目次Contents
この記事のサマリー
・「目は口ほどに物を言う」とは、目に表れる表情とは、言葉で話すのと同じくらいに気持ちを伝える、という意味です。
・江戸時代の川柳にも使われ、庶民の感覚に近い表現であったことが文献から確認できます。
・類語には「目は心の鏡」「目は心の窓」などが挙げられます。
「言葉では『大丈夫』と言っているけれど、目が泳いでいて不安そう……」。そんな経験はありませんか?
私たちは日常的に、相手の話す内容だけでなく、その「まなざし」から本音を読み取っています。それを象徴することわざが「目は口ほどに物を言う」です。
この記事では、言葉の由来から、具体的な使用例、さらに英語表現までを紹介します。
「目は口ほどに物を言う」の意味と語源
辞書の定義をもとに、「目は口ほどに物を言う」の正確な意味と由来を確認します。
「目は口ほどに物を言う」の意味
「目は口ほどに物を言う」を、『デジタル大辞泉』では以下のように定義しています。
目(め)は口(くち)ほどに物(もの)を言(い)う
情のこもった目つきは、口で話すのと同じくらい気持ちを表現する。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「目は口ほどに物を言う」は、言語に頼らずとも視線やまなざしによって感情が伝わる、という表現であることがわかります。
「目は口ほどに物を言う」の由来
「目は口ほどに物を言う」は、明確な語源が特定されているわけではありません。
1801年刊の『柳多留拾遺』には、「気があれば目も口ほどにものをいひ」という川柳が見られ、19世紀から20世紀初頭の文献にも繰り返し登場しています。
当初は「目も口ほどに物をいふ」という形が一般的でしたが、時代を経て「目は口ほどに物を言う」へと変化し、現在の形で定着しました。
出典:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』、『故事俗信ことわざ大辞典』(すべて小学館)

「目は口ほどに物を言う」の使い方と実例
「目は口ほどに物を言う」の具体的な使用例を紹介します。
「部長は『自由にやっていい』と言ってくれましたが、目は口ほどに物を言うという通り、視線の鋭さから本当は懸念されているのだと感じました」
「建前」の奥にある本音を読み取った場面での用例です。言葉では肯定していても、目が険しかったり、視線が落ち着かなかったりする場合は、慎重な判断が求められます。
「目は口ほどに物を言うといいますし、納得されていないご様子を拝察しました。もしよろしければ、改めて補足説明を差し上げてもよろしいでしょうか?」
相手の違和感に気づいた際、やわらかく再説明を提案する丁寧な言い回しです。相手を立てながら配慮を示す表現としても有効です。
「彼女、何も言わなかったけど、目が潤んでたよ。目は口ほどに物を言うって、こういう時に感じるよね」
感極まったときや、言葉が出ない状況でも、目に感情が表れる場面での用例です。
「目は口ほどに物を言う」の言い換え表現と類語
「目は口ほどに物を言う」と近いニュアンスを持つ語句を紹介します。場面に応じて使い分けることで、表現の幅が広がりますよ。

「目は心の鏡」
目を見れば、その人の心の中がわかることのたとえとして使われます。
例文:「目は心の鏡といいますし、あなたの澄んだ目を信じます」
「目は心の窓」
目はその人の心の中をのぞかせる窓である、というたとえです。目を見れば、その人の善悪がわかるということを表しています。
例文:「目は心の窓というし、本心はすべて目が語っている」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
英語ではどう表現する?
「目で気持ちが伝わる」という感覚は、英語圏でも表現されています。意味が近い英語表現を紹介しましょう。
“The eyes are the windows of the mind.”
(目は心の窓である。)
目を見れば、その人の内面や感情が伝わってくるという意味です。“mind”の代わりに“soul”(魂、心)を使うこともできますよ。
“Eyes are more eloquent than lips.”
(目は口ほどに物を言う。)
日本語の「目は口ほどに物を言う」に近い表現のひとつです。
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「目は口ほどに物を言う」に関するFAQ
ここでは、「目は口ほどに物を言う」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「目は口ほどに物を言う」とは、どんな意味ですか?
A. 目の表情から、言葉以上に気持ちが伝わることを表すことわざです。言葉にしなくても感情が伝わる、という感覚を表した表現です。
Q2. 「以心伝心」との違いは何ですか?
A. 「以心伝心」は無言のまま心が通じ合う状態を指します。一方、「目は口ほどに物を言う」は、相手の目から気持ちを読み取る意味です。
Q3. 「目は口ほどに物を言う」はネガティブに響くこともありますか?
A. 相手の感情を断定的に決めつけると不快に受け取られることがあります。例えば「その目つきは怒ってますね」などと使うと、余計な詮索や誤解と受け取られやすいため注意が必要です。
最後に
「目は口ほどに物を言う」は、言葉だけに頼らず、相手の表情や視線にも心を向けることの大切さを教えてくれることわざです。デジタルなコミュニケーションが増えている現代だからこそ、対面で伝わるまなざしや、視線の奥にある本音を汲み取る力は、よりいっそう価値のあるものになります。
視線を意識することで、これまで以上に温かい人間関係を築いていけるといいですね。
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