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・ロシア・日本に対して中国に対する門戸開放政策を主張し、中国での利権獲得などを目論んだのです。
その後、ロシアによる満州の占領や義和団事件をきっかけとした列強の中国への進出などによりアメリカは危機感を強め、翌1900年に二度目の通牒を表明。
おもに、中国における通商の機会をすべての国が平等に得る「機会均等」や、中国領土を奪わない「領土保全」などを宣言しています。
もんこかいほう‐せいさく【門戸開放政策】
出典:小学館 精選版 日本国語大辞典
〘 名詞 〙 一九世紀末から二〇世紀初頭のアメリカ合衆国の外交政策。ヘイ国務長官が一八九九年と一九〇〇年の二度の通牒で表明した中国に関する政策理念をさす。中国における門戸開放、通商の機会均等、領土および行政の保全が主張されているが、実質的には中国に対する帝国主義的収奪へのアメリカの参加宣言を意味した。
門戸開放と類似する意味の言葉
「門戸開放」と同様、実際の入口や比喩的な入口を開け放つことを意味する言葉としては、次のものが挙げられます。
・オープンドア
・機会均等
・平等
・同様
それぞれの言葉の意味や門戸開放との違いについて、例文を通して解説します。

オープンドア
「オープンドア(open door)」とは、港や市場などを外国に開放することです。「門戸開放」と同じ意味ですが、外国への開放に限定して使われる傾向があります。
・オープンドアを政策として実施してから、海外の品物を目にする機会が増えた
・オープンドアを実施しているのはIT市場に限られているようだ
なお、「オープンドア」は和製英語ではありません。英語では「門戸開放(の)」「機会均等(の)」の意味の名詞・形容詞として使われます。
機会均等
「機会均等」とは、権利や待遇を平等に与えることや、外交政策上、自国内における諸外国の経済的活動に対してどの国にも平等の待遇を与えることを指します。なお、アメリカが1899年と1900年に実施した「門戸開放政策」は、「門戸開放・機会均等政策」とも呼ばれます。中国の市場を開放し、アメリカを含む列強諸国の経済的機会の均等化を目指しました。
本来「門戸開放」と「機会均等」は別の意味といえます。しかし「門戸開放」と「機会均等」は政策上同時に実施されることもあるため、混同されやすい言葉ともいえるかもしれません。
平等
「平等」とは、偏りや差別がない状態のことです。
・利益を平等に分配しよう
・男女平等は当然のことだ
「門戸開放」はすべてに門を開くという意味であり、門を開かれた側にとっては機会が「平等」に与えられているとも考えられます。
同様
「同様」とは、同じもしくはほとんど同じであることです。
・昨日の事件と同様の手口だ
・家族同様に育てられた
「門戸開放」により訪れる人や取引を希望する国の間では、「同様」の機会が開かれることになるともいえるでしょう。
シチュエーションに合った言葉を選ぼう
「門戸開放」は、実際の門や比喩的な門を対外的に開くことです。経済活動だけでなく、就職や入学といったさまざまな場面で使われる言葉です。
「門戸開放」と混同しがちな言葉としては、「機会均等」が挙げられます。シチュエーションに合わせて、適切な言葉を選びましょう。
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