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「参考にさせていただきます」の基本的な意味
「参考にさせていただきます」は相手の意見や受け取った資料、もらった情報を自分の判断や行動に活かす意図を丁寧に伝える表現です。
相手を尊重するニュアンスが含まれていて、ビジネスメールや会話でよく使われています。
一方で「参考にする」だけで「必ず実行する」という意味は含まれていない言い回しです。
【NG実例】「参考にさせていただきます」の失敗事例

「参考にさせていただきます」は使いやすいフレーズではありますが、実態に即していない形で気楽に使ってしまうと、思わぬトラブルを招く場合も…。
筆者が見聞きした事例のなかから、アラサーがうっかり失敗しやすいパターンをピックしました。
♦︎これはダメ!:実際には参考にしていないのに何度も使ってしまう
先輩から資料を受け取った場面などでは「参考にさせていただきます」は定番のフレーズ。
しかしもらった資料に目を通すこともなく、ただ口先だけで「参考にさせていただきます」を繰り返してしまえば、いずれは相手も“実際には参考にしていない”と知りガックリ… となってしまいます。
形式だけで何度もこのフレーズを使うと信頼まで損ないかねませんから、実態に即した使い方を心がけていきましょう。
♦︎これはダメ!:取引先への返信で安易に使いすぎる
取引先からの提案や営業の連絡に対して「参考にさせていただきます!」とだけ返信をして、実際には読んでもいない… というのは、好ましくない事例のひとつ。
その取引先との関係性や後日の対応次第では「本当に読んでくれたのかな?」「テキトーな返事をしただけ?」と疑問に思わせてしまいますし、関係がスムーズに進まなくなるリスクも潜みます。
受け取った提案やメールの内容に対しては、感謝の言葉や具体的に活かす場面を添えつつ丁寧な返信を心がけると◎。
♦︎これはダメ!:定型句として使ってしまう
「参考にさせていただきます」は、相手からの提案や営業の連絡に対してひとまず返信を送る場面でも便利なフレーズです。
しかし、この言葉を受け取った相手からすると「“参考”ということは、こちらの提案は却下されたのだな」と解釈したり、逆に「“参考にする”と言っているから好感触なので、このまま進めていいのだな」と誤解をしたりするケースも…。
つまり定型句として安易に使ってしまうと、相手の受け取り方によっては後日のトラブルを招きかねません。
相手がどう解釈するかも考慮をしてメールの文章を考えると、誤解を避けやすくなるでしょう。
「参考にさせていただきます」を自然かつ上手に使うには?

「参考にさせていただきます」を、ビジネス上のコミュニケーションにおいて自然かつ上手に使うためのポイントを整理しましょう。
♦︎感謝の言葉を添える
相手の言葉に対して、感謝の言葉も一緒に伝えるように心がけると丁寧な印象を与えられます。
例:「ご指摘ありがとうございます。参考にさせていただきます」
♦︎具体的な活かし方を伝える
相手の提案や意見を、どこにどう活かすのか具体的に示すと定型文の印象が薄れて誠意が伝わりやすくなります。
例:「今後の企画書作成の参考にさせていただきます」
♦︎承諾や実行の意思は別の文で明確に記す
承諾や実行の意思など、相手に誤解をされたら困る重要なニュアンスについては「参考にさせていただきます」とは別の文で明確に記しましょう。
例:「参考にさせていただきます。実施の可否は検討後にご報告します」
「参考にさせていただきます」の言い換え例

「参考にさせていただきます」を言い換えるときに、アラサーが使いやすい表現をまとめました。
♦︎「今後の検討材料とさせていただきます」
上司や取引先からの提案に対して、すぐに実行はしないものの考慮をしたいときには「今後の検討材料とさせていただきます」と言い換えるとスマートです。
もらった意見をそのまま取り入れるわけではなくても、社内やチームで検討する材料として活用させていただく意思を伝えられます。
ただし「今後の検討材料とさせていただきます」だけで用いると「保留」と受け取られることもあるため、感謝の言葉や具体的な活かし方についても添えると、より丁寧なコミュニケーションにつながります。
♦︎「ご教示いただいた内容を踏まえて対応いたします」
「ご教示いただいた内容を踏まえて対応いたします」は、先輩や上司から助言や指導を受けたときに相手の指導やアドバイスをもとに具体的な行動を起こす意志を示すフレーズです。
ただし自分が“教示”を受けた立場であることが前提となる表現ですから、同僚や取引先には適さない場合があります。あくまでも指導を受ける立場であるときに限定したほうがいいでしょう。
♦︎「参考情報として大切にさせていただきます」
「参考情報として大切にさせていただきます」は外部の資料や報告書、提案書を受け取ったときに、その資料や情報を大切に扱う意思を伝えられる言葉です。
次のアクションに結びつく要素は少なく「参考にさせていただきます」と似ているニュアンスですが、丁寧な言い方を強調できる言い回しです。
「参考にさせていただきます」の多用は控える
「参考にさせていただきます」は使いやすい表現ではありますが、ビジネスメールや社内連絡で多用してしまうと文章が単調になってしまい、相手からは「定型文を送っているだけ」とも誤解されがちです。
このフレーズを上手に使うには、必要な場面で丁寧に用いる心がけが大切。
単なる定型句としてではなく、状況や相手に応じて言い換え表現を取り入れたり感謝の一言を添えたりできれば、柔らかい印象になって誠意も伝わりやすいでしょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



