目次Contents
この記事のサマリー
・「貼付」の正しい読み方は「ちょうふ」。よく使われる「てんぷ」は慣用的な読み方です。
・「貼付」は紙などに直接貼る行為、「添付」は資料やデータを加えるときに使います。
・使い分けのポイントや例文を知っておくと、文章や会話での表現力がぐっと上がります。
ビジネスメールや医療に関わる場面などで見かける「貼付」という言葉。「てんぷ」や「ちょうふ」といった読み方が混在しているため、「読み方に自信が持てない…」と正しく使えているか不安になる人も多いのではないでしょうか?
また、「添付」や「貼布」といった似た言葉との違いも、いざ説明しようとすると意外と難しいものです。
そこで、この記事では、「貼付」の読み方と意味、実際の使い方まで丁寧に整理していきます。
「貼付」、何と読む? 意外と迷う読み方
まずは、読み方について確認していきましょう。

「貼付」の読み方は?
「貼付」の正式な読み方は、「ちょうふ」です。「てんぷ」とも読みますが、これはあくまで慣用読みです。
実際、ある職場で若手スタッフが「書類は『てんぷ』済みです」と口にしたとき、上司から「『ちょうふ』だよ」と静かに訂正されて、場の空気が一瞬だけピリッとしたことがありました。
「てんぷ」という読み方も誤りではありませんが、正式には「ちょうふ」です。言葉一つで年齢差や知識差が浮き彫りになることもあり、言い間違いに敏感になる理由のひとつかもしれません。
「貼付」の意味と使い方を押さえて、自然に使えるようにする
読み方だけでなく、意味や実際の使い方も整理しておくことで、日常の会話や文章の中でも自然に使えるようになります。言葉に対する自信が、コミュニケーションの余裕にもつながりますよ。

「貼付」の意味とは?
「貼付」は、物を貼りつけることを意味します。辞書では次のように説明されていますよ。
ちょう-ふ〔テフ-〕【貼付】
[名](スル)《慣用読みで「てんぷ」とも》はりつけること。「封筒に切手を―する」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
書類に写真を貼ったり、封筒にラベルを貼ったりといった場面で使われます。直接貼ることが前提で、挟む・同封するといった意味は含まれません。
使い方を例文でチェック!
具体的な場面での使用例を見ることで、「貼付」という言葉の使いどころがイメージしやすくなります。表現の選び方ひとつで、伝わり方にも差が出てきますよ。
「申請書には証明写真を貼付してください」
「貼付」は、書類などに物を「貼りつける」場面で使われます。就職活動や各種手続きでよく目にする、定番の言い回しです。
「製品ラベルは箱の右下に貼付してください」
業務指示やマニュアルにも使われる表現です。「どこに貼るか」を具体的に指示する場面でも、自然と使えます。
「添付」との違いはどこ? 誤用を避けるコツを紹介
「貼付」と「添付」を同じように使っていませんか? ビジネスメールなどで混同されやすい表現の違いを、具体的な場面とともに見ていきましょう。
「貼付」と「添付」はどう違う?
「貼付」は、紙や物の表面に直接何かを貼りつけることを指します。一方、「添付」は、書類やメールに補足資料を付け添えることを意味します。
例えば、用紙に写真を糊で貼るなら「貼付」、メールにファイルを付ける場合は「添付」が適しています。
以前、社内メールで「領収書を貼付のうえ提出してください」と書かれていたことがありました。そこで、新人であった筆者は申請書に領収書をクリップでまとめて提出しました。
しかし、実際には「紙の領収書を申請書に貼ること」が求められていたようで、提出し直すことに…。形式や提出方法に関わる言葉は、ちょっとした違いが手間や誤解につながることもあるのだと実感した出来事です。
「貼付」と「添付」の書類やメールでの正しい使い分け
「貼付」は「貼りつける」動作そのものを、「添付」は「補足として加える」という意味を持つため、使い分けの意識が重要です。ここでは、誤用を避け、自然な言葉選びができるよう意識的に整理しました。
以下に、「貼付」と「添付」の使い分けがよくわかるように、それぞれの具体例を紹介します。
「貼付」を使う場面と例文
例:荷物の外装に伝票を貼付してください。
→段ボールや封筒に送り状を物理的に貼るときに用います。業務でよく見られる表現です。
「添付」を使う場面と例文
例:契約書の控えを添付しておりますのでご確認ください。
→本文とは別の補足資料を加えて送るときに適しています。

医療の現場で使われる「貼付剤」とは?
「貼付」の意味を深掘りするうえで欠かせないのが「貼付剤(ちょうふざい)」。ここでは、「貼付剤」について詳しく見ていきましょう。
「貼付剤」とはどういうもの?
「貼付剤」とは、粘着剤に医薬品を混ぜて布などに塗り、皮膚に貼って使用する薬剤のことです。いわゆる「はりぐすり」と呼ばれるもので、湿布薬やニコチンパッチなどがその代表例。貼る場所や使用時間に一定のルールがあり、使い方を守ることが大切です。
貼り方や注意点
貼付剤は、粘膜、傷口、湿疹など肌が敏感になっている部分への使用を避けましょう。汗や水分はしっかり拭き取ってから貼るのが基本です。
使用方法を誤ると、薬の効果が十分に得られないだけでなく、かぶれや炎症の原因にもなります。使う前に説明書を確認し、医師や薬剤師の指示に従うことが肝要です。
筆者自身、肩こりで整形外科を受診した際に湿布薬が処方されました。使用説明書に「1日2回まで」「皮膚が乾いた状態で貼る」とありましたが、入浴後すぐに貼ったことで肌が赤くなってしまった経験があります。貼付剤も薬ですから、貼り方ひとつで肌への影響が出ることもあると実感しました。
注意したい「貼布」「塗布」との違い
「貼布」は、湿布薬などを体に貼りつけることを意味します。一方、「塗布(とふ)」は、軟膏やクリームなどを塗りつけることを指します。
ちなみに、「塗布剤(とふざい)」は「ぬり薬」のことで、貼付剤とは形状や使い方が異なります。意味や用途の違いを押さえておくと、場面に応じた言葉選びがしやすくなりますね。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「貼付」の類語や反対語、英語表現をチェック!
言葉の幅を広げておくと、場面に合わせて自然に言い換えることができます。ここでは、「貼付」と意味が近い言葉や反対の意味を持つ表現、英語での言い方について整理しておきましょう。

「貼付」の類語と反対語(対義語)
類語としては、「貼り付ける」「くっつける」「接着する」といった表現が挙げられます。いずれも日常でよく使われる言い回しで、イメージも伝わりやすい言葉ですね。
反対語には、「剥がす」や「剥離(はくり)」があります。「剥離」は、貼っていたものが物理的に剥がれることや、意図的に剥がす行為を指します。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
英語で「貼付」はどう表現する?
英語では、“stick (on)”や“paste (on)”、“affix (to)”などの表現が用いられます。ビジネスの文脈では“attach”が用いられることもありますが、物理的に貼るという意味では“stick”や“affix”が適切です。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
「貼付」に関するFAQ
ここでは、「貼付」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「貼付」と「添付」の違いがいまいちピンときません。どんな場面で使い分けるのが自然ですか?
A.「貼付」は紙などに直接貼る動作を表し、「添付」は書類やメールに補足資料を加えることを意味します。
例えば、申請書に証明写真を糊で貼る場合は「貼付」、メールにファイルを付けて送る場合は「添付」と使い分けます。
Q2. 「貼付」は「てんぷ」と読んでも間違いではないですか?
A.慣用読みとして辞書にも紹介されているので、誤りではありません。
ただし、正式には「ちょうふ」と読むことを覚えておきたいですね。
Q3. 「貼付」と「添付」の使い方を間違えると印象が悪くなりますか?
A.場面によっては、少し違和感を与えることがあります。
特に目上の人とのやりとりや文書作成では、適切な言葉選びが求められます。「貼付」と「添付」を正しく使い分けられると、細やかな配慮が伝わりやすくなりますよ。
最後に
「貼付」の意味や正しい読み方は理解できましたか? 履歴書などに写真を貼り付けるときは「貼付」。メールにファイルを添えて送る時には「添付」が適切です。正しい漢字の読み方と使い方を覚えて、いざという時に自信を持って使い分けられるようになりましょう!
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