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テレワークの普及により、以前よりパソコンに向かってデスクワークが増えたり、体を動かさない時間が増えたりしたことで、「何だか、前よりも肩こりがひどくなったような気がする」という方は多いのではないでしょうか? もしかしたらその肩こり、僧帽筋がガチガチにこり固まっているからかもしれません。
「僧帽筋」とは?
読み方は、「そうぼうきん」。そして、その文字のとおり、僧侶が着用しているローブのフードのような形をしている筋肉であることから、「僧侶の帽子」で僧帽筋と名づけられました。今でいうと、パーカーのフードがかかる部分に位置する筋肉だと言うと、どこにあるのかイメージしやすいでしょう。
そんな僧帽筋の主な働きは、肩甲骨を動かすこと。なのですが、実はこの筋肉は、上部・中部・下部の3つに別れていて、それぞれに異なる作用を持っています。
例えば、上部は肩甲骨を上げるとき、中部は肩甲骨を背骨に近づけるとき、下部は肩甲骨を下げるときの動きに関与しており、腕をうしろに大きく引いて、ボールを投げるしぐさをするときや、腕を上げたり、横に引いたりしてカーテンを開けるしぐさをするときなどに活躍します。
しかし、それだけでは、僧帽筋は日常生活を送るうえでさほど重要ではなさそうだと思われるかもしれません。ですが、洗濯ものを高い位置に干すときや、鞄を肩にかけて持つとき、電車・バスでつり革をつかむときなど、日々のちょっとした動作でも僧帽筋は使われているのです。特に、僧帽筋上部は薄くて力が弱いため、負担がかかりやすいパーツだと言うことができるでしょう。
僧帽筋=肩こり筋! PC作業やスマホの見すぎは注意!
僧帽筋の別名は、肩こり筋と呼ばれています。
手で肩を揉んでもらったときに、「こっていますね」と言われる部分があると思うのですが、その多くが首から肩にかけてのカーブのあたり。ちょうど、僧帽筋の上部と中部にあたることが多いでしょう。こりがひどい方だと、自分で触れてみたときに、痛みを感じたり、硬い盛り上がりを実感したりするかもしれません。これは、僧帽筋のこりが引き起こした肩こりの可能性があります。
また、長時間同じ姿勢で過ごすことが多いという方の場合、僧帽筋をあまり動かさないせいで筋肉がこり固まり、周辺の血流の悪化がこりや不調の原因になることも考えられます。なぜなら、僧帽筋が、肩甲骨の動きと関係する筋肉だからです。
では、僧帽筋に負担がかかって、こってしまうとどうなるのでしょうか。肩こりの原因となる僧帽筋は、首や肩はもちろん、肩甲骨にもしっかりとつながっています。そのため、肩甲骨周辺の筋肉が強張ることで動きが悪くなると、連鎖的に肩こりを引き起こす原因になるのです。
また、ここ最近では、パソコンを使っての長時間のデスクワークはもちろん、スマートフォンを持ってSNSや動画、ニュースサイトなどを視聴して過ごす時間が増えたという方も少なくないでしょう。スマホを片手に持ち背中が丸まった状態で、腕を体の前に伸ばした姿勢というのは、僧帽筋が緊張した状態を作り出す大きな原因に。それにより、筋肉が疲労 → 血流が悪くなる → 肩こりが生じる、というリスクがグンと上がってしまうのです。
そこで取り入れたいのが、僧帽筋のストレッチ。ここからは、僧帽筋をほぐすのに効果的なストレッチを紹介していきます。肩こりで悩んでいる方や、首を左右に倒したり、肩甲骨を片方ずつまわしたりしたときに、痛み・動きの悪さ・硬さを感じる方は、ストレッチで僧帽筋のこりを緩めてあげましょう。
現役ヨガインストラクターが伝授! 僧帽筋をほぐす簡単ストレッチ3
それぞれのストレッチは、まずは60秒を目安に。慣れてきたら90秒を目安におこなってみてください。
筋肉の周囲の膜・筋膜には、伸張性がなく硬くなりやすいコラーゲン繊維からなるものがあるため、ゆっくりと時間をかけて伸ばしてあげるとジワジワとほぐれてくるのを感じられるでしょう。
【1】手を引っ張り、僧帽筋を全体的に伸ばすストレッチ
STEP 1:あぐらの姿勢で座り、両腕を頭上に伸ばしたら、右手で左手首を持って上に引っ張り60~90秒キープ
▲腰が反りすぎないように、尾骨(背骨の延長線上にあるお尻の尖った骨)を引き下げて、骨盤を立てて座ります。腕は、耳の位置よりも前に倒れないように注意。
STEP 2:上体を右側に傾け60~90秒キープ
▲左右のお尻に、バランスよく体重を乗せた状態を保ちます。左の肩甲骨周辺が心地良く伸びているところで、呼吸を繰り返しましょう。
STEP 3:背中を丸め、上体を右斜め前に倒し60~90秒キープ
▲あごを引き、首のうしろ側をリラックスさせます。上体を起こしたら、反対側も同様におこないます。
【2】背中を丸め、僧帽筋の上部~中部を伸ばすストレッチ
STEP 1:あぐらの姿勢で座り、両腕を頭上に伸ばしたら、手の指を組む
▲ここでも、骨盤をしっかりと立てて座ります。
STEP 2:ゆっくりと背中を丸めていき、腕が肩の高さに下りてきたところでストップし60~90秒キープ
▲手と肩甲骨で前後に引っ張り合うように、軽く力を入れてストレッチをおこないます。あごを引いて、首のうしろの伸びを感じましょう。
【3】ヨガの「針の糸通し」のポーズで、肩甲骨周辺を広くゆるめる
STEP 1:四つ這いになる。右手のひらを上に向け、左脇の下をくぐらせて右肩と右側頭部を床につける
▲股関節の下にひざをつくようにします。目線は右手を見るように。
STEP 2:左手を天井方向に持ち上げて、胸を開く
▲お尻が左側に流れないように、体の中心にとどめて姿勢を保ちましょう。
STEP 3:左腕を背中側にまわしたら、手の指先を右太ももの付け根に添える。ゆったりとした呼吸を5回、もしくは60~90秒キープ
▲この姿勢がツライ場合は、STEP 2でキープします。四つ這いに戻ったら、反対側も同様におこないます。
ストレッチローラーを使って、寝ながら僧帽筋をほぐす!
最後は、ストレッチローラー(ストレッチポール)を使い、寝たままおこなうストレッチです。まず、肩甲骨の下あたりにストレッチローラーがくるように、ひざを立てた仰向けになり、床からお尻を持ち上げます。
足の裏でしっかりと床をとらえたら、体を前後に動かしながら、首の下~肩甲骨の下をほぐしていきましょう。目安は、3分程度。慣れるまでは、腕を体の横に下ろしていてもOK。あとは、体重のかけ具合を調節したり、長時間同じ場所に使用しないことを意識したりしてみてください(痛みが強く出ないように、気をつけながら使用すること)。
ストレッチローラーがない場合は、テニスボールで代用することも可能です。
普段から姿勢を意識することで、肩こりがグッと軽減できる!
私たちの体は、重力の関係で長く座っていると骨盤が後傾して背中が丸まりやすくなってしまうので、以下のことを日頃から意識すると、姿勢の崩れからくる僧帽筋への負担を軽減できるでしょう。
1. 椅子に深く座る。
2. 坐骨(左右のお尻にそれぞれある尖った骨)を椅子の座面につけるように座る。
3. PCのキーボードと体との距離が遠くなりすぎないこと。また、PC作業中は、脇の下に卵1個分のスペースを設けるイメージを持つと◎。
4. スマホで長時間動画などを観るときは、手に持たず、スマホホルダーを使う。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY🄬といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
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