目次Contents
「いかがでしょうか」の基本的な意味をチェック!
「いかがでしょうか」は「どうでしょう?」「どうですか?」の丁寧な言い回しにあたり、相手に何かを尋ねるときに用いられています。
ビジネス上でよく使われているシーンとしては、こちらからの提案後に相手の反応を伺うときや商談で商品の導入を勧めるとき、メールの結びで相手に判断を委ねるときなどが挙げられます。
敬語として使われていて相手に確認や承認を求めるときによく用いられていますが、万能なフレーズというわけでもないため使うにあたっては場面を見極める必要があります。
「いかがでしょうか」で失敗も! アラサーの実例

「いかがでしょうか」は丁寧な言い回しですが、相手にニュアンスが伝わり切らない場合には誤解やトラブルを招くこともあります。
筆者が実際に見聞きした事例から、アラサーが失敗した例を紹介しましょう。
♦︎失敗例:「確認」のつもりが強引な印象を与えた
取引先へのメールにA案とB案を記し、相手にどちらにするかを尋ねる意図で「こちらのA案で進める形でいかがでしょうか?」と記載をした20代後半のAさん。
Aさん的には「A案でよければ、すぐにでも進めたい」という“確認”の意味で使っていましたが、相手には「もうA案で決定していいですか?」という強引なニュアンスに受け取られてしまいました。
その結果、B案に傾いていた担当者が「押し切られた」と感じてしまったのか、以前よりもよそよそしい関係になってしまいました。
>>どうすればよかった?
メールは対面での会話と異なり、微妙なニュアンスが伝わりにくいもの。「いかがでしょうか?」が提案ではなく承認を求めているように受け取られることもあります。
選択肢がある場合には誤解を防ぐために「A案であればすぐに動けますが、B案でももちろん対応可能です。ご意見いかがでしょうか?」などと、相手の判断を尊重する言葉を加えると誤解を防ぎやすいでしょう。
♦︎失敗例:気遣っただけなのに責任転嫁と受け取られた
社内で同じチームになった上司に、確認メールを送るにあたり毎回「いかがでしょうか?」を使っていた30代前半のBさん。Bさんとしては丁寧に相手を気遣ったつもりだったものの、上司から「自分で考えずに、責任をこちらに丸投げしているように感じる」と指摘されてしまいました。
>>どうすればよかった?
「いかがでしょうか?」は柔らかなニュアンスがあるものの、場面によっては“自分で判断しない姿勢”と映ってしまうリスクも伴います。
Bさんのように上司に何かの確認をとる際には、「〜で進めようと思いますが、問題ないでしょうか」や「〜で進めたいのですが、ご意見があればお願いします」など、自分の意思を先に示してから添えるほうが好まれがちです。相手任せに受け取られないよう、主体性を持った表現を心がけて。
「いかがでしょうか」を上手に使うポイント

「いかがでしょうか」を自然なコミュニケーションの言葉として用いるポイントを整理しましょう。
♦︎「提案」よりも「確認」で使うと誤解が少なくなる
「いかがでしょうか」は提案でも使える表現ですが、メールやチャットなど誤解が生じやすいコミュニケーションツールでは「確認」の意味合いで使うと角が立ちにくいでしょう。
「明日の15時にお打ち合わせを設定させていただきましたが、ご都合いかがでしょうか?」や「こちらの内容で資料を作成する形でいかがでしょうか?」など、“何に対して相手の確認をもらいたいのか”が明確であるほど、スムーズなコミュニケーションにつながります。
♦︎1通のメール内で多用しない
「いかがでしょうか」は丁寧な言葉ではありますが、繰り返しすぎると冗長な印象や丸投げ感が出てしまいます。
1通につき1回を目安にし、確認事項が複数ある場合には「〜でよろしいでしょうか」や「ご都合はいかがですか」などのバリエーションを組み合わせると読みやすくなります。
♦︎なるべく文章の最後に置くと収まりが良い
「いかがでしょうか」は、文の締めに使うと自然です。
文中に入れ込んで「いかがでしょうか」のあとにも文が続いてしまうと、読んでいる人が次の文を読み進めていくうちに確認を求められている事柄を忘れがちでもあります。
相手に何らかの確認を求めるときには、文中よりもメールを読み終えるタイミングで確認を促される流れがスムーズです。
「いかがでしょうか」の言い換え例

「いかがでしょうか」の言い換えバリエーションをチェックしておきましょう。
1通のメールやチャット内で複数の確認事項がある場合には、言い換えをうまく使って読みやすい文章を心がけると◎。
♦︎取引先や目上の相手には… フォーマルに確認を
取引先や目上の相手に「いかがでしょうか」を言い換えるなら、さらにワンクッション置いた表現にすると丁寧さが増します。
例:
「〜よろしいでしょうか?」
「ご検討いただけますでしょうか?」
「ご確認いただけますと幸いです」
♦︎社内の人や同僚には… 堅苦しくなりすぎない言葉を
社内の人や同僚に対しては、堅苦しくなりすぎずにフラットな言葉を使うと心理的距離が縮まります。
例:
「〜で、大丈夫ですか?」
「〜で問題ないですか?」
「〜で進めてもいいですか?」
♦︎ビジネス上の意見を求めたいときには… 押し付けがましさを避ける
ビジネス上のコミュニケーションで相手の意見を求めたいときには押しつけがましさが和らぐ言い換えを選ぶと、相手の判断を尊重する姿勢が伝わりやすいでしょう。
例:
「ご意見があればお聞かせください」
「ご興味ございますでしょうか?」
「よろしければ、こちらで進めてもよろしいでしょうか?」
「いかがでしょうか」は注意しながら柔軟にアレンジを
「いかがでしょうか?」は、アラサーがビジネスでもプライベートでもよく使う便利なフレーズです。
しかし使いどころや使い方を誤ると、誤解を招いたり押し付けがましい印象を与えたりする点には注意をしておきましょう。
「いかがでしょうか」は万能なフレーズではありません。相手との関係性や場面に応じて、柔軟にアレンジして用いるよう意識してみてくださいね。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



