突飛の読み方と意味とは?
突飛とは「とっぴ」と読み、並外れて風変わりな様子やあまりにも思いがけない様子を指します。例文から、使い方を確認しましょう。
・彼女は個性的で突飛な服装をすることが多い
・彼の突飛なアイデアに驚いたが、膠着した現状を打破するにはよい策なのかもしれない
・妹は突飛さを演出しているようなところがある
発言・行動・アイデアなどが極めて変わっているときには、「突飛だ」や「突飛さ」という言葉で表現できます。突飛自体はポジティブでもネガティブでもないニュートラルな表現のため、褒めるときだけでなく貶すときにも使われる言葉です。
とっ‐ぴ【突飛】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[形動][文][ナリ]並み外れて風変わりなさま。また、あまりにも思いがけないさま。奇抜。「突飛な言動」「突飛な発想」
[派生]とっぴさ[名]
突飛と類似する言葉
突飛と同じく、極めて変わっているときに使われる言葉としては、次のものが挙げられます。
・奇妙
・奇天烈・奇妙奇天烈
・突拍子もない
・妙ちきりん・妙ちくりん
・変ちくりん・へんてこ
それぞれ使うシチュエーションやニュアンスが異なります。例文を通して見ていきましょう。

奇妙
「奇妙(きみょう)」とは、珍しく不思議なことや風変わりなことを指す言葉です。次のように使います。
・科学では説明できない、奇妙な現象が起こっている
・彼女は奇妙な帽子を被っていることが多いが、極めて常識的な人だ
・彼はダイエットをしているというが、奇妙なことに体重は増え続けている
奇妙も突飛と同じく、ポジティブにもネガティブにも使える表現です。よいか悪いかに関係なく、単に「不思議だ」と感じたときに「奇妙」と表現できるケースもあるでしょう。
なお、奇妙の「奇」には「普通とは違っている」や「不思議だ」という意味がありますが、「優れている」という意味も。たとえば、「奇才」や「奇勝」の「奇」は「優れている」の意味で使われています。
奇妙の「妙」にも、「言うに言われぬほど美しい」や「極めて巧みである」という意味があり、ポジティブな意味で使っても問題ありません。ただし、「奇妙」と言われて不快に感じる方もいるため、人や状況を選ぶ必要があります。
奇天烈・奇妙奇天烈
「奇天烈(きてれつ)」とは、非常に風変わりである様子のことです。「奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)」と表現することもあります。
・奇天烈なアイデアばかりだが、中には実現可能なものもある
・奇妙奇天烈なストーリーだが、作家の筆力が優れているからか、引き込まれてあっという間に読破した
奇天烈もネガティブなニュアンスは基本的にありませんが、人によっては不快に感じる可能性も。特定の人やファッションなどを指して「奇天烈」と表現するのは、避けるほうがよいかもしれません。
突拍子もない
「突拍子(とっぴょうし)もない」とは、とんでもなく調子外れであることや突飛であることを指す言葉です。
・彼はよく突拍子もないことを言い出すから、本気に受け止める必要はないよ
・目の前を歩いている子どもが突拍子もない声を出した
・彼は私に「一緒に暮らさないか」と突拍子もない提案をした
なお、「突拍子もない」は「突飛」と同じ意味で使われますが、「突飛押しもない」と表記するのは間違いです。
妙ちきりん・妙ちくりん
「妙(みょう)ちきりん」とは、普通では考えられない不思議な様子や奇妙な様子のことです。「妙ちくりん」や「妙てけれん」と表現することもあります。
・隣りの家の子どもは、しばしば妙ちきりんな洋服を着ている
・彼の話は妙ちくりんで、つじつまが合っていなかった
・妙ちきりんな話だが、どうやら実話のようだ
なお、「りん」は口拍子で添えたもので、とくに意味はないようです。
変ちくりん・へんてこ
「変(へん)ちくりん」とは、奇妙な様子や変な様子のことです。「へんてこ」や「へんてこりん」とも言います。
・話し始めたばかりの甥っ子のへんてこな言葉が愛らしく、みなで顔を見合わせて笑ってしまった
・そのコートにこのブーツを合わせるのは変ちくりんじゃないだろうか
・へんてこりんな組み合わせに思えたが、彼女が身につけると素敵に見えた
音の響きがかわいらしいため、相手を揶揄しているような印象は少ないと考えられます。しかし、捉え方には個人差があるため、使う相手やシチュエーションを見極めることが大切です。
突飛の反対の意味で使われる言葉
次の言葉は、突飛の反対の意味で使われることがあります。
・普通
・常識的
・ありきたり
いずれも日常会話でよく使われる言葉ですが、使う場所や言い方によってはネガティブな意味合いを含む可能性があります。それぞれの使い方を例文から見ていきましょう。

普通
普通とは、とくに変わっていないことや、ごくありふれたものであることを意味する言葉です。
・私は至って普通の人です
・朝は普通、7時に起きている
・彼女の目つきは普通ではない
普通という言葉自体はニュートラルな表現ですが、「ありふれている」や「当たり前」という意味もあるため、褒め言葉としては使えないかもしれません。
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常識的
常識的とは、普通である様子や当たり前である様子、世間一般にだれでも知っていることを指す言葉です。
・彼の判断はいつも常識的だ
・常識的に考えれば、先生の発言は受け入れがたい
・常識的な行動を心がけてください
常識的には「想定できる状態」といったニュアンスがあるため、賞賛や感動を表現するときには適していないといえるでしょう。
ありきたり
ありきたりとは、珍しくないことやありふれていることです。
・ありきたりな意見だが、聞いておいて損はない
・ありきたりな服を着ることは尾行の基本だ
ありきたりには「独創性がない」といった意味があるため、使う場所や相手に注意が必要です。
「普通でない様子」の表現をニュアンスで使い分けよう
普通でない様子を表現する言葉は、ややもするとネガティブな印象を与えかねません。適切な言葉を選び、不快感を与えないように気をつけましょう。
普通の様子を表現する言葉も、場合によっては「独創性がない」「凡庸だ」というニュアンスになるかもしれません。状況に適した言葉を選ぶようにしましょう。
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