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「巻き肩」って、どんな姿勢?
働く女性のあいだで急増中の、“巻き肩”。
巻き肩とは、読んで字のごとく、「両肩が正常な位置よりも前に出て、内側に入り込んだ姿勢」のことをいいます。この正常な位置よりも前というのは、肩が耳のラインよりも前にあることが目安だというと、どのような姿勢なのかイメージしやすいでしょう。
そして、ここでひとつ覚えておきたいのが、巻き肩と猫背の違いです。
◆巻き肩と猫背、どう違う?
巻き肩… 肩のラインが横に丸まった姿勢
→ 肩甲骨が左右に開いて、前にスライドしている
猫背… 背中のラインが縦に丸まった姿勢
→ 横から見たときに、背中全体がアルファベットの“C”の字を描いてカーブしている
巻き肩と猫背は、似ているようでありながら、厳密には同じ姿勢ではないのです。
では、今回のテーマでもある巻き肩になってしまうのは、どうしてなのか… その原因を見ていきましょう。
巻き肩になってしまう主な原因
巻き肩になってしまう主な原因は、私たちが日ごろからやりがちな姿勢と、大きな関係があります。
◆パソコンのキーボードに手を置く姿勢/スマートフォンを手に持つ、または覗き込むときの姿勢
腕を体の前に出して、肩を丸めた姿勢になりがち。
◆横向きの姿勢で寝る
横向きの寝相は、肩が内側に入り込みやすい。特に、下側の肩には、体重もかかって負担が大。
◆筋力の低下
正しい姿勢を保つためには、胸のまわりと背中側にある筋肉のバランスが大事。筋肉・筋力が低下すると、姿勢が崩れやすくなる。
とはいえ、筋肉量が少ない女性の場合、肩はどうしても内側に入りやすくなります。それに加えて、長時間のデスクワーク…。日々忙しく働く女性は、巻き肩のリスクと常に隣りあわせにあるといっても過言ではないでしょう。
肩こりだけじゃない「巻き肩」からくる不調
ここまでは、巻き肩がどういう姿勢で、どういった原因から生じるのかをお伝えしました。ここからは、巻き肩が引き起こす数々の不調について、ピックアップしていきます。
◆首こり・肩こり・頭痛など
肩が内側に入っていると、頭の位置が前方にスライドします。すると、頭の重さを支えにくくなって、首や肩への負担が大きくなり、こりへとつながります。また、そこから連鎖的に、頭痛や眼精疲労などを引き起こすこともあるでしょう。
◆姿勢の悪さが目立つ・腕まわりのサイズがUPする
肩が丸まって、頭が前に出た姿勢が固定されると、姿勢の悪さが目立ちます。さらに、肩や背中の筋肉がうまく使われなくなることで、腕の筋肉も緩み、リンパの流れが悪くなって老廃物が蓄積。腕に、脂肪がつきやすくなります。
◆気持ちが沈みやすくなる
巻き肩の姿勢では、肩まわりの筋肉が横に広がる一方で、胸は閉じた状態になっているのが特徴です。その結果、目線が下がったり、呼吸が浅くなったりして、気持ちが沈みやすくなることも考えられるでしょう。
「巻き肩」セルフチェック
次にお伝えするのは、自分が巻き肩なのかどうかを知るための、セルフチェックの方法です。
【1】床に仰向けになる
チェックポイント:肩や上腕が床につきにくい
【2】鏡の前に横向きに立つ
チェックポイント:体を横から見たとき、肩が耳のラインよりも前に出ている
【3】バンザイをする
チェックポイント:両腕を耳に近づけた状態でバンザイをしたとき、腕が耳よりもうしろにいかない
これらは、あくまでも目安なのですが、当てはまるものがあった場合は、巻き肩を疑ってみてもいいかもしれません。
肩が内側に入っていると思ったら…「巻き肩」矯正ストレッチ3つ
ここからは、巻き肩を矯正・改善する簡単なストレッチを3つ紹介していきます。
1. 肩の位置が正される感アリ! 腕を横・後方に引っ張るストレッチ
STEP 1:床に、ひざ立ちになる。腕は体のうしろにまわし、右手で左手首を持つ。
▲足は腰幅程度に開きます。腰が反ったり、丸まったりしないように、骨盤を立てておきましょう。左右の肩甲骨同士を中央に寄せて、胸を開くと、肩も外に開いてgood!
STEP 2:右手で左腕を右方向に引っ張る。
▲左腕は、なるべくひじを伸ばしたまま! お尻の中央から、やや右寄りまで引っ張りましょう。
STEP 3:【息を吐きながら】左腕を後方に引っ張り、体から離す。
▲首や肩が強く力まない程度に、左腕を体から離しましょう。呼吸を5~10回ほど繰り返したら、反対側も同様におこないます。
2. 座りながら! タオルを使ったストレッチ
STEP 1:タオルの両端を手で持つ。両腕を頭上に伸ばす。
▲腕は、タオル幅に広げます。腕の位置は、耳のラインが目安。前に倒れないようにしましょう。首と肩は、リラックスさせます。
STEP 2:【息を吐きながら】ひじを曲げて、タオルを肩のうしろまで下ろす。
▲両ひじは、体側に引き寄せます。余裕がある場合は、姿勢を保ったまま、手でタオルを外側に引っ張り合ってもOK。左右の肩甲骨同士を中央に寄せた姿勢を意識して、おこないましょう。呼吸を5~10回ほど繰り返します。
3. 仰向けで寝ながら! 肩を外側に開くストレッチ
STEP 1:仰向けになる。
▲手は、体側に下ろしておきます。
STEP 2:足を揃える。二の腕を背中の下にしまう。
▲片側ずつ背中を浮かせ、左右の二の腕を背中の下にしまいます。手はお尻の下で、手のひらを下向きにしましょう。肩を外側に回転させて、胸を開いたら、呼吸を5~10回ほど繰り返します。
肩が内側に入りやすいのは、起床後やデスクワークの最中・終了後。
ストレッチ[1]は、比較的場所を選ばずにおこなうことができるので、デスクワークの合間にもおすすめですよ。帰宅後は、ストレッチ[2][3]も合わせて、じっくりジワジワとストレッチをおこなってみてください。
ヨガインストラクター 高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。
Instagram:@saori_takagi