「バーター」とは?
「バーター」という言葉を聞いたことはありますか? 日常生活や、友人との会話などではあまり登場しない言葉かもしれません。
この言葉は、ビジネスシーンや芸能界において、よく用いられる言葉です。しかし、ビジネスシーンと芸能界でそれぞれ意味が異なります。本記事では、「バーター」の意味やビジネスシーン・芸能界での使い方、バーターに関連する言葉について一緒に見ていきましょう。
「バーター」の意味
まずは、バーターの辞書的な意味を紹介します。「バーター」とは、「物々交換」のこと。英語では、「barter」と表記します。そもそも「物々交換」という言葉や話題を日常会話ですることがないため、耳慣れないのも納得ですね。
では、ビジネスシーンや芸能界ではどのようなニュアンスで「バーター」という言葉を用いるのでしょうか? 次は、それぞれのニュアンスを詳しく見ていきましょう。
ビジネスシーンでの「バーター」のニュアンス
ビジネスシーンでは、「品物と品物を金銭を介さずに交換する売買形式」という意味で使われます。品物に限らず、サービスや人材などもバーターの内容に含まれることがありますよ。
ビジネスシーンにおけるバーターは、辞書的な意味合いでのバーターから転じているのです。
芸能界での「バーター」のニュアンス
芸能界でのバーターは、「物々交換」という辞書的な意味や、ビジネスシーンにおけるニュアンスとは異なります。芸能界における「バーター」とは、「売れてない無名の芸能人と売れている芸能人をセットで出演させること」です。
売れてない芸能人と人気芸能人をセットにして出演させることを「束」と呼んだことから、「束」→「タバ」→「バーター」となりました。例えば「スシ」を「シースー」と言ったりしますよね。それと同じように、「束」をアナグラムにした業界用語です。
人気の芸能人とセットで出演させることによって、番組の視聴率を担保しつつ、無名の芸能人の認知度を高めたいという考えに基づいた手法になります。
ビジネスシーンにおける「バーター」の使い方を例文で紹介
ここまでは、バーターのさまざまな意味を紹介してきました。続いては、「バーター」という言葉の使い方を紹介します。
1:「当社の商品Aと、取引先の商品Bをバーターできるかどうか交渉してみよう」
ビジネスシーンにおけるバーターは、もともとの意味である「物々交換」のニュアンスを含んでいます。そのため、バーターをする条件としては、交換するものの価値が等しくあることが必要です。
一方が、他方の品物やサービス、人材などを欲しいと思っても相手が同じことを思っているとは限りません。そのため、バーターをする際には交渉をしなければならない場合が多いです。
2:「今までは金銭で購入していたが、今後はバーターすることを視野に入れてもいいかもしれない」
バーターのメリットは、すぐに資金が用意できなくても取引や交渉ができるという点にあります。資金がないからとビジネスチャンスを逃さずに済むので、そういう面ではメリットと言えるのでしょう。
3:「動画配信サイトで商品レビューをする代わりに、その会社の商品を提供してもらえることになった」
近年では、YouTubeやインスタグラマーなど、個人で活躍していらっしゃる方も多いですね。その中で案件依頼を受けることがありますよ。場合や条件はさまざまで金銭が発生する場合もありますが、このようなバーターも一例として挙げられます。
芸能界における「バーター」の使い方を例文で紹介
芸能界における「バーター」の使い方についても見ていきましょう。
1:「数年前にバーター出演で人気に火が付いたアイドルが、今ではドーム公演をするまでに成長した」
バーターは「バーター出演」と呼ぶこともあります。そして、バーター出演がきっかけで無名の芸能人に注目が集まって人気になることもあるようです。
2:「AさんはBさんとバーターでお願いします」
「バーターでお願いします」という言い回しは、芸能界特有と言えるでしょう。ビジネスシーンにおけるバーターは交渉を前提としていますので、一方的にお願いすることは、あまりありません。
3:「番組制作サイドは視聴率が欲しいため、A芸能事務所は人気タレントBを出演させてほしいといった。一方、A芸能事務所は、Bのバーターとして新人タレントCを出演させて欲しいと申し出た」
芸能界もビジネスの世界。芸能界でも、それぞれの立場の思惑が交差することが往々にあります。番組を制作するテレビ局などとしてはひとりでも多くの人に視聴して欲しいという思いがあるため、人気のタレントに出演してもらいたい。一方の芸能事務所側としては、新人タレントや押し出したいタレントの認知度を高めたいというそれぞれの思惑があるようです。
バーターに関連する言葉を紹介
最後に、バーターに関連する言葉について紹介します。
1:バーター制・バーター取引
ビジネスシーンにおけるバーターをバーター制と呼ぶ場合があります。使い方やニュアンスとしては同じです。また、同じ意味でバーター取引というケースもあります。
2:バーター貿易
「バーター貿易」とは、「輸出と輸入の決済方法をひとつにして、物々交換で行う貿易のしくみ」のことを指します。
最後に
本記事では、「バーター」という言葉やしくみについて紹介しました。頻繁に耳にすることはあまりないかもしれませんが、ビジネスシーンや芸能界の中では使われる言葉です。覚えておくと、何気ない時に役立つかもしれませんよ。
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