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朝のストレッチが「体によくない」って本当?
「朝、ストレッチをすると、心身ともに快適に過ごせる」と聞いたかと思えば、「朝のストレッチは、体への負担が大きいからよくない」という意見もあったりして、一体どちらが正解なのだろう…。こんなふうに、頭を悩ませたことはありませんか?
一般的に、朝のストレッチ=体に嬉しい効果が得られると周知されているだけに、疑心暗鬼になってしまった方もいるかもしれませんね。ですが、朝のストレッチがよくないというのは、“すべてのストレッチがよくない”ということではありません。厳密には、“朝の体にふさわしくないストレッチ”は、控えたほうがいいという言い方のほうが合っているかもしれません。
では、“朝の体”とはどのような状態で、どのようなストレッチを控えるのが正解なのでしょうか?
朝の体って、こんな状態!
起床後の朝の体というのは、長時間の寝姿勢によって筋肉があまり動かされず、関節や靭帯も硬くなった状態です。
このような状態で、いきなり強度の高いストレッチをおこなえば、体を痛めてしまうのは当然のこと。そもそも、体の可動域が狭くなっていて、大きな動きをしにくいですし、深い呼吸をするための呼吸筋も硬くなったままなので、心地よさも得にくいでしょう。そして、特に気をつけたいのが、反動を利用して力任せにおこなうストレッチです。目覚めてすぐの体には、負担が大きいので気をつけましょう。
それと、寝返りの際に使われて、意外と疲れている股関節を強くストレッチしたり、寝相によって体重がかかったり、丸まったりしていた背中・腰をグーンと大きく反らせるストレッチにも注意したいところです。
朝、ストレッチをおこなうときは、まず体のパーツに痛みがないかを観察・確認すること。それから、体に負担のかからない小さな動きから始めて、徐々に伸びを深めていくことが大事です。
そうすることで、筋肉がほぐれて、血流やリンパの流れが促されるほか、体の可動域が広がって大きな動作が可能になり、基礎代謝の向上(ダイエット効果)に期待できるでしょう。また、呼吸も深まり、リフレッシュ感を得ることもできます。
朝にやるならこれ! 現役ヨガ講師が取り入れているストレッチ&ヨガポーズ
ここからは、朝におすすめのストレッチ4つと、ヨガのポーズをご紹介していきます。
ベッドの上で寝たままおこなう、目覚めの体側のストレッチ
胸の広がりや、お腹・体側の伸びは、呼吸を深めるのに効果的です。
STEP 1:仰向けになる。両腕を頭上に伸ばす
▲腰が反りすぎないように、恥骨を天井方向に軽く突き上げて、骨盤を後傾させます。
STEP 2:両腕と両足を右側にカーブさせる
▲ポイントは、体がアルファベットの“C”の形になるように、腕と足をカーブさせること。右の体側が縮まり、左の体側が心地よくストレッチされる位置で姿勢を保ち、呼吸を5回繰り返しましょう。反対側も同様におこないます。
寝姿勢でガチガチに凝り固まった背中のストレッチ
ベッドの硬さや、寝ているときの姿勢によっては、背中~腰が不自然な形に曲がってしまうこともあるため、起床後の背中にはダル重い疲れが出やすいです。だからといって、無理に反らせたりするのはNG。ゆったりとしたストレッチを取り入れてあげましょう。
STEP 1:仰向けになる。右足を床から持ち上げて、ひざを曲げる
▲右足のすねが、床に対して水平になるようにひざを90度に曲げます。両腕は、肩の高さで体の横に広げておきましょう。
STEP 2:息を吐きながら、右足を左側に倒して、腹部をねじる
▲目線は正面に向けたまま、体をねじります。右足は無理のない範囲で左側に倒して、両方の肩はなるべく床につけたままの姿勢を保ちましょう。腹部や背中・腰の心地よい伸びを感じながら、呼吸を5回。反対側も同様におこないます。
胸を開いて目線を上げる! 座っておこなう、やる気UPのストレッチ
背中が丸まり、目線が下がっていると、気力が湧きにくいでしょう。そんな朝は、胸や肩甲骨周辺の筋肉をほぐして、目線を上げる&呼吸を深める“やる気UP”のストレッチがおすすめです。
STEP 1:ひざを立てて座る
▲背筋を伸ばし、腰が丸まらないように姿勢を保ちます。両手は、ひざに添えましょう。
STEP 2:息を吐きながら背中を丸め、ヘソを見るようにする
▲骨盤を後傾させます。手と肩甲骨のあたりで、前後に引っ張り合うようにしましょう。
STEP 3:息を吸いながら背中を反らせ、目線を上げる
▲骨盤を前傾させます。首・肩がツラくない範囲で頭をうしろに倒し、左右の肩甲骨を中央に寄せて胸を開きましょう。STEP 2~STEP 3の動きを、呼吸に合わせて3~5回ほど繰り返します。ただし、腰に痛みがある場合は、無理におこなわないこと。
上半身を広範囲で伸ばす、四つ這い&ねじりのストレッチで排泄力UP
起床後のダルい肩まわりや背中のストレッチに加えて、腹部を緩やかにねじることで、溜まったガス・便の排泄を促しましょう。
STEP 1:四つ這いになる。右ひじを肩の下につく
▲手は肩幅、足は腰幅に開き、肩の下に手首、股関節の下にひざをついた基本の四つ這いの姿勢になります。そこから、右ひじを床に下ろし、手のひらもしっかりと床につけておきましょう。
STEP 2:左ひじを右ひじの上に乗せるようにして、腕をクロスさせる
▲左手のひらを、右ひじの外側のやや離れた位置につきます。
STEP 3:息を吐きながら、左側頭部を床につける
▲上体を右側にねじり、左の肩周辺や腕のあたりが心地よく伸びるところで姿勢を保ちます。もし、この姿勢がツラい場合は、左側頭部は床につけなくてもOK。腰が反りすぎないように、ヘソを引き上げ、お尻はひざの上をキープ。呼吸を5回繰り返したら、反対側も同様におこないます。
番外編:顔のむくみが気になる朝は、ヨガ「鋤(すき)のポーズ」
次は、番外編・ヨガの「鋤のポーズ」です。下半身を頭よりも高い位置に持ってくる逆転のポーズのひとつで、首・背中を深くストレッチ。顔の血流をUPさせる効果に期待できるでしょう。
※ 「鋤のポーズ」は、顔のむくみが気になる朝におすすめですが、強度が高いポーズなので、いくつかのストレッチをおこなったあとに、体の様子を見てから取り入れてみてください。
STEP 1:仰向けになる。両ひざを立てる
▲両手のひらを下に向けて、腕は体側に下ろします。足は軽く揃えておき、腰が反りすぎないように骨盤を軽く後傾させましょう。
STEP 2:足~腰の順に床から持ち上げる。手で腰を支えたら、つま先を頭の先に伸ばす
▲首ではなく、肩で体重を支えるようにしましょう。
STEP 3:つま先を頭の先に下ろし、床の上で両手の指を組む
▲座骨を真上に引き上げて、肩の上に腰がくるようにします。ここでも、肩でしっかりと体重を支えて、頭はただ床に置いておくだけです。つま先を床に下ろすのが難しい場合は、下にヨガブロックやクッションなどの高さのあるものを置いてもOK。呼吸を5回繰り返しましょう。
朝、ストレッチをするときの注意点3つ
最後に、朝、ストレッチをするときの注意点をお伝えします。安全に、効果的にストレッチをおこなうための参考にしてみてください。
1. 反動をつけない
反動をつけたり、強い力を入れたりしておこなう朝のストレッチは、怪我のもとです。伸びと、呼吸は少しずつ深めるように意識しましょう。
2. 痛みがでるまで伸ばさない
寝起きの可動域が狭い体を、無理に大きく引き伸ばそうとすると、痛みがでることがあります。ストレッチでは、ある程度の引っ張られる感覚は必要ですが、強く伸ばしすぎると肉離れを起こすこともあるので気をつけましょう。
3. “起きてすぐ”ではなくてもOK!
体の状態は、人それぞれ。起きてすぐには動けないという方は、顔を洗ったり、トイレに行ったり、日常動作で体を動かしたりすると徐々にスイッチが入ってくるので、タイミングにはこだわらなくてもいいでしょう。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。