「一攫千金」と聞いて、皆さんはどのような姿をイメージしますか? 宝くじが当たって喜んでいるような様子を思い浮かべる方も多いかもしれません。具体的に「一攫千金」とはどのような意味があるのでしょうか。今回は、「一攫千金」という四字熟語の意味や使い方、類語、英語表現について解説します。
「一攫千金」ってどんな意味?
「一攫千金(いっかくせんきん)」とは、「一度に大きな利益を得ること」。「攫」は「つかむ」という意味で、爪を立ててがっしりと掴み取るというニュアンスがあります。また「千金」は、数えられないほどたくさんのお金という意味です。つまり、「一攫千金」とは、一回でたくさんのお金を得ることを表しています。
一獲千金と書くことも。
「一攫千金」は「一獲千金」と書くことも。これは、「攫」の字が常用漢字ではないためで、「つかむ」という意味に近い「得る」の意味を持つ「獲」の字を代用したとされています。
使い方を例文でチェック!
続いて、「一攫千金」の使い方を説明します。どのような状況が「一攫千金」と呼べるのかについても解説しますので、よく理解してみましょう。
1:隣の奥さんは宝くじが当たって、一攫千金を手にしたようだ。
「一攫千金」と耳にして、一番先に思い浮かぶのが「宝くじ」ではないでしょうか? 株や投資など、行うのに知識やスキルが必要になるものとは違い、宝くじは多少の元手さえあれば誰でも挑戦できます。宝くじで「一攫千金」を夢見る人は多いですよね。
2:一攫千金を狙って競馬場へ通ったが、かえって借金ができてしまった。
「一攫千金」を狙って、競馬などの賭け事やギャンブルに手を出してしまう人もいるでしょう。一度、成功した経験があると、また次もと歯止めが効かなくなるのが怖いところです。「一攫千金」を狙ったものの、運がなくかえって借金になってしまうことも珍しくありません。
3:彼は一攫千金を狙う道よりも、地道に努力して儲ける道を選んだ。
「一攫千金」は、一度で大きな利益を得るという意味。そのため、地道に努力をして大金を儲ける場合には使うことはできません。どちらかというと、運やたまたまといったニュアンスが強いのが「一攫千金」の特徴といえるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
日本語には、「一度で大きな利益を得る」という意味のことわざや慣用句がいくつもあります。ここでは、「一攫千金」と意味が近いものを3つ紹介しましょう。
1:濡れ手で粟
「濡れ手で粟(ぬれてであわ)」とは、「骨を折らずに多くの利益を得ること」。濡れた手で粟を掴むと、粟粒がたくさんくっつくことから、転じて、大した努力をせずにお金儲けをすることという意味になりました。努力せずに大金を得るところが「一攫千金」と同じですね。
・彼は濡れ手で粟の大金をせしめた。
・投資を始めたらすぐに思った以上の大金が手に入った。濡れ手で粟とはこのことだ。
2:一粒万倍
「一粒万倍(いちりゅうまんばい)」とは、「わずかなものから非常に多くの利益を得ること」。一粒の種が万倍となって稲穂のように実るという意味が由来となっています。また、日本古来の暦に「一粒万倍日」という吉日があり、この日に新しい事業や物事を行うといいとされています。
・願わくば次の仕事も一粒万倍でありたいものだ。
・彼は新しいお店のオープンを一粒万倍日の日に決めた。
3:ぼろ儲け
「ぼろ儲け」は、「元手や労力が少ない割に、大きな利益を得ること」。対して努力もせずに、大金を得たときに使われることが多く、得をしたというニュアンスが強い表現です。宝くじや遺産相続などで思いがけず大金が手に入ったときよりも、株や投資などのビジネスで得をしたときに使われる傾向があるようです。
・彼は株でぼろ儲けしたようだ。
・あの裕福な老人は投資でぼろ儲けしたらしい。
4:丸儲け
「丸儲け(まるもうけ)」とは、「元手がかからず、収入の全てが自分の儲けになること」。利益が丸ごと自分の儲けになったという意味です。ちなみに利益がなく、全部損することを「丸損(まるぞん)」と言います。
・彼はその仕事で300万円丸儲けした。
・彼のおかげでビジネスで丸儲けできた。ラッキー!
英語表現とは?
日本語の「一攫千金」のように、一度でたくさんのお金を儲けるという意味の英語表現を知っていますか? 英語で「一攫千金」と言いたい場合には、「Get rich quick」が適切です。
「Get rich quick」は、「手早く儲ける、手軽に金持ちになる」という意味。「get」は「得る、もらう」、「rich」は「金持ち」、「quick」は「すばやい、迅速な」という意味を表します。「手早く」ということが「一攫千金」と通じるものがありますね。
・The get-rich-quick scheme was bound to fail.(一攫千金の夢は失敗するに決まっていた)
(そのほかの表現)
・She dreams of making a fortune at a stroke.(彼女は一攫千金を夢みている)
・He came to Tokyo with the dream of becoming rich.(彼は一攫千金の夢を抱いて上京した)
・A lot of people buy lotteries dreaming of wealth at one stroke.(多くの人が一攫千金を夢見て宝くじを買う)
最後に
今回は「一攫千金」の意味や使い方、類語、英語表現についてみていきました。「一攫千金」は一度で大金を得るという意味。宝くじや投資、ギャンブルなどその方法は様々です。同じ意味を持つ類語として「濡れ手で粟」や「一粒万倍」などがあるように、昔から人々は一度に大きな利益を得ることへの憧れがあったのかもしれませんね。この機会に、「一攫千金」の意味を理解して使ってみましょう。
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