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今や、価値観やルールが多様化し、世の中が目まぐるしく変化しています。そんな時代にあって、「安寧秩序」という言葉があらためて注目されています。
この記事では、「安寧秩序」の意味や背景をわかりやすく紹介しながら、似た表現や反対の意味を持つ言葉との違いも紹介していきます。混乱の多い今の時代だからこそ、「安寧秩序」が持つ意味について、一緒に目を向けてみましょう。
「安寧秩序」の読み方と意味とは? 落ち着いた日常を表わす言葉
落ち着きや整った環境を求める気持ちは、誰にとっても共通のものかもしれませんね。ここでは、「安寧秩序」という四字熟語がどんな意味を持っているのか、読み方とともに確認していきましょう。

「安寧秩序」の読み方と意味
「安寧秩序」は、「あんねいちつじょ」と読みます。辞書では、次のように説明されています。
あんねい‐ちつじょ【安寧秩序】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
世の中が整った状態にあり、安定していること。
「安寧秩序」は、混乱や不安のない、整った世の状態を表わす四字熟語です。
「安寧」は、無事で安らかなこと。特に、社会全体が穏やかで安定している様子を表わします。「秩序」は、物事を行う際の正しい順序やルール、また集団が調和を保つための整った状態を意味します。「安寧」と「秩序」の二語が組み合わさることで、社会や生活が安定し、人々が安心して暮らせる状態を意味する言葉になります。
「安寧秩序」は、どんな場面で使われてきたの?
「安寧秩序」という言葉は、国家や社会に対して使われることが多いでしょう。
例えば、大日本帝国憲法の9条には、「公共の安寧秩序を保持し及臣民の幸福を増進する為に」というように使われています。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「安寧秩序」の使い方を例文で確認
もともとは公的な文章で用いられることの多い「安寧秩序」ですが、近年では日常的な場面でも使われるようになってきました。例文とともに確認していきましょう。
「安寧秩序が保たれた地域では、人々の暮らしも穏やかだった」
地域社会において、安定と平和が確保されている様子を表現する例です。やや堅苦しい感じもしますが、世の中の状態が整っていることを伝えるには最適でしょう。
「社会の安寧秩序が脅かされていると感じた」
社会の調和が乱れそうな状況を、客観的に伝える言い回しです。落ち着いた環境の維持が難しくなっていることが伝わってきます。
「安寧秩序」の類語もチェック|安心した暮らしの表現
整っていて穏やかな状態を表現する言葉は、他にもいくつかあります。表現を柔らかくしたいときや、文脈に応じて使い分ける際に役立ちますよ。
「天下太平(てんかたいへい)」
「天下太平」は、世の中が平和で落ち着いており、人々が安心して暮らせる状態を表わす言葉です。国家や社会の規模での安定や平和を語るときに使われることが多く、「安寧秩序」と近い意味を持ちます。

「平穏無事(へいおんぶじ)」
「平穏無事」は、日常の中に特別な変化や事件がなく、静かで落ち着いた状態を表わす言葉です。国家や社会というよりも、家庭や個人の暮らしに対して使いやすい言葉だといえますね。
「安泰(あんたい)」
「安泰」は、無事で安らかなことを指します。「国家が安泰になる」、「彼は安泰だ」というように、国家に対しても個人に対しても使うことのできる言葉です。
「安寧秩序」の対義語は?
「安寧秩序」の反対の意味を持つ言葉にはどのようなものがあるのでしょうか? 秩序が失われ、混乱に満ちた状態を指す言葉を見ていくと、「安寧秩序」がなぜ大切にされるのかがより際立ちますよ。
「暴虐(ぼうぎゃく)」
「暴虐」は、むごたらしく人を苦しめることを指します。「暴虐な君主」、「暴虐な政治」というように使います。
「安寧秩序」とは真逆の世界観ですね。個人や集団が安心して暮らせる環境が失われると、社会の秩序も大きく損なわれてしまいます。

「乱離骨灰(らりこっぱい)」
「乱離骨灰」とは、物事がめちゃくちゃになり、もとの形をとどめないほど混乱した有り様を意味する言葉です。
「乱離」は乱れ散らばること、「骨灰」は粉々になることを指します。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』、『日本国語大辞典』(小学館)
最後に
「安寧秩序」は、社会の安定や国家の平和といった大きな枠組みだけでなく、私たちの身近な生活にも深く関わる言葉です。人間関係や職場、家庭内でも、穏やかで整った環境があるからこそ、心のゆとりが生まれます。
現代において、落ち着いた空気を保つことは決して簡単なことではありません。でも、自分の身近なところから整いと、落ち着きを意識していくことが、心地よい社会につながっていくのかもしれませんね。
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