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「熟慮断行(じゅくりょだんこう)」という言葉を目にしたとき、何か大きな決意を感じる人もいるかもしれません。ただ、どんな意味を持つのか、どんな場面で使えばいいのかとなると、少し迷ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、「熟慮断行」の意味や使い方、対義語から英語表現まで、わかりやすく解説していきます。
「熟慮断行」とは?|深く考えたうえで行動に移すという姿勢
「熟慮断行」は、一見すると難しそうな四字熟語かもしれませんが、意味をたどっていくと、どこか現代の働き方や生き方にも通じる感覚があるように思えます。まずは意味から見ていきましょう。
「熟慮断行」の読み方と意味
「熟慮断行」は、「じゅくりょだんこう」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
じゅくりょ‐だんこう〔‐ダンカウ〕【熟慮断行】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)よく考えたうえで思いきって事を行うこと。
「熟慮」は、じっくりと考えることを意味します。そして「断行」は、決めたことを迷わず実行するという意味があります。この二語が組み合わさることで、「深く考えたうえで、迷わず実行すること」という意味になります。

どんな場面で使われる?
「熟慮断行」は、日常会話よりも文章の中で使われることが多い表現でしょう。例えば、重要な決断を下すときや、誰かの行動力をほめる場面などに使われたりします。
「熟慮断行」と「熟慮の末」の違い
「熟慮の末」は「十分に考えた結果」という意味を持つのに対し、「熟慮断行」は考えたうえで行動に移すところまでを含んでいます。つまり、「熟慮の末」は思考の終着点に重点があり、「熟慮断行」は行動の始まりを強調しているところがあります。
「熟慮断行」の使い方を例文で確認
ここでは、「熟慮断行」を使った例文とともに使い方のイメージをつかんでいきましょう。
「どれだけ迷っても、最後は熟慮断行する覚悟も必要だと思う」
迷いを否定せず、それでも行動に移す意志の大切さを表現しています。

「彼の熟慮断行な姿勢に、チーム全体が信頼を寄せている」
「慎重さ」と「決断力」のバランスが取れている人物像を描写する表現です。信頼やリーダーシップを評価する文脈で使われます。
「熟慮断行」の言い換え表現や対義語を知る
ここでは、「熟慮断行」と似た意味を持つ言葉や反対の意味を持つ言葉を紹介していきましょう。
類語・思慮分別(しりょふんべつ)
注意深く心を働かせ、物事の道理・善悪・損得などを判断すること。

対義語・軽挙妄動(けいきょもうどう)
「熟慮断行」と反対の意味を持つ表現です。よ深く考えずに、軽々しく行動すること。
「熟慮断行」を英語で表現するなら?
「熟慮断行」の意味が伝わりやすい英語表現を紹介します。
Deliberate in counsel, prompt in action.
このフレーズは、「計画は慎重に実行は速やかに」という意味です。「よく考えたうえで、ためらわず実行する」という点で、「熟慮断行」と重なる部分が多くあります。ビジネスやリーダーシップに関する文脈でもよく使われる言い回しです。
行動に移す前にじっくり考え、決めたらすぐに動くという姿勢は、英語でも共感を得やすい価値観だといえるでしょう。
参考:『小学館 ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
最後に
「熟慮断行」は、静かに思いを巡らせたあとで、一歩を踏み出す力が込められているような言葉ですね。考えるだけでも、動くだけでもないそのバランス感覚は、誰にとってもどこか手本にしたいと思えるのではないでしょうか。
どんな選択にも迷いはつきものですが、言葉を通して、決断の手がかりが得られることがあるかもしれません。
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