「見紛う」という言葉を目にしたとき、何と読めばいいか迷う人も多いのではないでしょうか? 文学的な表現で多く使われることから、日常ではあまり見かける機会が少ないかもしれませんね
この記事では、「見紛う」の読み方や意味、使い方を紹介していきます。
「見紛う」とは? 読み方と意味を確認
「見紛う」は「みまがう」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
み‐まが・う〔‐まがふ〕【見▽紛う】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
一[動ワ五(ハ四)]見まちがえる。見あやまる。「海かと―・う大湖」
二[動ハ下二]一に同じ。
「いづくともなく雪の降り置きたるに―・へられ」〈枕・四〇〉
「見紛う」とは「見まちがえる」ことを指します。比喩的表現として使われることが多いでしょう。主に文章で使われます。
「見紛う」という言葉は『源氏物語』や『枕草子』といった古典文学の中にも登場します。このことから、古くから使われてきた言葉だとわかりますね。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)

例文で「見紛う」の使い方を確認
実際にどう使うのかは、例文を見てみるとより理解が深まります。ここではよく使われる形での具体的な使用例を紹介していきましょう。
遠くに見える湖は、まるで海と見紛うほどに広く青かった。
この例文では、「海と見紛うほどに」という表現を使い、「湖が海のように見間違えるほどのスケールであった」ことを表しています。
舞台に現れた彼女の姿は、まるで女神と見紛うばかりの美しさだった。
この例文では、ほめ言葉として「見紛う」が使われています。感情を込めた印象描写にぴったりの使い方です。

雪に覆われた町並みは、昔話の一場面と見紛うような幻想的な雰囲気を漂わせていた。
「昔話の一場面と見紛うような」とすることで、非日常の情景を印象づけています。「見紛う」は、現実と幻想の境界が曖昧になるようなときにも用いられます。
「見紛う」の類語や言い換え表現を紹介
「見紛う」と似た意味を持つ言葉を紹介します。場面に応じて、言葉を使い分けるヒントになるかもしれません。
見誤る(みあやまる)
「見誤る」は、見たものを他のものと間違えることを表します。「人物を見誤る」「状況を見誤る」など、見た目に限らず、性格や本質を誤解するときにも使えます。
見間違える(みまちがえる)
「見間違える」は、見たものを別のものと間違えるときに使います。「知人と見間違えた」などというように、日常会話でもなじみのある言葉です。

「見紛う」が使われている作品にふれてみる
「見紛う」という言葉は、現代の創作物の中でも印象的に使われています。特に詩的な作品や楽曲では、幻想的な情景や感情の揺らぎを表現する際に、響きの美しさを生かして選ばれることがあるようです。
『夕刻、夢ト見紛ウ』とは?
『夕刻、夢ト見紛ウ』は、そらるさんとまふまふさんの音楽ユニット・After the Rainの楽曲で、作詞・作曲はまふまふさんが手がけています。春の情景を描いた楽曲としては、『桜花ニ月夜ト袖シグレ』に続く作品であり、夢と現実のはざまにいるような独特の世界観が印象に残ります。
最後に
「見紛う」という言葉は、現代ではあまり耳にしない表現かもしれません。だからこそ、日常の中に繊細な情緒や美意識を添える言葉として、あらためて味わってみたくなるものです。言葉の奥行きを知ることで、物の見え方や感じ方にも、小さな変化が訪れるかもしれませんね。
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