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疲労蓄積の悪循環を断ち切るには、寝る前のストレッチ
1日のなかでも、特に疲れを感じる時間帯が“夜”。
肉体的な疲労だけでなく、ストレスや緊張状態が続くことでの精神的疲労。それに加えて、パソコンやスマートフォン、テレビなどから得られる膨大な情報による神経的疲労(脳の疲労)が蓄積される夜は、心身ともに倦怠感・ダルさに襲われることも少なくないでしょう。「疲れて何もできない」「ソファでダラダラしてしまう」「つい、そのまま寝てしまう」という方も多いはず。
ですが、疲れを放置して眠ったあとというのは、イマイチすっきりしていないのではないでしょうか。なぜなら、疲れによって、睡眠の質が悪くなってしまっているからです。その結果、翌日まで疲れを持ち越して、“疲労蓄積”の悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、寝る前のストレッチ習慣です。
寝る前のストレッチが、心身の疲労回復に効果的
寝る前にストレッチをすることで、期待できる主な効果は次の2つ。
●筋肉の緊張・凝りが和らぎ、血流がよくなる → 肉体の疲労回復
●血圧や心拍数が下がり、副交感神経が優位になる → リラックス効果がもたらされる、睡眠の質が向上する
心身の疲労回復のカギとなるのが、“睡眠”。
睡眠時には、体の修復・回復を促す成長ホルモンが分泌されます。また、寝ているあいだというのは、脳が休まり、自律神経の働きが整ってストレスから回復する時間でもあるため、いい睡眠を取ることは心身の疲労回復に欠かせないのです。
とはいえ、体や心が疲れていたり、緊張状態が続いていたりすると、寝つきが悪くなったり、よく眠れなくなったりもします。寝る前のストレッチは、質のいい睡眠を取るための準備だということができるでしょう。
では、具体的には、どのようなストレッチをしたらいいのでしょうか。
寝る前のストレッチ、何をしたらいい? 注意点は?
寝る前におこなうストレッチのポイントや注意点は、こちら。
●動的ストレッチ < 静的ストレッチ
痛みを感じるような強いストレッチや、息が上がるような運動要素のあるストレッチは、脳・神経を覚醒させたり、交感神経を優位にしたりするため、寝る前には不向きです。筋肉をゆっくり優しく伸ばす“静的ストレッチ”を中心におこないましょう。
●疲れの種類によって、タイミングを変える
・体の疲れを強く感じるとき
→ お風呂上がりの筋肉が温まっているときにストレッチをおこなうと、そのまわりを覆う筋膜も温まって、肉体的なストレッチ効果が高まります。
・精神的・神経的な疲れを強く感じるとき
→ 就寝5~30分前に静的なストレッチをおこなって、副交感神経の働きを優位にし、安眠・快眠効果を狙いましょう。
お風呂上りにストレッチをおこなって、そのままベッドに入るのも○。
●5~15分を目安におこなう
寝る前のストレッチに、“何分”という厳密な決まりはありません。ですが、時間が短すぎてしまうと、筋膜や靭帯が十分に伸びない、呼吸が深まらない、リラックス効果が得られないことなどが懸念されます。
短くても5分ほどは時間を設け、疲れを感じる部位別に“いくつかのストレッチ”を“じっくりと”取り入れるといいでしょう。
ストレッチの効果をさらに高めるには?
寝る前にゆとりがある日や、ストレッチ効果をさらに高めたい日は、次のような方法を用いるのもおすすめです。
●暖色系の照明を使う、もしくは照明を落とす
→ 視覚から入ってくる情報・刺激を減らし、リラックス効果を高める
●アロマを焚く
→ 気持ちを落ち着かせる鎮静・催眠効果のあるアロマを焚く(ラベンダー、サンダルウッド、イランイラン、カモミール・ローマン、マジョラム・スイートなど)
●自然の音をBGMにする
→ 川のせせらぎや波の音、森林の風の音、鳥のさえずりなどをBGMにすることで、気持ちを穏やかにしたり、ストレスを軽減させたりする
視覚や嗅覚、聴覚からも、リラックス効果を高めることができるので、参考にしてみてください。
睡眠の質を上げて、疲労回復! 寝る前におすすめ簡単なストレッチ3つ
1. 疲労が溜まりやすい“体の背面”をストレッチ
体の背面は、筋肉が凝る・張るなどして、疲労が蓄積しやすい部位。前屈のストレッチでほぐしていきます。
STEP 1:足を開いて立つ。両手は後頭部に添える。
▲足は、腰幅より広くして、安定した姿勢で立ちます。ひじを外側に開き、左右の肩甲骨同士を中央に寄せて胸を開きましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】上体を前に倒す。
▲なるべく背中が丸まらないように意識しましょう。股関節から折り曲げるように前屈ができると、good! 頭を下に向けることで、神経をしずめる効果にも期待できるストレッチです。上半身を脱力させたら、呼吸を5~10回ほど繰り返しましょう。
2. 眠りの妨げにもなる“ダル重い足”のストレッチ
STEP 1:仰向けになる。右ひざを立てる。
▲手は、体の横に下ろしておきます。腰が床から浮く場合は、下に丸めたタオルやブランケットを置きましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】右足を床から浮かせて、ひざの裏に両手を添える。
▲手でひざの裏を持ち、太ももを腹部に引き寄せるようにします。
STEP 3:【息を吐きながら】右ひざを伸ばす。
▲右足の裏を天井に向けて、かかとをグッと突き出します。足の背面の伸びがキツい場合は、ひざを軽く曲げて、姿勢を緩めてもOK。まずは、足を無理なく持ち上げられる高さからスタート。余裕がある場合は、「つま先を伸ばす~かかとを突き出す」動きを加えてもいいでしょう。呼吸を5~10回ほど繰り返したら、反対側も同様におこないます。
3. 寝ながらおこなう“脱力を促す”ストレッチ
体の緊張が強く、力みが抜けないときは、「力を入れる~緩める」ストレッチ。
STEP 1:仰向けになる。右ひざを立てる。
▲手は、体の横。ここでも、腰が床から浮きやすい場合は、下に丸めたタオルやブランケットを置きます。
STEP 2:【息を吸いながら】右腕を頭の先に伸ばす。
▲右腕は、外側に開きすぎないように! 肩からまっすぐ上に伸ばしましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】右腕と左足で引っ張り合う。
▲右腕は、指先を頭上からさらに遠くへ伸ばすように意識しましょう。左足は、指先を後方へ。矢印の向きを参考に、上下に引っ張り合います。呼吸に合わせて、「吸って緩める~吐いて引っ張り合う」動きを5~10回ほど繰り返したら、反対側も同様におこないます。
疲れを感じる夜こそ、ストレッチ! 疲労を持ち越すことなく、明日も元気に頑張りましょう。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
Instagram:@saori_takagi