下半身は疲労困ぱい!
ストレッチといったら、首や肩、背中、腰のように“凝りが強く感じられる”上半身のパーツを中心におこなうことが多いのではないでしょうか。また、上半身のストレッチは、どのパーツをどのようにほぐすのかにもよりますが、比較的その場でおこないやすいことや、服装を選ばないことも、気軽に取り入れられる理由だと言えるでしょう。
では、“下半身”は? 下半身のストレッチは、上半身のストレッチと比べると場所を広く使ううえに、スカートや締め付けの強いパンツなどではおこないにくいことから、「家に帰って、時間があるときにやればいい」と、つい後回しにされがち。
ですが、下半身は、常日頃から自分の体重を支えているため、上半身との連結部分である股関節、そこから下に位置する太ももやふくらはぎの筋肉などに、どうしても負担がかかってしまいます。
例えば、人の体のなかでも特に大きい筋肉のひとつである“大腿四頭筋(太ももの前側)。この筋肉は、ひざを伸ばすときに働き、体を支える動作の中心になるため、もともと疲れやすかったり、ふくらはぎの筋肉に関しては、立っているとき、座っているときのどちらでも、血行不良が起こりやすく、冷えたり、むくんだりしやすいという特徴があります。こういった理由から、下半身には疲労が蓄積しやすいと考えられているのです。
下半身に疲れが溜まっていると、どうなる?
では、下半身に疲れが溜まっていると、どうなるのでしょう?
そもそも、下半身の疲れというのは、関節にかかる負担や筋肉の疲労から、だるさ・痛みを感じたり、血行不良が起こり、冷え・むくみが生じたりすることが多いと言われています。さらには、その疲れを放置することで、次のようなつらい症状につながることも無きにしもあらずです。
✔︎ 痛みやだるさをカバーしようとして、体の使い方が変わり、筋肉のバランス・姿勢が崩れることがある。
✔︎ 足の静脈の血行不良が続くことで、疲労の慢性化や夜中のこむら返りが起こりやすくなる。
✔︎ むくみを放置することで、水分や老廃物が脂肪細胞に吸収されて肥大化。セルライトの原因にも。
このように、疲労が溜まったままだと、その場での体感としてのしんどさがあるだけでなく、後々に影響してくることもあるのです。それだけでなく、下半身というのは活動をするときの原動力となる大きくて力強い筋肉が存在する場所ですから、「疲れていて、動きたくない」となると、筋力の低下を招き、ひいては代謝が下がって、痩せにくい、ダイエットの効果が現われにくいといったことにもつながるでしょう。その対策として役に立ってくれるのが、下半身のストレッチ。
下半身の疲れをスッキリさせるストレッチ3選
1. 仰向けで寝ながら股関節を外旋! 太ももの内側のストレッチ
STEP 1:仰向けになり、左ひざを立てる。左足の裏を右ひざの外側につく
▲右足は、真っすぐに伸ばしたまま。腰が反りやすい場合は、下に丸めたタオルやクッションなどを置いて負担を軽減しましょう。
STEP 2:息を吸いながら、右手を頭上に伸ばす。息を吐きながら、左ひざを外側に倒す
▲目線は、右腕のほうに向けます。左ひざは無理なく倒せるところでキープし、股関節まわりや太ももの内側の心地よい伸びを感じましょう。90秒キープしたら、反対側も同様におこないます。
2. 太ももの前側・外側の伸びを意識! 座りながらおこなう、ヨガ「スワンのポーズ」
STEP 1:四つ這いの姿勢から、左足をうしろに伸ばす。右足はひざを外側に開いて倒し、かかとを恥骨に近づける
▲指先を体の前につきます。背筋をスーッと伸ばして目線は正面、左足もつま先まで一直線にしましょう。ここで90秒キープして、左の前ももをストレッチ。
STEP 2:右ひざを真横に伸ばす
▲ここでは、右のお尻~太ももの外側をストレッチします。左右の足が90度に開くとよいのですが、姿勢がツライ場合は、右足を少し閉じるようにしてもOK。90秒キープしたら、STEP 1~STEP 2ともに反対側も同様におこないます。
3. 立ったままおこなう! 足をクロスさせた前屈で、ふくらはぎをストレッチ
STEP 1:立位の姿勢で、足をクロスさせる
▲左右のつま先が向き合って、“ハの字”になるように意識します。
STEP 2:息を吐きながら、前屈をする
▲股関節から曲げるように前屈をします。ふくらはぎを中心に、下半身の背面をストレッチするため、ひざはできるだけ伸ばしたまま。手は、床につかなくてもOK。90秒キープしたら、足を組み替えて、反対側も同様におこないます。
ストレッチをおこなう際は、どれか1つだけを集中的におこなうのではなく、複数を組み合わせることで、パーツにかかる過度な負担を軽減したり、周辺の筋肉のバランスを取ったりできるので、参考にしてみてください。
日常的に、足を疲れにくくするには?
疲れた足に、ストレッチ! そうもいかないときは、日常的に足を疲れさせない工夫をするとよいでしょう。
1. 足首を回す、つま先~かかとの上げ下げをする、ひざの曲げ伸ばしをするなど、本格的なストレッチができないときは、こまめに足を動かすように意識する。
2. 前傾姿勢で、ひざを曲げた状態での歩き方を改善。背筋もひざも伸ばして歩くと、足を疲れにくくすることができる
3.「ビタミンB1+アリシン」を取って、筋肉の疲労を軽減させる。ビタミンB1は豚肉や大豆、うなぎ、たらこ、ごま、アリシンはにんにく、ねぎ、にらなどに豊富に含まれる。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
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