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不安やイライラ、集中力の低下…「浅い呼吸」と関係アリ!
仕事やプライベート、日々の生活において細々としたタスクは常に付きまとうもの。このように、忙しさに追われて、ストレスを感じながら過ごしていると、不安やイライラ、集中力の低下を感じることもあるでしょう。そして、この心身の状態というのはちょっと複雑で、忙しさやストレスに付随して、“呼吸が浅くなる”ことでまた悪循環に陥ってしまっている恐れがあるのです。というのも、不安やイライラなどを感じているときというのは、往々にして浅い呼吸をしていることが多いから。
呼吸が浅いというのは、その言葉のとおりで、息を吸うときも吐くときも浅く、さらにはそのペースが速くなっている状態。ふと呼吸に意識を向けてみたときに、吸う・吐くに合わせて肩や胸がわずかに動く程度という人は、浅い呼吸がクセになってしまっているかもしれません。
さらに、こうした呼吸をしているときというのは、交感神経が優位な状態にあるため、不安や緊張感が増します。その結果、呼吸が浅くなるというループに陥りやすくなるのです。ですので、心身共に穏やかに、リラックスしたいときには、呼吸を深め、副交感神経を優位にしてあげることが大切になってきます。
では、呼吸を深めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
「胸椎」が緊張していると呼吸が浅くなる
呼吸が浅くなってしまうのは、不安やイライラ、ストレスだけが原因ではありません。“胸椎(きょうつい)”が緊張して硬くなっていると、その周辺に位置する呼吸筋(横隔膜・肋間筋など)もまた硬くなって、深い呼吸の妨げになるのです。
胸椎とは、私たちの体の軸となる脊柱(せきちゅう)の一部。脊柱は節構造をしていて、上から7個の首の骨・頚椎(けいつい)、そして12個の胸の骨・胸椎(きょうつい)、その下に5個の腰の骨・腰椎(ようつい)と、合計24個の椎骨が重なって構成されています。
脊柱は、正面あるいは背面から見ると、ほぼ真っすぐ。横から見ると、緩やかな“S字”にカーブしていて、胸椎の部分はちょうど後弯し、うしろに出た形になっています。ところが、長時間のデスクワークなどで背中を丸めた姿勢をしていると、後弯カーブがきつくなり、周辺の組織・筋肉に負担がかかって、胸椎や呼吸筋が緊張。硬くなってしまうのです。その結果、深い呼吸をするのが難しくなってしまうでしょう。
しかも、胸椎は可動域が狭く、日常生活で大きく動かすことが少ないパーツ。それに加えて、もともと硬くなりやすいという特徴があるのですが、ストレッチを継続的に取り入れることで、緊張を緩めたり、動きを改善したりする効果に期待できると言われています。
ヨガ講師が教える「胸椎を柔らかくする」ストレッチ
1. 椅子の前に座って胸~背中を動かすストレッチ
STEP 1:椅子の前に正座する。両ひじを椅子の座面に乗せたら、手の指を後頭部で組み、胸を斜め下に突き出す
▲骨盤を前傾させ、背中が自然なカーブを描くようにします。腰を痛めないように、様子を見ながらおこないましょう。
STEP 2:左右の肩甲骨をうしろに突き出す
▲骨盤を後傾させ、背中を軽く丸めます。息を吸いながらSTEP 1~息を吐きながらSTEP 2の動きを呼吸に合わせて10回ほど繰り返しましょう。
2. 横向きで、寝ながら胸椎の可動域を広げるストレッチ
STEP 1:左側を下にして横向きになり、ひざを軽く曲げる。腕は肩の高さで、体の前に伸ばす
▲腰が反らないように、背中から尾骨までをなるべく一直線に保ちましょう。足と腕は、それぞれ重ねておきます。
STEP 2:右腕をうしろに引いて、胸を大きく開く
▲背中や腰に負担がない程度に上体をねじります。右腕は、床につかなくてもOK。顔を右腕のほうに向けて90秒キープしたら、体の向きを変えて、反対側も同様におこないます。
3. ヨガ「キャットアンドカウ」のポーズで、背中を広くストレッチ
STEP 1:四つ這いになる
▲手は肩幅、足は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをつきます。腰が反らないように、ヘソを軽く引き上げましょう。
STEP 2:息を吸いながら骨盤を前傾させ、目線を上げる
▲肩をうしろに引き、首筋を長く保ちます。
STEP 3:息を吐きながら骨盤を後傾させ、背中を丸める
▲ヘソを覗き込むように目線を下げ、肩甲骨の位置を高くします。STEP 2~STEP 3は、背骨が緩やかに、均等にアーチを描くようにゆっくりと体を動かしましょう。
テニスボールを使ってほぐしてもOK
2個のテニスボールを横に並べたら、その上に仰向けになる
▲テニスボールの位置は、背骨を挟むよう間隔を開け、肩甲骨の下にくるようにするとgood! 痛みが強かったり、安定しなかったりする場合は、テニスボールを1個だけ使用し、左右それぞれにほぐしてみてください。腕を横に広げたり、頭上に伸ばしたりして、心地よいと感じる姿勢でリラックス。90秒以上体を預けましょう(長くほぐしすぎるのはNG)。
ストレッチローラー(ストレッチポール)を肩甲骨の下あたりに置いて、上下にコロコロと転がしてもOK。
日常生活で胸椎を硬く、緊張させないための3ヶ条
胸椎が緊張して硬くなるのは、猫背の姿勢が長く続いたときです。デスクワーク中やそのほかのシーンでは、次のようなことに気をつけ、ゆったりと深い呼吸ができる体を目指しましょう。
1. デスクワークの最中や休憩時間を使って、椅子に座ったまま背中を反らせたり、丸めたりする(ストレッチ3の「キャットアンドカウ」の動きを参考に)
2. 日頃から、両方の肩をうしろに引いて、左右の肩甲骨同士を中央に寄せ、胸を広げた姿勢を意識する
3. 背骨の安定性を高め、正しい姿勢を保つのに働く“体幹”部分の筋力を強化する
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY🄬といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
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