目次Contents
夜のストレッチ、どんな効果がある?
ストレッチ(ストレッチング)=“筋肉”を伸ばす柔軟体操のこと。ストレッチをおこなうことで、期待できる主な効果は次のとおりです。
ストレッチをおこなうことで、期待できる効果
●体の関節可動域が広くなり、柔軟性が高まる
●筋肉の凝り固まりが緩和されて、血液やリンパの循環がよくなり、冷え・むくみの改善、疲労回復、免疫力アップ、代謝アップなどにつながる
●筋肉の緊張がほぐれて、怪我の予防につながる
●姿勢や動作のクセが改善されて、美しい姿勢の保持につながる
●副交感神経の働きが優位になり、リラクゼーション効果がもたらされる
このように、ストレッチによってもたらされるメリットはたくさん! 朝におこなえば、活動力を高めるのに役立ち、夜におこなえば、“凝りの緩和”や“リラクゼーション効果”を得ることができて、疲れをリセットしたり、睡眠の質を向上させたりする役に立ってくれるでしょう。
特に、日々忙しく過ごしている方は、この夜のストレッチを取り入れることが、翌日以降もパワフルに過ごすためのカギになるといっても過言ではありません。
夜のストレッチは「いつ」したらいい?
では、夜のストレッチは“いつ”したらいいのでしょうか?
厳密な決まりはありませんが、目安をお伝えしていきます。
おすすめの時間帯は、いつ?
●快眠・安眠効果が目的:就寝15~30分前
1日頑張った体の疲れや、知らず知らずのうちに溜めこんでしまったストレスによる心の緊張をほぐすのに効果的な夜のストレッチ。快眠・安眠を目的とする場合は、就寝前におこなうのがおすすめです。副交感神経の働きが活発になり、血圧や心拍数を下げて、心身を休息モードへと導いてくれるでしょう。
●凝りの改善・疲労回復が目的:お風呂あがり
筋肉の凝りや、疲労を取ることを目的とする場合は、お風呂あがりの体が温まっているときにストレッチをおこなうといいでしょう。湯船に浸かり、筋肉が温まると、そのまわりを覆う筋膜もまた温まり動きがよくなるからです。
ただし、夜のストレッチは、頑張りすぎると逆効果になることもあるので、時間は5~15分ほど。リラックスした状態でおこなってみてください。
夜のストレッチで、やってはいけないことって?
ここまでは、夜のストレッチで得られる効果やメリットをお伝えしてきました。その一方で、いくつかの注意点もあるので、チェックしていきましょう。
●反動や弾みをつけたストレッチ
→ 痛みを感じるほどの強いストレッチは、筋肉を傷つけるだけでなく、神経を覚醒させてしまいます。寝る前は、筋肉をゆっくりと優しく伸ばす“静的ストレッチ”を意識しておこないましょう。
●呼吸を止めたストレッチ
→ 呼吸が止まった状態だと、心身ともに力んだ緊張状態になりがちです。いつもより少し長い・深い呼吸を意識して、リラックスしてストレッチをおこないましょう。緩やかな動き&呼吸をダブルで合わせやすい、ヨガのポーズを取るのもおすすめです。
●明かりが強烈な室内でのストレッチ
→ 強い光が脳に届くと、メラトニンが減り、睡眠の質が低下。夜は、照明を落とした室内でのストレッチが入眠・安眠を促してくれます。音楽も、アップテンポなものより、リラクゼーション効果を得られるものを選んだり、ラベンダーやネロリ、スイートマジョラムのようなアロマを用いたりしてもいいでしょう。
●夕食後すぐのストレッチ
→「ストレッチくらいなら…」と、夕食後すぐにおこなうのも、消化不良の原因になるため、おすすめではありません。どうしてもストレッチをおこないたい場合は、最低でも1~2時間は空け、腹部を強くねじるものは避けましょう。
疲労回復&安眠に! 夜におすすめのストレッチ3つ
ここからは、夜におすすめのストレッチを紹介していきます。
1. ガチガチに張った「首~肩のライン」の緊張を緩めるストレッチ
STEP 1:ひざ立ちになる。両腕を体のうしろにまわしたら、右手で左手首をつかむ。
▲腰が反ったり、丸まったりしないように、尾骨(お尻の尖った骨)を軽く引き下げて骨盤を起こしましょう。左右の肩甲骨同士を中央に寄せて、胸を開くと◎!
STEP 2:左腕を右方向に引っ張る。
▲右手で左腕を引っ張ります。左腕は、無理のない範囲で、ひじを伸ばした状態をキープしましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】顔を左斜め上に向ける。
▲肩こり筋・僧帽筋(首~肩、背中の上部)にアプローチ! 肩を固定した状態で、頭を動かすと効果的にストレッチをすることができます。呼吸を5~10回繰り返したら、反対側も同様におこないましょう。首・肩に痛みがある場合は、顔を上げる角度を調節してみてください。
2. 疲れが溜まって緊張しやすい「体の背面」のストレッチ
STEP 1:足の裏同士を合わせて座る。
▲手で足の指先を持ったら、かかとを恥骨に引き寄せます。左右のお尻には、均等に体重を乗せましょう。腰が反らないように、骨盤を立てて、背筋を伸ばして座ります。
STEP 2:【息を吐きながら】背中を丸める。
▲ゆっくりと骨盤を後傾させ、背中を丸めます。あごを引いて頭を下げ、首のうしろを脱力させましょう。
STEP 3:【息を吸いながら】胸を突き出し、目線を上げる。
▲今度は、ゆっくりと骨盤を前傾させます。肩はストンと下げたまま、胸を開いて目線を上げましょう。呼吸に合わせて、STEP 2~STEP 3を5回ほど繰り返します。
3. ベッドの上でもできる! 寝たままおこなう「股関節」のストレッチ
STEP 1:仰向けになる。ひざを立てたら、足を床から持ち上げる。
▲ひざ下は、床と平行になるように持ち上げましょう。手は、ひざに添えます。腰が床から浮きやすい場合は、下に丸めたタオルやブランケットを置きましょう。
STEP 2:【息を吐きながら】両ひざを外側に開く~【息を吸いながら】閉じる。
▲手でひざをリードしながら、開く~閉じる動きを呼吸に合わせて5~10回ほど繰り返します。
STEP 3:ひざで、大きな円を描く。
▲手でひざをリードしながら、内まわり・外まわりを各10回ずつおこないます。股関節の動きを意識して、ゆっくりとひざをまわしましょう。股関節は、寝返りを打つときに使われる重要なパーツ。睡眠中、スムーズに体位を変えられるように、適度にほぐしておきましょう。
最後に… アルコールを飲んだ日はストレッチをお休みして
アルコールには、血行をよくする働きがあります。そのため、飲酒後にストレッチをおこなうと、より酔いがまわりやすくなるので危険です。また、アルコールの利尿作用によって、体内の水分が不足した状態になっていると、筋肉の柔軟性も低下します。思わぬ怪我につながる恐れもあるので、「ストレッチくらいなら…」と思わずに、お休みしましょう。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
Instagram:@saori_takagi