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2024.01.28

挨拶などで使われる「時節柄」とは? 意味や使い方を詳しく解説

「時節柄」とは、時節にふさわしいということ。そして時節とは、季節や時期を表します。本記事では、挨拶として手紙やメールでもよく使われる「時節柄」の正しい意味や使い方、言い換えなどを紹介しましょう。季節柄との違いについても解説します。

「時節柄」とは? 季節柄との違い

時節柄は、いつ、どんな風に使うのが正解なのでしょうか。まずは基本的な意味を理解しておきましょう。

「時節柄」の読み方と意味

「時節柄」は「じせつがら」と読みます。意味は、「季節や時期にふさわしい」ということ。特定の「いつ」を指しているわけではありませんので、年中使えます。「このような時ですので」という言い換えもでき、手紙などでよく使われる「時節柄ご自愛ください」は、「このような(寒い)時ですので、お体を大切にしてください」というような意味になります。

時節柄のもうひとつの特徴は、季節や時期だけではなく、世の中の情勢、風潮を表す際にも使うこと。世間の話題や、ニュースになっていることと結びつける場合が多く、たとえば新型コロナ感染症の流行期には、「時節柄、会食はやめましょう」などのように使われていましたよね。

似た言葉で「季節柄」は、今の季節、と断定的に使うのに対して、「時節柄」の使用場面はとても広いといえます。

話す女性
(c)Adobe Stock

「時節柄」の使い方を例文を用いて紹介

さまざまな場面で年中使える、とても便利な言葉「時節柄」。その使い方の例をいくつか見てみましょう。

1:「時節柄ご自愛ください」

手紙やメールの結びの言葉としてもよく目にする、最もスタンダードな使い方ではないでしょうか。この一文だけで、寒い季節には「風邪などひかれませんように」、暑い季節なら「夏バテに気をつけてください」、インフルエンザの流行期には「用心してくださいね」などのように、何か具体的に書かなくても、読む側に言わんとしていることが伝わるのがメリットです。

もちろん、「時節柄、暖かくしてお過ごしください」「時節柄、こまめに水分補給してくださいね」のように、「こういう時ですのでこうしてくださいね」と具体的表現することもできますよ。

2:「時節柄ご多忙とは存じますが、ぜひともご出席賜りますようご案内申し上げます」

ビジネスシーンでパーティなどの案内状に添える例文です。このときの時節柄は、年末年始、決算期など、「忙しいと想定される時期」を指します。

3:「時節柄早めにお召し上がりください」

梅雨時や夏など「食べ物の足が早い時ですので」という意味で使います。手土産を渡したり、食べ物を贈ったりするときに一言添えるといいでしょう。

4:「時節柄、いちごがおいしいですよね」

「今の季節は、〇〇がおいしいですよ」、と旬を表すときに「時節柄」が使われることもあります。

手紙を書く女性
(c)Adobe Stock

5:「旅行客が少ない時節柄、ゆっくり観光できますよ」

「旅行客の少ないシーズンですので」、という意味ですが、場合によっては、何かが起こって「旅行客の足も遠のいていますので」のような意味で使われることもあるでしょう。時節柄は一言でその状況を連想させることができるのが特徴です。「時節柄、旅行客も少なく」と順番を入れ替えてもOK。

6:「時節柄、〇〇へ行くのは避けたほうがいいですよ」

災害やあるいは治安の悪化などで「危険が伴う情勢ですので」、「その場所へは行かない方がいいですよ」、という意味です。

「時節柄」と同じように使える表現と例文を紹介

季節や時期だけではなく、そのときの世の中の情勢も表すことができる「時節柄」。ここでは、同じように使える言葉を例文とともに紹介します。

1:折柄(おりから)

「ちょうどその時」、「〇〇〇の時節だから」「〇〇の時だから」という意味です。

(例文)
「寒さ厳しき折柄、お風邪を召されませんように」=「時節柄、お風邪を召されませんように」
「このような折柄、気をつけてくださいね」=「時節柄、気をつけてくださいね」

折柄も時節柄も、何かよくないことが起こったから、あるいはインフルエンザなど感染症が流行しているから、等々さまざまな状況を表すことができます。

2:季節

「季節」も、時節柄に近い使い方ができますよ。

(例文)
「今の季節はいちごがおいしいですよね」=「時節柄、いちごがおいしいですよね」
「この季節は散歩にちょうどいいですね」=「時節柄、散歩にちょうどいいですね」

暑くもない、寒くもない、よい季節を表していることがわかります。

3:時候

よく時候の挨拶という使い方をしますが、そもそも「時候」とは、四季折々の気候、その時々の陽気、という意味です。

(例文)
「暑い時候ですから、しっかり体調管理してください」=「時節柄、しっかり体調管理してください」

時節柄なら、暑い季節にも寒い季節にも使えます。

カメラを持つ女性
(c)Adobe Stock

4:時分

「時分」は、おおよその時期や時間、適当な時期、という意味です。

(例文)
「出かけるにはちょうどよい時分ですね」=「時節柄、出かけるのにちょうどいいですね」

場面によって、季節などの時節柄ではなく、ちょうどよい時間を指すこともあります。

5:情勢

「情勢」とは、変化していく物事のその時々の様子という意味です。

(例文)
「今の情勢では海外渡航はとても無理です」=「時節柄、海外渡航はとても無理です」

紛争など危険な状態であることがわかりますね。

6:時期

「時期」はある幅を持った時、期間という意味です。時節柄と近い言葉といえるでしょう。

(例文)
「桜の時期ですね」=「時節柄、桜がきれいですね」
「これからは旅行するのにいい時期ですね」=「時節柄、旅行するのもいいですね」
「この時期は食中毒に気をつけて」=「時節柄、食中毒に気をつけて」

最後に

季節、社会の風潮や世界情勢などを一言で表すことのできる「時節柄」。お互いに共通認識のあることが前提になっている分、「時節柄ご自愛ください」に代表されるように相手を気遣かったり、「時節柄〇〇がきれいですね」などのように共感し合ったり。

人と人とを結びつける言葉であることもよくわかりました。あ・うんの呼吸で分かり合える、「時節柄」はとても日本的な表現といえそうですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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