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2025.07.09

歌舞伎に生きる「女形」とは? 独特な役柄の読み方と意味を解説

「女形(おやま)」とは、「歌舞伎の舞台で女性の役を演じる男性」や「人形劇に登場する女性の姿をした人形」、「遊女」、「美しい女性を称える言い回し」の意味を持つ言葉です。「おんながた」とも読みます。この記事では「女形」の意味や歌舞伎での役割、現代の「女形」俳優を紹介します。

歌舞伎や人形劇にふれると、「女形」という言葉を耳にします。現代では主に歌舞伎に登場する役柄として知られていますが、「女形」の使い方には時代とともに移り変わりがあります。

この記事では、「女形」が、どのような意味を持っていたのかを辞書の記述にもとづいて紹介していきます。

「女形」という言葉の読み方に注目

「女形」という言葉は、どのように読むのでしょうか? まずは読み方と、それにまつわる由来を確認します。

「女形」の読み方の由来

「女形」の発音は、「おやま」または「おんながた」と読みます。

「おやま」という読み方については、「女形人形(おやまにんぎょう)」に由来するとされる説があるので見ていきましょう。「おやま」とは、女性の姿をした人形のことで、人形劇で使われていました。この人形の姿が歌舞伎にも受け継がれ、「女形(おんながた)」という役柄の呼び方になったと考えられています。

なぜ「おやま」なのか?

「おやま」という読み方には、美しいものを山になぞらえる日本語の感覚が影響しているともいわれています。

浄瑠璃『曾我会稽山(そがかいけいざん)』の中には、「今の世までも眉目(みめ)よき女をおやまといふも、この香具山のいはれなるべし」という記述があり、美しい女性を香具山にたとえて「おやま」と呼んだとされています。

参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

読書する女性
(c)Adobe Stock

「女形」という言葉の意味を知る

ここからは、「女形」という言葉の意味を、読み方ごとに確認していきましょう。

「女形(おやま)」の意味

辞書では、「女形(おやま)」は、次のように定義されていますよ。

おやま【女=形/女=方/お山】
《「おやまにんぎょう」から出た語という》
1 歌舞伎のおんながた。また、操り人形の女役の人形。
2 上方で、遊女。
「昼三とやらいふ―を買うたが」〈滑・膝栗毛・三〉
3 美しい女。
「今の世までも眉目(みめ)よき女を―といふも、この香具山のいはれなるべし」〈浄・会稽山〉
[補説]歴史的仮名遣いは、「をやま」「おやま」のいずれか未詳。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「女形」の意味として最もよく知られているのが、歌舞伎の舞台で女性の役を演じる男性の役者を指す使い方です。このほか、人形劇に登場する女性の姿をした人形、遊女、美しい女性を称える言い回しとしても使われています。

参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「女形(おんながた)」の意味

「女形(おんながた)」とは、歌舞伎において女性役を演じる、男性俳優のことを指します。辞書では、次のように説明されています。

おんな‐がた〔をんな‐〕【女形/女方】
歌舞伎で、女の役を演じる男の役者。また、その役柄。江戸初期に、女歌舞伎が禁止されて以後に現れた。おやま。⇔男形(おとこがた)。

引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

現代の歌舞伎で「女形」といえば、この意味で用いられるのが一般的です。

この役柄には、声の出し方、しぐさ、表情、衣装や化粧まで、女性らしさを表現するための繊細な技術が求められます。実際の女性をまねるのではなく、舞台上で女性らしく見えるための表現として磨かれてきた演技様式といえるでしょう。

歌舞伎における「女形(おんながた)」の役割とは?

「女形」とは、単に女性の代わりを務める存在ではありません。歌舞伎独自の美意識や演技様式の中で、大切な役割を担っています。

番傘
(c)Adobe Stock

「立女形(たておやま)」とは?

「女形」の中でも中心的な存在とされるのが「立女形」です。重要な役どころを演じるので、演技だけでなく、衣装や化粧、立ち居振る舞いにも高度な技術が求められます。

「女形」は男が演じるからこその美しさ

「女形」は、男性が女性を演じることで生まれる独特の表現でもあります。実際の女性とは異なる動きや所作をあえて強調することで、「理想の女性像」をかたちにしてきました。その工夫が、歌舞伎らしい華やかさや美しさにつながっているのです。

現代の「女形」俳優とは?

舞台で実際に活躍している女形俳優の姿を見ると、「女形」という言葉のイメージがより理解できますよ。

最近では、伝統的な歌舞伎の世界にとどまらず、音楽やテレビなどの分野でも「女形」という表現が広がりを見せています。ここでは、そんな多彩な「女形」の姿を紹介します。

テレビ撮影
(c)Adobe Stock

五代目・坂東玉三郎(歌舞伎役者)

坂東玉三郎さんは、現代を代表する「女形」のひとりです。繊細な動きや表情の美しさにより、舞台芸術としての評価も高く、多くの人々に感銘を与えてきました。

梅沢富美男(俳優)

梅沢富美男さんは、大衆演劇の座長として知られています。歌舞伎出身ではありませんが、舞台やテレビでの活動を通じて「女形」という存在を広く知らしめた人物です。

舞台での姿とバラエティでの姿とのギャップも話題になっていますよね。

V系バンドに見る「女形」スタイル

ヴィジュアル系(V系)バンドでは、メンバーが中性的なメイクや衣装で登場することがあります。その中でも、あえて女性のような見た目でステージに立つスタイルが「女形」と呼ばれることもあります。

「女形」スタイルは、美しさや妖しさを演出するための表現手段として用い、ファッション性を重視しながら、見る人の想像をかき立てるような演出が特徴ですよ。

おじさん系俳優の「女形」の人気

最近では、中年男性俳優が舞台やテレビドラマで女性の格好をして登場する演出が注目を集めています。これはいわゆる「女装」とは異なり、演技の一部として女性の所作や言葉づかいが取り入れられています。

見た目のインパクトに加え、あえて男性が女性を演じることで生まれるユーモアが、観客に強い印象を残します。役柄によっては、おかしさの中に、品や温かさを感じさせるものもあり、幅広い世代から人気を集めています。

最後に

「女形」という言葉には、歌舞伎だけでなく、古くは遊女や美人を指す意味まで含まれていました。時代の移り変わりの中で意味が整理され、現在では「歌舞伎に登場する女性役の男性俳優」という使い方が定着しています。今後、舞台を観るときや古典にふれるときに、「女形」という言葉の本来の意味を思い出すと、より理解が深まりますね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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