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「疲労困憊」の意味とは
「疲労困憊」とは、すっかり疲れ切ってしまうことです。「ひろうこんぱい」と読み、疲れて弱った状態を表します。
そもそも「疲労」とは、使いすぎにより体の機能が低下し、本来の働きができなくなることです。「困憊」には、困って疲れ果ててしまうという意味があります。
「疲労困憊」を使うと、シンプルに「疲れた」と言うより、心底疲弊している様子が伝えられます。
一時的な疲れではなく、困難に対応するなかで生じた過度な疲れを表す四字熟語といえるでしょう。
ひろう‐こんぱい
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)ひどくつかれて苦しむこと。つかれはてること。「徹夜続きで—する」
「疲労困憊」を使った例文
正しい意味をふまえ、ここからは具体的な使用例を確認していきましょう。「疲労困憊」は、精神的な疲れと身体的な疲れ、それぞれに使える表現です。
日常生活やビジネスで心底疲れたと伝えたいときは、以下のように活用してみましょう。
- トラブルで深夜作業が続き、体力が取り柄の私もさすがに疲労困憊だ
- クレーム対応を続けるうちに、すっかり疲労困憊してしまった
- 人手が足らず、現場は疲労困憊している
- 何もかも1人でうまくやろうとすると、いつか疲労困憊してしまうよ
- 疲労困憊だ。今日はもう何もしたくない
- 疲労困憊する前に休みをとり、ストレス解消しなくてはと思っている
「疲労困憊」の類語や言い換え表現
「疲労困憊」には、以下のような類語や言い換え表現があります。
- 満身創痍(まんしんそうい)
- 精疲力尽(せいひりきじん)
いずれも心身にダメージを受けることを表す四字熟語です。正しい意味や「疲労困憊」との類似点、ニュアンスの違いなどについて確認しましょう。

「満身創痍」(まんしんそうい)
「満身創痍」は、体中が傷だらけになることです。「疲労困憊」は「疲れ」について伝える四字熟語ですが、「満身創痍」の場合は傷や痛みなどを表しています。
現代社会では、心身の痛みについて「満身創痍」を用いるのが一般的です。物事に対応するなかで心も身体も傷付き、弱っている場面に適しているといえるでしょう。
- 営業先では取引先からのクレーム、部署内では上司からの叱責を受け、すでに満身創痍の状態だ
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「精疲力尽」(せいひりきじん)
「力が尽きる」と書く「精疲力尽」は、精も根もすっかり使い尽くした様子を表します。「疲労困憊」のように、もう何もできないというほど疲れた状態に適しているといえる四字熟語です。
誰もが聞き慣れた言葉ではないため、シーンに応じた使い分けを意識するとよいでしょう。
- さまざまな策を試みるが一向に問題が解決せず、精疲力尽といった状態だ
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「疲労困憊」と反対の意味をもつ対義語
疲れを表す「疲労困憊」に対し、以下の語句は活力があふれる様子を表します。
- 意気軒昂(いきけんこう)
- 元気溌剌(げんきはつらつ)
「元気いっぱい」といった意味で四字熟語を使いたいときは、これらの語句を検討してみてください。

「意気軒昂」(いきけんこう)
「意気軒昂」は、威勢がいい様子を表す四字熟語です。「意気」には、あふれ出る元気という意味があります。
また、「軒昂」は高く上がることです。2つを重ねた「意気軒昂」を使うと、おおいに元気で活力あふれた様子が伝えられます。
- 新しいプロジェクトの契約を取り付けた彼女は、意気軒昂と帰社した
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「元気溌剌」(げんきはつらつ)
「溌剌」とは、生き生きと元気がよいことです。「元気溌剌」は、同じ意味をもつ「元気」と「溌剌」2つの言葉を重ね、活力あるさまを表しています。
勢力盛んな「元気溌剌」は、すっかり疲れ切った「疲労困憊」とは正反対の意味をもつ言葉です。「疲労困憊」に比べ、明るくポジティブなイメージを与える四字熟語といえるでしょう。
- それにしても、彼女はいつ会っても元気溌剌ですね。明るい挨拶にこちらまで笑顔になってしまいます
「疲労困憊」のように元気がない様子を表す四字熟語
ここからは「疲労困憊」と似た意味をもつ四字熟語について掘り下げていきましょう。
- 青息吐息(あおいきといき)
- 意気消沈(いきしょうちん)
どちらも元気がない様子を表す言葉です。疲労がたまったり、気持ちが落ち込んだりしたときは、これらの語句を活用してみましょう。

「青息吐息」(あおいきといき)
「青息吐息」とは、元気がないときに発するため息のことです。また、それほどまでに苦しくつらい状況を表します。
「青息」は苦しいときに出す息、「吐息」はため息のことです。「元気溌剌」のように同じ意味をもつ2つの語句を重ね、本来の意味を強めています。
ため息は気持ちが落ち込んでいるときにつくものですが、「青色吐息」は特に苦しいときに発するというニュアンスがあるといえるでしょう。
日常生活では、「青息吐息」をつきたくなるほど、気持ちが落ち込んだ場面で活用してみましょう。
- 仕事のミスが続いた帰り道、駅のホームでスマホを落とし画面が割れてしまった。もうすっかり青息吐息だ
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「意気消沈」(いきしょうちん)
「意気消沈」は、精神的に落ち込んだことを伝えたい場面に適しています。そもそも「意気」とは、何かをやり遂げようという積極的な気持ちのことです。
その気持ちが「消沈」し、衰えてしまったことを示す「意気消沈」は、以下のように使用できます。
- 張り切って臨んだ試験だったが、思うような結果が出ず意気消沈している
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「疲労困憊」や類語の意味を正しく理解しよう
「疲労困憊」は、激しい疲労を表す四字熟語です。ただ「疲れた」と言うよりも、余力がないほど疲れ切っていることを伝えられるでしょう。
また「疲労困憊」には「満身創痍」や「精疲力尽」などの言い換え表現があげられます。
苦しくつらいときには「青息吐息」、気持ちが落ち込んだときは「意気消沈」と使い分けるなど、それぞれの意味を正しく理解したうえで、表現の幅を広げていきましょう。
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