蛇の道は蛇の意味と読み方
「蛇の道は蛇」ということわざを聞いたことがあるでしょうか? 実はこの言葉、間違えた読み方をしている人がとても多いのです。まずは読み方と意味から確認していきましょう。
「蛇の道は蛇」は「へびのみちはへび」と読んでしまいがちですが、正しくは「じゃのみちはへび」と読みます。意味は、一般には理解しがたいことでも同じ道に精通している者であればすぐ分かる、つまり、専門的なことはその道の専門家に聞くのがはやいという意味ですね。同業者であれば、同じ仲間のすることを容易に理解できるというような意味でも使います。
「蛇」という漢字は「じゃ」と「へび」のどちらでも読むことができますが、「蛇(じゃ)」は特に大蛇のことを指しているのだそう。つまり、一説によれば「蛇(じゃ)の道は蛇(へび)」は、「大きな蛇が通る道は小さな蛇でも知っている」ということを表しているのです。蛇の通る道は人間や他の生き物には分からなくても、同じ蛇であれば知っている。このことから、専門的なことはその道の人に聞くべきだという意味で使われるようになりました。
「じゃのみち」と聞くと「邪道(じゃどう)」を思い浮かべて、漢字を間違えてしまう人も多いです。読み方と漢字、どちらも正しい表記で覚えるように気をつけましょう。
蛇の道は蛇の使い方とは?
「蛇の道は蛇」は、悪い意味で使う言葉だと思っている方もいるかもしれません。先ほど少し触れましたが、「じゃ」の発音で「邪道」をイメージしてしまうために、「正当ではない悪の道に通じる専門的なこと」を意味すると思っている方もいるようです。しかし実際には、ネガティブな意味に限定して使うわけではありません。例文を紹介しながら使い方について解説していきますね。
1:彼に聞いたら人目のつかない逃げ道を教えてくれた。さすが蛇の道は蛇だ。
悪い意味、もしくはネガティブな意味でこのことわざを使う場合、このような例文が考えられるでしょう。一般の人には分からない、正当ではない裏技を知っているというようなニュアンスですね。犯罪に関わる手口や共犯者などを「蛇の道は蛇」を使って表現することもあるようです。
しかし、決して悪い意味だけで使うことわざではなく、次のような例文の場合でも使うことができます。
2:看護の資格を持つ彼女であれば、蛇の道は蛇で怪我の対処法を教えてくれるだろう。
このように、犯罪や事件以外の専門性を指して使うことも多いです。その分野に精通している人であれば、そのことについてよく理解できる、同じ業界であれば同業者としてわかり合えるという意味でも使うことができますね。
3:分からないことがあれば、蛇の道は蛇と言うし一度業者に電話してみたらどうだい?
例えば水道や電気の調子が悪くなった時、皆さんはすぐ業者に問い合わせをしますか? なんとか自分で試行錯誤して解決する人もいれば、すぐに専門家に任せる人もいるでしょう。ただ、知識もあまりないまま変に触ってしまうと、さらに悪化したり危険が及んだりする可能性もあります。無理はせずに、気軽に信頼できる業者の方にお願いすると良いでしょう。こちらは、そんな時の例文です。
類語にはどのようなものがある?
「蛇の道は蛇」の類語表現には「餅は餅屋」「馬は馬方」「病んでは医に従う」などがあります。どれもおおまかなニュアンスは「その道に専門家に従うのが最善である」というもの。ここではそれぞれのことわざについて、使い方や細かな意味の違いについて解説していきます。
1:餅は餅屋(もちはもちや)
「餅は餅屋」とは、餅屋さんで作られた餅が一番美味しいことから転じて、どんなものでもその道の専門家が最もすぐれているという意味です。由来には、江戸時代にいた餅つきを職業とする「貸餅屋」の存在が関係しているのだそう。「毎日コーヒーを飲んでいるが、餅は餅屋と言うだけあって、やはり珈琲店のコーヒーが一番美味しい」というように使います。
2:馬は馬方(うまはうまかた)
「餅は餅屋」と同じで、どんな仕事もそれを本職にしている人が最も有能であるという意味です。「馬方」とは、馬を使って荷物や人を運ぶ職業のこと。馬は通常しつけが難しいものの、馬を普段から扱い慣れている人であれば意のままに動かすことができます。例文には「馬は馬方と言うし、普段から機械を触っている彼であれば直すことができるのではないか」などが挙げられるでしょう。
3:病んでは医に従う(やんではいにしたがう)
言葉の通り、病気にかかった時は医者の言うことに従うべきだという意味です。転じて、その道の専門家が言うことを聞くのが一番安全だ、というニュアンスで捉えることができるでしょう。例えば肌荒れをした時、皮膚科に行って言われた通りに薬を塗っていれば、徐々に治ったという場合もこれにあたります。お医者さんに診てもらってその言いつけを守ることが、回復への一番の近道なのかもしれませんね。
「ずっと肩を痛めて放置していたが、この前整形外科に行って治療を受けたらすぐに痛みがなくなった。病んでは医に従うとはまさにその通りである。」というように使うことができます。
最後に
「蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)」の意味や使い方について、理解していただけましたか? 読み方、漢字ともに間違えの多いことわざです。間違えないように、「蛇(じゃ)」の意味も一緒に理解して覚えておくと良いでしょう。皆さんもなにか困ったことがあれば、一度専門家に頼ってみると案外すぐに解決するかもしれませんね。
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