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「人後に落ちない」という言葉は、少し堅い表現だと感じるかもしれません。ふだんの会話ではあまり登場しない言い回しですが、文章やスピーチでは意外と見聞きすることがあります。意味を知っておくと、自分の考えや誰かを評価したいときに役立つ場面が出てきそうですよ。
この記事では、辞書の定義をもとに、「人後に落ちない」の意味や使い方を解説していきます。
「人後に落ちない」が表す意味とは?
「人後に落ちない」という言葉は、意味を知ると納得できる表現です。文章の中で多用されることもあるので、この機会に、読み方や意味をしっかりと理解しておきましょう。
「人後に落ちない」の読み方と基本の意味
「人後に落ちない」は「じんごにおちない」と読みます。辞書からの引用を確かめましょう。
人後(じんご)に落(お)ち◦ない
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
他人に先を越されない。ひけをとらない。「正義感の強さでは―◦ない」
「人後に落ちない」は、能力や行動が、他人にひけをとらないことを意味します。

「人後に落ちない」を使える場面のイメージ
「人後に落ちない」は、例えば「彼は責任感において人後に落ちない」といった形で、自分や他人の能力や姿勢を評価するときに使います。
日常会話ではあまり登場しませんが、文章やスピーチなど改まった場面ではよく見かける表現ですよ。
言葉の由来は?「人後に落ちない」の成り立ち
「人後に落ちない」は、少し堅い印象のある表現ですが、構造を分解して考えると、なるほどと思える内容が見えてきます。
「人後に落ちない」の構成を確認
「人後」は「人のうしろ」という意味ですね。「落ちない」は、あとに回らない、つまり遅れをとらないことを示します。合わせて考えると、「人のうしろに回ることはない」、つまり、「他人に劣らない」という意味になります。
「人後」の誤表記に注意
「人後に落ちない」は、「人語に落ちない」と書かれることがありますが、これは誤りです。正しい表記は「人後に落ちない」ですから、注意してください。
例文でわかる「人後に落ちない」の使い方
実際にどのような場面で使うのかを確認することで、「人後に落ちない」の持つ意味がより具体的に伝わってきます。使いどころを確かめるため、例文を見ていきましょう。
「勤勉さでは人後に落ちないと自負しています」
自己紹介の場面で、自分の特性や姿勢を表すときに用いた例文です。
「私は真面目に努力する姿勢では、他人に負けていない自信があります」というアピールを伝えています。面接や文章の中で、自分の長所をアピールしたいときに、使える表現ですね。

「彼の洞察力は人後に落ちない」
「人後に落ちない」は、自分についてだけでなく、他人の能力を高く評価する文脈でも使うことができます。
例文では、ある人物の優れた洞察力が、他の人にもひけを取らないと評価されている場面です。表現がやや堅いため、ビジネス文書や公式なコメントなど、きちんとした場面で使うことが多いかもしれませんね。
「人後に落ちない」の類語・言い換え表現もチェック
誰かと比較したときに自信を持っている様子や、しっかりとした実力があることを伝える表現について、確認していきましょう。
「ひけをとらない」
「人後に落ちない」とほぼ同じ意味で使うことができる表現に「ひけをとらない」があります。これは「引けを取らない」と書き、他人と比べて劣らない、自信を持っている状態を表します。
例えば、「彼はどんな場面でもひけをとらない」といえば、相手が誰であっても対等、もしくはそれ以上に評価できることを表現できます。
「ひけ」とはなにか
「ひけ(引け)」は、「引け目」や「おくれをとること」といった意味を持つ言葉です。人と比較したときに、気おくれや劣等感を感じてしまうときに「引けを感じる」といった使い方をします。
「ひけをとらない」という表現はその逆で、「他と同等、あるいはそれ以上の力や評価を持っている」という意味です。
「人後に落ちない」を英語で表すなら?
ここでは、「人後に落ちない」の英語表現を紹介します。

“be second to none”
“be second to none”を直訳すると「二番手になることがない」です。つまり「誰にも劣らない、最高である」という意味になります。品質、能力、性能など、あらゆる面で優れていることを強調する際に使います。
【例文】
“He is second to none in describing human character.”
(彼は人物の性格描写にかけては誰にもひけをとらない。)
“on a par with”
“on a par with”は、「同等の」「同水準の」という、平均的または標準的なレベルに達していることを示すことを意味する表現です。
また、「特別に優れているわけではないが、平均レベルには達している」という意味で使うこともあります。
【例文】
“He now stands on a par with the mayor in social status.”
(社会的地位では今や市長並みだ。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
最後に
「人後に落ちない」という言葉は、自分の姿勢や能力に対する確かな自信を表すときに使います。人と比べて劣らないことを示し、特に公的な場や、改まった話し方が求められる場面で用いられます。自分だけでなく他人を評価するときにも使える、少しかしこまった表現だといえそうです。
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