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「よろしくお伝えください」ってどういう意味のフレーズ?
「よろしくお伝えください」は、相手に対して第三者へ自分の気持ちや依頼を伝えてもらうときに使う丁寧な表現です。
例文:
「○○様に、どうぞよろしくお伝えください」
「ご家族の皆様にもよろしくお伝えください」
このように直接会えない相手やその場で直接伝えられない相手に対して、感謝や挨拶の気持ちを伝える役割をもっています。
アラサー世代に多い「よろしくお伝えください」のビジネスでの使い方

アラサー世代の社会人がよく直面するシーン別に「よろしくお伝えください」が使われる場面を解説します。
♦︎上司への橋渡しとして
アラサー世代は中堅社員として後輩を育てつつも、まだ上司の承認が必要な立場にある人も多い年代。
そのため上司への橋渡しとしての連絡で「よろしくお伝えください」がよく用いられています。
例文:
「本日の打ち合わせ内容について、部長にもよろしくお伝えください」
自分が直接上司に報告する前に、先に伝えておいてほしいときに使える便利な表現でしょう。
♦︎取引先のキーパーソンへの配慮として
アラサーは、顧客担当として信頼関係を築く場面が増える時期。そのため取引先のキーパーソンへの配慮が求められるシーンでも「よろしくお伝えください」はよく使われます。
例文:
「本日はありがとうございました。いつもご協力いただいている○○課長にも、くれぐれもよろしくお伝えください」
やり取りをしている担当者だけでなく関係者全体に配慮している気持ちを示すことで、ビジネスマナーの高さを印象づけやすいでしょう。
♦︎異動・転勤シーンでの挨拶文に
同年代の仲間や先輩・後輩との人脈が広がる時期であるアラサーは、異動や転勤に関わる場面も増えがちです。
「よろしくお伝えください」は、挨拶文に添えるフレーズとしても一般的に用いられています。
例文:
「新しい部署の皆さまにも、よろしくお伝えください」
このようにひと言添えると、自分が会えない相手へも丁寧に挨拶している姿勢を示しやすいでしょう。
♦︎プロジェクトメンバーへの伝言に
アラサー世代はプロジェクトの中核を担う役割も多く、他部署の人とのやり取りも増える世代。
日常的なメンバーへの伝言でも「よろしくお伝えください」は、頻繁に使われています。
例文:
「この件については○○チームの皆さんにもよろしくお伝えください」
関係者全員に、感謝や協力依頼を届ける姿勢を届けやすいフレーズでしょう。
アラサー世代が「よろしくお伝えください」を用いる注意点

アラサー世代が「よろしくお伝えください」を用いる際には、気をつけておくべき点もあります。
ポイントを3つ解説します。
♦︎定型文的な「丸投げ感」を与えないようにする
アラサーになると「誰かから言われたことをするだけ」ではなく、自分で仕事に対して責任を持つ姿勢が求められます。
そのため「よろしくお伝えください」による丸投げ感が出ないように配慮しましょう。
たとえばメールに「○○部長によろしくお伝えください」とただ書くのも間違いではありませんが、ここに「私からも改めてご挨拶させていただきます」と添えると、定型文的な丸投げ感を回避できます。
♦︎あいまいな「よろしく」で済ませない
アラサー世代は、ある程度の社会経験を積んでいる世代なので「新人」ではありません。そのため日常的なビジネス言葉にも、より丁寧な表現が求められます。
「よろしく」だけでは意味が伝わりにくいシチュエーションでは「感謝の意をよろしくお伝えください」や「先日の件について○○様にもどうぞよろしくお伝えください」など“何について伝えてほしいのか”を記したほうが誠実な印象を与えられます。
♦︎社内と社外で表現を切り替える
アラサーは社内からも社外からも何かと目を向けられやすく、仕事ぶりが注目されやすい年代。
一方で、社内ではフランクな言葉が好まれても、相手が社外であればより配慮した言葉が求められます。
たとえば、社内の人になら「○○さんによろしく伝えてください」が適切な社風でも、相手が社外であれば「○○様にくれぐれもよろしくお伝えください」とワンランク上の敬意を表すなど、同じ趣旨の言葉でも使う表現には切り替えが必要です。
【実録】アラサー世代は注意!「よろしくお伝えください」の失敗談

アラサー世代が「よろしくお伝えください」にまつわる失敗をしてしまったエピソードを紹介します。
人のふり見て我がふり直せ…!?
♦︎相手にこちらの意図が伝わらなかったケース
「取引先との打ち合わせを終えた後に、決定権のある相手の部長にも内容を伝えてもらいたかったので、打ち合わせにいた取引先の人へのお礼メールで『○○部長にも、よろしくお伝えください』と書きました。
けれどメールを受け取った相手は、私が先方の部長に商談の内容を伝えてほしいという趣旨とは受け取らなかったらしく“打ち合わせでどんな話をしたのか”が先方の部長には伝わらないままに…。
結果的に相手の部長には中途半端な情報しか届いていなくて、後日私と私の上司が契約にお伺いしたときにトラブルになってしまいました(泣)」(35歳女性)
学び:
相手にお願いする“伝えてほしい内容”を明確にしたうえで「私からも、改めてご報告いたします」と補足すべきだった事例です。
相手の部長に把握してもらいたい内容を資料にまとめてから送付をすれば、さらにGOOD◎。
♦︎心を込めたつもりが機械的だと思われたケース
「商談後に、取引先に対して『今日はありがとうございました。課長にもよろしくお伝えください』と伝えました。
ところがその場にいた先輩から『なんだか形式的で、まったく誠意を感じない言い方だった』と指導を受けました。こちらは気持ちを込めたつもりの言葉でしたが、言い方が悪かったせいか逆にマイナスの印象を与えてしまったかもしれないと落ち込みました」(29歳女性)
学び:
機械的な言葉に受け取られてしまって、残念ながらも真心が届かなかった事例です。
確実に真心を届けたいシーンでは「課長にも、日頃のご協力に感謝している旨をくれぐれもよろしくお伝えください」などと、心からの感謝がわかるよう具体的な文言を入れると言葉に温かみが増しますよ◎。
「よろしくお伝えください」は周囲との関係を円滑にする目的で用いる
アラサー世代は、ビジネスにおける信頼を積み重ねる時期だからこそ「よろしくお伝えください」の使い方ひとつでも印象が大きく変わります。
丁寧なコミュニケーションを心がけるうえでは、曖昧な印象や形式的だと受け取られやすい言い回しは避けるべきで、対面で用いる際には表情にも気を配りましょう。
ビジネスシーンで周囲との関係を円滑にするフレーズとして、上手に使ってみてくださいね。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。