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「馴染み」とは?意味や読み方
「馴染み」とは、よく慣れ親しんで知っている人やもののことです。長年連れ添った配偶者を「馴染み」と呼ぶこともあります。
また、江戸時代には政府公認の遊郭(ゆうかく)に通い慣れた客を「馴染み」と呼びました。
現代社会では「馴染みの店」、「昔の馴染み」のように用いるのが一般的です。いずれも昔からよく知っており、親しみのある場所や人であることを表現できます。
な‐じみ【×馴染み】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 なれ親しんで知っていること。また、その人。「馴染みの店」「昔の馴染みに会う」
2 同じ遊女のもとに通いなれること。また、その客。遊女の側からもいう。
3 長年つれ添った夫、または妻。
「―に別れての当座は」〈浮・一代男・二〉
「馴染み」の使い方や例文
以前から親しみがあるものには「馴染み」という語句が当てはまります。具体的な使用例を参考に、日常生活やビジネスシーンに取り入れてみてください。
・今日の議題は自分には馴染みがなく、なかなか会話に参加できなかった
・先方にリラックスしてもらえるよう、会食は先方の馴染みの店で行うことにした
・従来の方法に馴染みがあるぶん、新しいシステムを使いこなす自信がない
・先輩は、最近話題のイタリアンに10年前から通い続ける馴染み客らしい
・たまたま訪れた居酒屋で、昔の馴染みに再会した
・新郎新婦の馴染みの店で、心温まる結婚パーティーが開かれた
「馴染み深い」の意味と使い方
「馴染み深い」とは、長年親しみがあり、よく知っていることです。以下のように、「馴染み」より人やものとの関係が長く、深いことを表します。

・A社の味噌は、日本の食卓に馴染み深いロングセラー商品だ
・人気商品の海外販売が決まったため、現地で馴染み深いモチーフをラベルデザインに取り入れてみた
・駅前で40年以上営業を続ける駄菓子屋は、地域の人々にとって馴染み深い存在だ
・コーヒーを飲みながら、店内に流れる馴染み深いメロディに耳を傾けた
・連休中は地元に帰り、子どもの頃から馴染み深いB級グルメを味わった
「耳馴染みがいい」の意味と使い方
聞きやすかったり、覚えやすかったりすることは「耳馴染みがいい」と言い表します。おもに音楽や言葉などに対して用いる表現です。それらに慣れ、親しみをもつという意味が含まれます。
・人気ミュージシャンの新曲は耳馴染みがよく、人々の心を掴んでいる
・自分の仕事について説明する際は、難しい用言を避け、耳馴染みのいい言い回しをするよう心がけている
・思わず口にしてしまうような、耳馴染みのいいキャッチフレーズを考えてほしい
・悪徳商法に騙されないよう、耳馴染みがいい言葉だけを並べるようなサービスには気を付けてください
「馴染み」の類語や言い換え表現
「馴染み」には、以下のような類語や言い換え表現が挙げられます。
・得意(とくい)
・上客(じょうきゃく)
・幼馴染み(おさななじみ)
・知己(ちき)
状況によっては「馴染み」より、これらの語句のほうが適しているケースもあるかもしれません。適切な表現ができるよう、それぞれの意味を確認していきましょう。

「得意(とくい)」
「得意」とは、自分の思い通りになり誇らしげなことです。また、「馴染み」と似た「親しい友」という意味もあります。
ビジネスシーンでは、いつも取引する相手を「得意」と言い表します。たとえば「得意先」は、日常的に取引があり、自社のサービスや商品をよく利用する相手のことです。相手を敬い「お得意」、「お得意様」と呼ぶこともあります。
・新しいキャンペーンについて説明するため、今日は1日かけて得意先を回った
・その店のお得意様になると、よりきめ細やかで特別なサービスが受けられるらしい
「上客(じょうきゃく)」
宴席などにおいて、上位とされる「上席」につくべき客のことを「上客」と呼びます。ビジネスシーンにおける「上客」は、それほどまでに大切なありがたい客のことです。
親しみを意味する「馴染み」と比べると、相手を敬うニュアンスが強まるといえるでしょう。取引において重要かつ、得意先のなかでも「上得意」と呼べる存在に適した表現です。
・ビジネスでは新規開拓も重要だが、上客への細かなフォローも忘れてはならない
・この仕事を始めてから関わりのあるA氏は、自分にとって上客といえる存在だ
「幼馴染み(おさななじみ)」
「幼馴染み」とは、子どもの頃から親しい人のことです。「馴染み」とするより、相手との関係性をより詳細に伝えられます。
はっきりとした定義はないものの、物心がついたときからの知り合いであれば「幼馴染み」だといえるでしょう。
・取引先に幼馴染みがいて驚いてしまった
・お互いの両親が友人で、彼とは小学校時代から幼馴染みなんです
「知己(ちき)」
「知己」には、「馴染み」のような知人や友人などの意味があります。異なるのは、「自分を理解してくれる人」という意味をもつ点です。
付き合いの長さに関わらず、親友と呼べる相手は「知己」にあたるといえます。たとえば「知己を得る」は、「自分の理解者を得る」ということです。
「面識を得る」というニュアンスも間違いとは言い切れませんが、人によっては受け取り方が異なるかもしれません。
考えと異なる意味が伝わってしまわないよう、「知己」は理解者を表す言葉であることを理解したうえで使用するとよいでしょう。
・同期の彼女とは、長年さまざまな悩みを共にしてきました。入社をきっかけに、またとない知己を得た思いです
・知己を頼って上京したものの、今後の具体的なプランはまだ決まっていない
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「馴染み」や類語をビジネスシーンに取り入れよう
「馴染み」は慣れ親しんだ物事に適した言葉です。「馴染み客」や「昔の馴染み」のように、人に対しても使用できます。
長年親しみがある場合は「馴染みが深い」という言い回しが適切です。聞きやすいことなどは「耳馴染みがいい」と表しましょう。
また、「馴染み」には「得意」をはじめとするさまざまな類語があります。紹介した意味や使用例を参考に、ビジネスシーンに取り入れ、会話やメールなどで活用してください。
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