「所縁」という熟語を読むことはできますか? 「しょえん」とも読みますが、もう一つの読み方の方が一般的かもしれません。この記事では、「所縁」の読みや意味、似た言葉との違いまで丁寧に紹介していきます。
「所縁」とは? 読み方と意味を解説
少し難しそうに見える「所縁」という言葉ですが、意味や読み方を知ると、身近な場面でも自然に使える表現であることがわかります。まずは辞書を参考にしながら、その読み方と意味を確認していきましょう。

「所縁」の読み方と意味
「所縁」は、「しょえん」または「ゆかり」と読みます。それぞれの読み方によって、意味が少し異なります。辞書の定義をもとに見ていきましょう。
しょ‐えん【所縁】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 仏語。認識の主観である心に、精神作用を起こさせる客観。⇔能縁。
2 ゆかり。知るべ。「両親に―の地」
「所縁(しょえん)」とは仏教語で、「心が認識する対象となるもの」を指します。また、一般的な読み方としてはあまり馴染みがないかもしれませんが、文脈によっては「ゆかり」と同様の意味で用いられることもあります。
ゆかり【▽縁/所=縁】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 なんらかのかかわりあいやつながりのあること。因縁。「縁(えん)も―もない」「文豪―の地」「―の者を頼って上京する」
2 血縁関係のある者。親族。縁者。
「おのが―、西東合はせて六百人ばかり」〈宇津保・藤原の君〉
3 《「ゆかりじそ」の略》梅干と一緒に漬け込んだ紫蘇(しそ)の葉を乾燥させて粉にしたもの。飯にふりかけたりする。
「所縁(ゆかり)」とは人や土地、物事とのつながりを表します。また、血縁を示す場合や、食材の「ゆかりじそ」を意味する場合もあります。
この記事では、「所縁(ゆかり)」に焦点を絞り、深掘りしていきます。

「所縁(ゆかり)」の使い方を例文でチェック
「所縁」という言葉の使い方を具体的な例文とともに確認していきましょう。
この寺は、夏目漱石と所縁のある場所として知られています。
「所縁のある場所」とすることで、特別な関係性をわかりやすく伝えることができます。
縁も所縁もない土地での暮らしに、最初は不安もありました。
まったくつながりのない場所に身を置くときの心情を表しています。「縁も所縁もない」ということで、関係性のないことを強調しています。

展覧会には、画家と所縁の深い作品が多く並んでいました。
単に作品を紹介するのではなく、その作品と作者との結びつきを強調する際に用いられます。文化的な話題にも自然になじむ表現です。
最後に
「所縁」という言葉には、人や場所、物事とのつながりを穏やかに伝える力があるように感じます。やや堅い感じがするかもしれませんが、「所縁」という言葉を選ぶことで、距離や関係性を丁寧に表現したいという気持ちもにじみ出てくるのではないでしょうか。
意味や使い方を知ることで、日々の会話や文章の中で、言葉との新しい関係が見えてくるかもしれませんね。
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