「不手際」の意味は?
「こちらの不手際(ふてぎわ)で会議が長引いてしまい、申し訳ございません」などというようなセリフを耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか? この「不手際」という言葉についてニュアンスではわかっているけれど、厳密に理解はしていないかもしれません。本記事では、「不手際」について詳しく見ていきます。
「不手際」の意味
まず「手際」の意味から確認しましょう。「手際」とは、物事を行なう腕前、処理のしかた、手腕、技量のことです。そこに打ち消しの接頭語「不」がついたものが「不手際」となります。つまり「不手際」とは、手ぎわの悪いこと、やり方がまずいこと、できが悪いことを指すのです。
ビジネスシーンでミスやトラブルがあったとき、謝罪の中に「不手際」という言葉が含まれることが多いでしょう。その時、「こちらの不手際で、申し訳ございませんでした」という言葉だけでは謝罪の気持ちは伝わりません。
経緯の説明、今後の対応策などを伝えた後に、謝罪の一言を伝えるのがベターです。
使い⽅を例⽂でチェック
それでは「不手際」を使った、様々な謝罪の例文を見ていきましょう。それぞれ異なるシーンでの使い方を紹介しておりますので、想像しながら読んでいただくと、役立つ場面が出てくるかもしれません。
1:弊社の不手際により、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
こちらのミスで相手に迷惑をかけたことを謝罪する文章です。「多大なる」という言葉を添えることで相手を慮る気持ちを、「深く」という言葉を添えることでお詫びの気持ちを強調しています。
2:今後はこのような不手際がないよう、十分注意いたします。
同じミスを繰り返さない、という気持ちを伝えた例文です。このことを伝える前に、経緯の説明と今後の対応策を説明するといいですね。
3:初の試みということで不手際も多々あるとは思われますが、ご容赦頂ければ幸いです。
「迷惑をかけるかもしれない」ことを事前に伝え、相手に「不手際」に対して寛大な対応を求める例文です。意訳すると「不手際がないように誠心誠意力を尽くしますが、初の試みで不慣れなため、不手際が起こる可能性があるのでお許しくださいね」ということですね。
しかしながら、経験豊かなベテランがこのような発言をしたとしたら、ただの言い訳だと受け取られてしまいます。この表現は、「初めて」のことであったり、発言者が「新人」など受け取り側が「不手際があってもおかしくない」と思える条件で使えるものだと言えるでしょう。ですから、使い方には注意してくださいね。
4:弊社の不手際によるご返品の際は、着払いにて対応いたします。
ショッピングサイトの利用ガイドなど、不特定多数に向けたお知らせの例文です。さまざまなミスを総称して「不手際」とし、かしこまった表現で幅広い年代に向けて伝える丁寧な表現です。
類語にはどのようなものがある?
次に、「不手際」と同様の意味を持つ言葉を見ていきましょう。主に謝罪の時に使う言葉ですから、ボキャブラリーが多いに越したことはありません。一緒に覚えておくと便利ですよ。
1:過失
「過失」とは、故意ではなく、不注意や怠慢などから起こる失敗を意味します。法律用語としても使われる言葉で、かしこまった表現になります。
例:原因は、請求書と納品書の2枚を封筒に入れる際に、請求書を入れ間違えたことによる人的過失です。
2:落ち度
「落ち度」とは、故意かどうかを問わない、過ち、過失の意味となります。
例:ご指摘いただきましたとおり、こちらの落ち度であることが判明いたしました。心よりお詫び申し上げます。
3:手違い
「手違い」とは、手順を間違えること、手配などを誤ることなどを意味します。
例:こちらの手違いで、ご注文と異なる商品を発送してしまいました。誠に申し訳ございません。
不手際を使う時の注意点は?
「不手際」はミスを意味する丁寧で便利な表現ですが、使用する上でいくつか注意点があります。ここでは2つを紹介。
1:重大なミスには使わない
相手に多大な損失をもたらすような重大なミスが起こった際には、「不手際」という言葉は相応しくありません。そのような場合には、「あってはならないこと」「申し開きのできないこと」などというように表現し、深い反省と謝罪の念を示しましょう。
2:やむを得ない事情には使わない
天候不良など、やむを得ない事情は、ミスには当たりませんので使いません。やむを得ない事情について先に断りを入れる場合は、「天候不順により、やむを得ず商品の到着が遅れてしまう可能性がございます。あしからずご了承ください」などというような言い回しを使います。
最後に
人間ですから、ビジネスや日常生活において、どんなに気をつけていても、大なり小なりミスは避けて通れないものですよね。今後は二度と同じ過ちを繰り返さないようにすることと同じくらい、ミスをした後の対応も大切です。
謝罪の仕方を誤ると、信用を失くすこともあります。そんなことにならないよう、できるだけ速やかに、その場に相応しい言葉で謝罪することを心がけたいですね。そんな時、「不手際」が活用できるケースであれば、本記事を一つの参考にしてみてください。
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