「仕事が手につかない」という言葉を、聞いたことはありませんか? 「やるべき仕事があるのに、なんだか無気力になってしまう」という経験をしたことがある方は、意外と多いかもしれませんね。また、「仕事が手につかないって、具体的にどんな状態なの?」という疑問をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、この記事では、「仕事が手につかない」とはどのような状態なのか、注意点も含めて解説します。仕事へのやる気が出なくて悩んでいるという方は、参考にしてみてくださいね。
仕事が手につかないとは?
「仕事が手につかない」とは、どのような意味の言葉なのでしょうか? まず、「手につかない」という言葉は、本来やるべきことがあるにも関わらず、他のことが気になって、身が入らないような状態のことを言います。「仕事が手につかない」というと、「仕事をしなければいけないのに、集中して取り組めない状態」ということですね。
何か気がかりなことがある時に、こういった状態になることが多いかもしれません。例えば、身内が病気で倒れてしまったとか、恋人との関係が上手くいっていないなど、原因は様々。他のことに注意を奪われ、仕事に割くエネルギーが足りない状態とも言えるでしょう。
仕事が手につかない時の対処法は?
仕事が手につかない時、どのようにしたら良いのでしょうか? いくら気になることがあるからといって、気もそぞろに仕事をしていると、思わぬトラブルになりかねませんよね。
まずは、何か気がかりなことがある場合は、「言葉にすること」が効果的。というのも、もやもやしたままの状態でいると、ずっとそのことが気にかかり、集中しにくくなってしまうからです。自分は何を気にしているのか、紙に書くなど、目に見える形で言語化してみましょう。
その上で、そのことを変えられるか、変えられないかを判断してみてください。例えば、他人のことなど、自分ではどうしようもないこともありますよね。その場合、「このことはコントロールできないので、今できることをしよう」というように考えると、気持ちを切り替えやすくなりますよ。
また、何か自分で行動できるようなことがある場合、対応方法も書いていくのがおすすめ。「〇〇さんに相談してみよう」など、信頼できる人に話して、アドバイスを求めるなどの手もあるでしょう。
いずれにせよ、ぐるぐると頭の中で悩みが駆け巡っている状態は、仕事が手につかない原因になります。ぜひ一度、書く、話すなど、自分の言葉でアウトプットしてみるようにしてくださいね。
こんな時は要注意
仕事が手につかない原因は、恋愛や友人関係など、プライベートの悩みでも色々あるでしょう。ですが、以下のようなことが当てはまる時には、特に注意が必要です。知らず知らずのうちに、ストレスを抱え込んでいる可能性がありますので、チェックしてみてくださいね。
1:長時間労働
残業が続いている場合、疲労が蓄積している可能性大。なお、労働基準法上、残業は無限にできるわけではなく、原則月45時間、年360時間という上限が設けられています。ですが、特別の事情がある場合、以下のような例外も。
・年720時間以内
・複数月の平均が80時間以内(休日労働も含む)
・月100時間未満(休日労働も含む)
とはいえ、例外的に月45時間を超えた残業をする場合も、年6回までが限度とされていますよ。もし、この基準に近い残業をしている場合、かなりギリギリまで働いていると言えるでしょう。長時間労働が長く続くと、脳血管疾患や心臓疾患などにつながってしまう可能性があると言われています。また、うつ病や適応障害などの、メンタルの不調につながってしまうケースも。
もちろん、疲れの感じ方は人それぞれですので、一概には言えません。ですが、仕事が手につかない原因が、長時間労働による、心身のダメージの蓄積だったという可能性もあるので、注意が必要でしょう。
2:パワハラ
職場で、人間関係に悩んでいることも、仕事が手につかない原因になり得ます。他人と一緒に働くということは、少なからず気を遣いますよね。先輩後輩、上司部下などの上下関係もあり、気疲れをしてしまうこともあるでしょう。ストレスが全くないという環境は、少ないかもしれません。
ですが、あまりにも行き過ぎた上下関係や、厳しすぎる環境には要注意です。場合によっては、パワハラになることも。厚生労働省による、パワハラ(職場におけるパワーハラスメント)の3つの要件もチェックしていきましょう。
・優越的な関係を背景とした言動であること
・業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること
・労働者の就業環境が害されていること
これらの条件に全て当てはまっている場合、パワハラになる可能性が高くなります。例えば、上司から人格否定をされるなどは、パワハラの可能性大。
また、「優越的な関係」とは、役職の上下関係に限らないことを、ご存知でしょうか? 例えば、後輩や同僚であっても、集団で嫌がらせをしてくるなど、抵抗することが難しい場合もありますよね。こういった場合も、パワハラになることがありますよ。このような状況下のストレスで、仕事が手につかないという人もいるようです。
甘えているだけなの?
仕事が手につかない時、甘えているようで罪悪感があるという人も、いらっしゃるのではないでしょうか? 特に責任感がある人ほど、自分を追い詰めてしまうことがあるようですね。ですが、前述のように、長時間労働や、パワハラが思い当たる場合は、特に注意したいところです。信頼できる人や会社に相談する、医療機関を受診するなど、自分だけで抱え込まないようにしてくださいね。
もちろん、数日休んで休息を取ることで、気持ちが切り替わるという人もいるようです。一方、一定期間の休職期間が必要になる人も。
また、残念ながら、会社や周囲が理解を示してくれず、相談しても改善されないような場合もあるようですね。その場合は、耐え続けることが最善とは言えないこともあるでしょう。中には、思い切って転職や、キャリアチェンジをすることで、仕事が手につかない状態から、復活できたという人もいると聞きます。
休息を取ることや、人に相談すること、環境を変えることは、甘えではありません。「ちょっと自分を追い詰めすぎかも」と思い当たる人は、少し考え方を変えてみるのがおすすめです。
最後に
この記事では、「仕事が手につかない」の意味や、長時間労働、パワハラなどの注意点も解説しました。「最近、なんだか無気力」という人は、参考にしてみてくださいね。
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塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。ライター所属:京都メディアライン