ビジネスシーンでよく使われる「指標」という言葉。皆さんは意味をしっかり理解して使えていますか? 当記事では指標の意味や目標との違いをわかりやすく解説。そのほかにも、指標の設定の仕方やポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
指標とは?
最初に、指標の一般的な意味とビジネスにおける意味を紹介します。
一般的な意味
指標とは、「物事を評価したり、判断するための目印になるもの」のこと。一般的に使われるのは、この意味でしょう。このほかにも、指標には「計算尺の付属具」「正数の常用対数の整数部分」という意味もあります。
ビジネスにおける意味
ビジネスシーンで指標が使われる場合は、目標を達成できたかどうか等を判断するための基準をあらわします。もし会社が従業員を評価する際に、何も基準がない場合、評価が曖昧になったり、評価する人によってバラつきが出てしまうことも考えられますよね。その際に、役立つのが指標。会社は公平な評価ができますし、従業員自身も明確な指標がある方がモチベーションを維持しやすいでしょう。
また、ビジネスシーンにおいては、指標=KPI(Key Performance Indicator)ととらえられることも多いです。KPI(重要業績評価指標)とは、目標達成に向けた各プロセスの達成度合いを評価するための指標のこと。
ちなみに、目標の方はKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)といいます。例えば、KGIが「ECサイトの売上○○円」としたのなら、KPIは「アクセス数を○○件にする」「購入率を○○%アップする」「購入単価を○○%アップする」などです。
指針や目標との違いは?
指標と聞くと、その類語(類義語)でもある「指針」や「目標」との違いは? と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、指標と似た言葉を挙げつつ、それぞれの言葉の意味や違いを見ていきましょう。
指針
指針とは、「物事を進める際の方針」のこと。また、目指す方向を差し示すもの、行動の手引きとなるものでもあります。指標は評価基準や判断基準であって、方針ではありません。似た言葉ですが、混同しないように注意しましょう。
目標
目標についても、あらためて意味を確認しておきましょう。目標とは、「ある場所に行き着くまでの目印」「ある行動をする時に、目指す水準」のこと。目標は「目指すゴール」ですが、指標は、「評価基準や判断基準」ですので、違う意味の言葉です。
ベンチマーク
ベンチマークとは、「物事や評価の基準となるもの」「水準点」といった意味があります。ベンチマークを辞書で引くと、「指標」とも書かれていますから、指標と同じ意味と考えていいかもしれません。
ただし、ベンチマークはIT分野においては、「コンピューターの動作速度を評価する基準」のことをあらわします。IT分野でベンチマークが使われる時には、対象がコンピューターになるということを覚えておきましょう。
指標を使った例文をチェック!
指標の意味をしっかり理解できましたか? 意味がわかったところで、指標を使った例文を見ていきましょう。ビジネスシーンや日常のシーンでも使える例文ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1:「人事評価のための指標を設定してください」
指標を設定するとは、「物事の判断や評価基準となる目印を設定すること」という意味。「指標を設定する」以外にも、「指標を示す」「指標を立てる」などとも使われますよ。
2:「運動量は、健康の指標の一つだ」
健康の指標とは、健康であるかどうかを判断する目印のこと。この例文では、「運動量が、健康かどうかを判断するための一つの基準である」ということを言っています。
指標の設定の仕方は?
では、実際に指標はどのように設定すればいいのでしょうか? ここでは、指標の設定の仕方について紹介します。
1:まずはKGIを設定する
上述の通り、指標=KPIを設定するには、その先の目標であるKGIを設定する必要があります。自分が目指すべき目標を具体的な数値で設定しましょう。例えば、「売上○○円」「契約件数○○件」などです。
2:KPIを設定する
KGIを設定したなら、次は指標となるKPIを決めていきましょう。目標を達成するために必要なプロセスを考えると、わかりやすいです。例えば、KGIが「売上○○円」なのであれば、「商談数○○件」「受注件数○○件」など。こちらもKGI同様、判断基準を明確にするために数値化できるものを設定します。
3:KPIツリーを作成する
KPIを設定したら、次はそれらを可視化しましょう。そのために用いるのが、KPIツリーです。KPIツリーとは、目標であるKGIから、ツリーの枝葉のようにKPIをつなげてあらわす樹形図のこと。目標達成のために必要なプロセスが明確になるというメリットがあります。
指標を設定する際の注意点は?
指標は、ただ設定すればいいわけではありません。曖昧なものや漠然としているものではなく、客観的な数値ではかれるものにする必要があります。指標を設定する時に気をつけたいポイントについて、見ていきましょう。
1:数値で示す
上記でも少し触れましたが、指標は具体的な数値で示しましょう。例えば「顧客満足度をアップする」「売上をアップする」など、数値で示していないものは達成度をはかりづらいです。この場合は、「顧客満足度を10%アップする」「月間売上1000万円を目指す」など、具体的な数値であらわしましょう。
2:期限を設ける
期限がないものは、あと回しにしてしまうことがありますよね。そのため、期限を設けることも指標を設定する際には重要です。期限があると、いつまでに何をするべきかといったことが明確になります。また、スケジュールにも落とし込みやすいでしょう。
3:実現可能な指標を設定する
上を目指すことも大切ですが、それが実現できないものであれば意味がありません。「どうせ達成できないだろう」と、モチベーションが低下する原因にもなってしまうでしょう。ですので、指標を設定する時には、現実的に達成できるレベルにするのもポイントです。
最後に
目標達成に向けて、達成度をはかるための「指標」。指標を設定することで、やるべきことが明確になったり、モチベーションがアップするという効果があります。目標と指標をきちんと設定し、ビジネスを発展させたり、自身の成長につなげてみてくださいね。
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