皆さんは、仕事や人間関係がうまくいかず、思わずため息をついてしまったことはありませんか? すっかり弱りきってつくため息のことを「青息吐息」と言います。どうして青色なのだろう、と疑問に思う方もいるかもしれませんね。
そこで本記事では、「青息吐息」の意味や使い方、類語、桃色吐息との違いを解説します。
「青息吐息」の意味
「青息吐息」は、「あおいきといき」と読みます。意味を辞書で確認していきましょう。
困って苦しいときなどに、弱りきって吐くため息。また、そのため息の出る状態。「物価高で―だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
苦しい状態にある時につくため息のことを、「青息吐息」というようですね。実際にため息をつく以外にも、精神的に追い詰められて余裕のないことのたとえとして使われることもあります。
ちなみに、「青息」だけでも「苦しみ嘆いた時につくため息」という意味があります。由来は定かではありませんが、一説には顔を青ざめて息を吐くということからという考えもあるようです。
使い方を例文でチェック!
「青息吐息」は、不景気や人間関係などで弱りきってため息をつく時に使います。具体例を見ていきましょう。
1:八百屋を営んでいる父は、経営が苦しく青息吐息だった。
お店の経営状態が悪く、精神的に落ち込んでいる様子を表しています。円安の影響で景気が悪く、赤字が続いているなどの理由も考えられますね。状況を改善する策がなく、弱りきってため息をついていることが想像できるでしょう。
2:職場の人間関係がうまくいかず、毎日青息吐息だ。
人間関係が原因で気持ちが落ち込んで、ため息が出ることもありますよね。悩みがありながらも第三者に相談することができず、憂鬱な状況が伝わってきます。このように、「青息吐息」は自分にも他人にも使うことができますね。
3:先輩は企画のいいアイデアが思い浮かばず、青息吐息だった。
仕事で行き詰まっていてため息をついている時にも、「青息吐息」が当てはまります。いいアイデアが思い浮かばず、締め切りばかりが迫り、精神的にも追い詰められていることがわかりますね。頬杖をつきながら、何か良いアイデアはないものかと悩んでいるようです。
類語や言い換え表現は?
「青息吐息」の類語には、「虫の息」「四苦八苦」「意気消沈」があります。気分が落ち込んだ時の表現として覚えてみてはいかがでしょうか?
1:虫の息
「虫の息(むしのいき)」はどのような意味でしょうか?
弱り果てて、今にも絶えそうな呼吸。また、その状態。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
まるで虫のように微かな息遣いを「虫の息」と言います。事故や病気などで今にも死にかかっている姿を目にして、「病院に担ぎ込んだ時には虫の息だった」などということもあるでしょう。「青息吐息」は精神的に落ち込んでいる時に使われますが、「虫の息」は生死がかかっている状況で使われる言葉です。
(例文)
・20年近く飼っている老犬は虫の息だった。
・病室で寝ている祖父は虫の息でした。
2:四苦八苦
「四苦八苦(しくはっく)」の意味は以下のとおりです。
[名](スル)
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1 非常に苦労、また、苦悩すること。「借金に追われて―する」
2 仏語。人間のあらゆる苦しみ。生・老・病・死の四苦と、それに愛別離苦・怨憎会苦(おんぞうえく)・求不得苦(ぐふとくく)・五陰盛苦(ごおんじょうく)を加えた八苦。
「四苦八苦」は、非常に苦悩すること。慣れない仕事で苦労したり、借金に追われて苦しむ時などに使われます。悩み苦しんでいることは「青息吐息」と同じですが、こちらにはため息をつくという意味は含まれていません。
(例文)
・祖母は慣れないスマホ操作に四苦八苦していた。
・兄は借りた金を返すのに四苦八苦していた。
3:意気消沈
「意気消沈」は、「いきしょうちん」と読みます。意味は以下のとおりです。
[名](スル)意気込みがすっかり衰えること。元気がなくなること。意気阻喪(いきそそう)。「惨敗して―する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ショックなことがあって、すっかり元気をなくしてしまうことを「意気消沈」と言います。「意気」は、「意気込み」など積極的な気持ちのことで、「消沈」は消え失せること。つまり気力がなくなってしまうことを指すのです。
(例文)
・上司から怒られてBさんはすっかり意気消沈していた。
・恋人からふられて弟は意気消沈していた。
桃色吐息という言葉も
「青色吐息」とそっくりな、「桃色吐息」という言葉を聞いたことはありますか?
「青色吐息」は辞書にも意味が載っている四字熟語ですが、「桃色吐息」は音楽の曲名や花の品種になります。歌手の高橋真梨子さんが歌い、1984年にCD発売されました。三貴のジュエリー「カメリアダイヤモンド」のCMソングにもなったため、聞いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。大人の妖艶な世界を描いた、エキゾチックな楽曲が特徴だとか。
また、もう1つの「桃色吐息」はペチュニアという花の品種を指します。鮮やかな濃い桃色が可愛らしく、春先から秋頃まで開花時期が長いことが特徴だそう。暑さや寒さ、病害虫にも強く育てやすいこともメリットだとか。桃色の色鮮やかさに思わずため息がこぼれそうですね。
最後に
「青息吐息」とは、「困って苦しいときなどに、弱りきって吐くため息」のこと。気分が落ち込むことを「ブルーになる」と表現することがあることからも、なんとなく憂鬱な気持ちであることが連想できますね。桃色吐息は全く異なる言葉なのでご注意を!
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