「結婚休暇」という言葉を聞いたことはありますか? 会社で、「来週から、結婚休暇でお休みをいただきます」などという話を聞いたことがある方も、いらっしゃるかもしれませんね。
また、近々結婚を予定していて、「自分は結婚休暇を取れるの?」などの疑問をお持ちの方も、いらっしゃることでしょう。その他にも、「結婚休暇の期限や、挙式なしの場合はどうなるのか気になる」という声も聞こえてきそうですね。そこで、この記事では、結婚休暇の概要や期限、挙式なしの場合などを解説します。
結婚休暇とは?
結婚休暇とは、結婚をした会社員に与えられる休暇制度のことです。結婚休暇は、有給休暇とは別に、結婚式や新婚旅行などのために、一定期間休むことができるというのが一般的。なお、この結婚休暇は、法律上義務付けられたものではないことをご存知でしょうか?
一般的に、休暇には、以下の2種類があります。
1:法定休暇
法定休暇とは、法律で定められている休暇制度のこと。例えば、年次有給休暇や、育児休業、介護休業、生理休暇などがあります。これらは、法律上の休暇制度ですので、基本的に全ての会社にある前提の休暇制度と言えるでしょう。
2:法定外休暇
法定外休暇は、法律上定められているわけではない、特別な休暇制度のこと。就業規則によって、会社が任意に定める休暇です。厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」によれば、裁判員休暇やボランティア休暇などもあるようですね。結婚休暇は、法定外休暇にあたりますので、会社によっては、このような休暇制度がないということも。また、結婚休暇制度があっても、有給扱いとは限りません。
「自分の会社に、結婚休暇制度があるのか気になる」という方は、就業規則などを確認してみるのが良いでしょう。ちなみに、就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する場合、作成と届出の義務があります。ですので、これに満たないような規模の会社は、就業規則がない可能性があることも、留意しておきたいポイントですね。
また、就業規則では、「結婚休暇」ではなく、「慶弔休暇」として記載されていることもあります。会社に就業規則がないという場合や、就業規則を読んでもよく分からなかったという場合は、会社に確認してみるのが安心ですね。
何日休めるの?
結婚休暇は、何日取れるのかも気になるところですよね。結論からいうと、一般的には、5日間というケースが多いようです。ですが、前述の通り、結婚休暇は、法律で定められた休暇ではありません。そのため、会社によっては、これより短かったり長かったりすることも。
なお、参考までに、国家公務員の場合を見ていきましょう。人事院によれば、一般職の国家公務員が、結婚式や新婚旅行、その他結婚に関連する行事のために休むことができるのは、最大5日のようです。
挙式なしの場合は?
結婚休暇は、結婚式のために休むというイメージをお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか? ですが、挙式なしの場合でも、結婚休暇が取れることもあります。例えば、挙式はしないけれど、休暇を取って、新婚旅行だけ行くということもあるようですね。
また、結婚に伴って、様々な行政手続等が必要になる上、引っ越しなどの準備があるということも。こういったケースを踏まえて、挙式なしの場合でも、結婚休暇が取得できるという会社もあるようですよ。
期限はいつまで?
一定期間連続して休むことができる結婚休暇ですが、期限が設けられていることも。例えば、「結婚の日1か月以内に申請すること」など、申請期限が決まっているケースもあるようですね。
また、申請期限以外にも、「婚姻日から1年以内に休暇を取得すること」など、休暇を取れるタイミングに期限があるという会社も。ちなみに、一般職の国家公務員の例では、結婚休暇として休める期限は、以下の通りです。
・結婚の日の5日前から、結婚の日後1か月までで、連続する5日以内
なお、ここでいう「結婚の日」は、婚姻届の提出日や、結婚式の日などを指すとされていますよ。また、どちらを結婚の日とするかは、職員が選べるようです。もちろん、あくまで一つの事例ですので、自分の働いている会社でのルールを確認してみてくださいね。
最近では、新型コロナウイルスの影響によって、結婚式などが延期になったという話を、聞いたことがあるのではないでしょうか? このような事情を踏まえ、期限が特別に延長されるというケースもあるようですよ。
気を付けたいポイントは?
結婚休暇を取得する際、気を付けたいポイントも、見ていきましょう。
1:申請方法の確認
まず、結婚休暇の申請方法を、事前に確認しておきましょう。会社によっては、勤怠システムなどで、結婚休暇の申請が必要なケースもあるようです。この場合、いきなり申請をするのではなく、上司にいつ休みたいかなどを、事前に打診しておくのがスムーズでしょう。
中には、何の相談もなしに、急に「来月5日間、結婚休暇取得予定」などとシステムで申請をして、上司がびっくりしたなんてこともあるようです。こうなってしまうと、上司からの印象は悪くなってしまいかねません。業務に支障がないかどうかなども踏まえ、相談しておくのが安心です。
2:引き継ぎや挨拶
休暇に入る前に、業務の引き継ぎや、挨拶をしっかりするようにしましょう。引き継ぎ不足や、挨拶なしで休暇に入ってしまい、社内に微妙な空気が流れていた、なんてことは避けたいですよね。特に、自分の休暇中に、何か進めなければいけない業務がある場合は、必ず綿密に打ち合わせをしておくことを、お勧めします。
また、顧客対応などがある場合は、あらかじめ取引先などに、いつからいつまで休暇を取得するかを共有しておくということも考慮に入れて。この辺りは、業務内容や、会社の方針によっても変わってきますので、上司に相談の上、すり合わせておくと良いでしょう。
最近では、在宅勤務の普及によって、同僚や上司へ直接挨拶ができないという話も聞きます。この場合でも、チャットやメール等で、「〇日から何日間休暇をいただきます」などの挨拶は、休暇前に入れておくのが無難でしょう。
加えて、緊急時の対応方法や、現在進んでいる案件などを、文面などに整理して、チーム内で共有しておくと、何かあった時にスムーズです。心置きなく結婚休暇を楽しむためにも、事前の準備や挨拶は、しっかりしておきたいところですね。
最後に
この記事では、結婚休暇の概要や、期限、挙式なしの場合などを解説しました。結婚は人生の一大イベント。働く上で、結婚に伴う休暇というのは、とても重要ですので、おさえておくと安心ですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。ライター所属:京都メディアライン