「以下」とは?
テーマパークの絶叫系アトラクションなどで、「120cm以下の方はご利用になれません」という身長制限の注意書きを目にしたことはありませんか? ほかには、ホラー作品などで、「12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要です」というように、年齢制限を設けている映画などもありますよね。
そんなとき、「ちょうど子供の身長が120cmだけど、乗っても大丈夫なの?」と心配になったり「未満ってことは観たらいけないの?」などと疑問になったりする方も多いのではないでしょうか?
本記事では、そんな「範囲」についても触れていきます! とくに、「以下」の指す範囲や意味、ややこしい「以内」、「未満」の違いについて、一緒におさえていきましょう。
「以下」の意味
さっそく、「以下」の意味を説明します。「以下」は、使う場面によって意味が少し異なりますので、ひとつずつ確認していきましょう。
1つ目は、「数量や優劣、程度の比較において、その基準を含んでそれよりも下を指す」という意味です。これは、先述した絶叫系アトラクションの身長制限の例に当てはめて考えることができます。
例えば身長制限で「身長120cm以下のお客様は利用不可」となっていた場合、「【身長120cmを含む】身長120cmよりも低い身長」の人は利用することができません。言い換えれば、身長121cmあれば、利用することができるということになります。
2つ目は、「代表を含み、それに関連するものや事柄」という意味。たとえば、「社長−社員一同」を総称して「以下」と表します。
3つ目は、「それよりも後に述べること」。すこし抽象的で分かりにくいですね。たとえば、「以下、○○様からのお言葉になります」というような記述があったら、そのあとに続く言葉そのものを「以下」という言葉で指しているということになります。「以下略」と書かれている場合には、「そのあとにも文章は続くけれど、省略します」という意味で使われています。
4つ目は、古い言葉で「御目見以下(おめみえいか)」を省略した言い方のこと。「御目見以下」とは、江戸時代の言葉で「将軍、または江戸幕府に直属した武士で、将軍に謁見する資格のない人物」のことを指していました。ちなみに、御目見以上は旗本、御目見以下は御家人に相当します。
「以下」の使い方を例文で紹介
1つ目から3つ目の「以下」は、とくにさまざまな場面で使われる言葉です。頻繁に使われる言葉だからこそ、意味だけでなく正しい使い方までしっかりマスターしておきましょう。
1:「この製品の収益が全体の収益の10パーセント以下にならないよう、常にアップデートして顧客のニーズに合わせていかなければならない」
「以下」は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。経営において、目に見える数字は重要な判断材料となります。この例文の場合は、「10パーセント以下」と示しているので、この数字の中には10パーセントも含まれます。
2:「詳細については、以下をご高覧ください」
この例文の「以下」は、「詳細については、後に述べていますよ」ということを指しています。口頭で説明するよりも資料を確認してもらいたい場合などに、こうした発言がなされます。
3:「このチョコレートクッキーは確かにおいしいが、それ以上でもそれ以下でもない」
「それ以上でもそれ以下でもない」という言い回しは、しばしば耳にしますね。「以上」や「以下」は、優劣をつける際にも用いられる表現です。この例文で使っている「それ以上でもそれ以下でもない」は、「おいしくないわけではないが、特別おいしいというわけでもない」というニュアンスを表しています。
「以下」と「以内」、「未満」の違いについて
ここまで、「以下」という言葉について見てきましたが、理解は深まったでしょうか? 「以下」が分かりにくくなるのは、「以内」や「未満」という似た言葉があるせいかもしれませんね。
ここでは、「以内」と「未満」について説明します。
「以内」の意味と使い方
「以内」とは、「ある基準を含み、それよりも小さい範囲」を表す言葉。たとえば、「1万円以内で買い物をする」の場合は、0円~1万円が使うことのできる金額になりますね。この例文は「1万円以下で買い物をする」と言い換えることも可能です。
「以内」を使うのは、ある事柄の内側を指す場合が多いです。したがって、円の内側をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。一方、「以下」は線を引き、その線を含む下側をイメージしてみてください。それぞれの像を頭に思い描くことで、ニュアンスの違いがわかりやすくなりますよ。
なお、特に指定がない場合、下限はありません。
「未満」の意味と使い方
「未満」とは、「ある数値に達していないこと」を表す言葉。例えば「10歳未満はご使用になれません」という場合、10歳の子は使うことができます。ある数(この例の場合、10歳)は含めず、それより少ない数(この例の場合、9歳)を指すからです。
「以下」を使って言い換えるなら、「9歳以下はご使用になれません」となりますね。
最後に
「以下」は身近な言葉ではありますが、意外と難しい言葉でもありますね。「以内」や「未満」など、意味が似ている言葉も多く、あやふやになりがちです。本記事が正確な意味を把握するための一助となれば幸いです。
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