結婚による通勤時間の悩み
結婚は人生の中でも、特に大きなライフイベントの一つですよね。特に、仕事をしていると、職場との兼ね合いや、誰にどうやって報告したらいいのかなど、色々と疑問が出てくるでしょう。
結婚によって住所が変わる場合などは、通勤時間も悩みどころではないでしょうか? この記事では、社会保険労務士の塚原美彩さんと⼀緒に考えていきましょう。
先日、Oggi.jpブレーンの⽅からこんなお悩みの声をいただきました。
「結婚して、片道2時間の通勤になってしまい、転職しようか迷っています。勇気が出ません」(Aさん・27歳・女性/兵庫県)
このように、結婚を機に通勤時間が長くなってしまうケースは、少なくないようですね。塚原さんにお話を伺いました。
「転職となると、不安もありますよね。できれば今の職場で働きたいという思いがある場合は、まず考えるといいのは、会社への相談です。もちろん、職種や会社にもよりますが、『もう転職するしかない』と思っていざ相談してみたら、別の解決策があったということもあるようですよ。
会社の規模によっては、配属先を変えてもらえることも。さらに、在宅勤務を組み合わせるケースもあるようです。一度、通勤時間の長さで悩んでいることを相談してみるのも、一つの手かもしれません。
とはいえ、相談しても解決しないケースもありますよね。現職を退職して、転職の道を選ぶということもあるでしょう。もし退職してから転職活動をする場合、知っておきたいのは、雇用保険のこと。通常、自己都合で退職した場合は、『給付制限期間』と言って、失業手当をもらえない期間が、2か月程度発生します。
一方、『正当な理由がある離職』をした人の場合は、この給付制限期間がなくなることをご存知でしょうか? これを『特定理由離職者』と呼びます。特定理由離職者には、様々な区分がありますが、結婚によって通勤時間が長くなった場合、これにあてはまることも。基準としては、往復の通勤時間が『概ね4時間以上』とされており、Aさんの場合、これに該当する可能性もありますね。
また、この時に注意したいのは、引っ越しと退職までの期間です。この期間にあまりに開きがある場合、認められないこともありますので、注意しましょう。ちなみに、『正当な理由』とされる離職と引っ越しまでの期間は、大体1ヶ月以内が目安とされています。ですが、会社の都合で、退職日を年度末や年末とした場合は、例外となることも。
様々なケースがありますので、退職した際は、ハローワークで事情を相談してみることを、お勧めします」(塚原さん)
このように、結婚によって通勤時間が長くなって悩んでいるという方は、少なくないかもしれませんね。また、「会社に結婚報告をどのようにするべき?」という疑問をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか? そこでここからは、職場への結婚報告のポイントについても解説します。働く上で重要なテーマですので、チェックしてみてくださいね。
職場への結婚報告は必要?
そもそも、職場に結婚の報告は必要なのでしょうか? 中には、「報告したくない」という方もいらっしゃるかもしれませんよね。ここからは、職場への結婚報告が必要なのか、理由も合わせて見ていきましょう。
まず基本的に、会社への結婚報告は必要です。戸籍名や住所の変更などによって、会社側で必要な手続きが発生する可能性がありますよね。税金や社会保険上の手続きに加え、住宅手当や家族手当などに影響が出ることも。ですので、職場への結婚報告は、早めにしておくようにしましょう。
職場への結婚報告は誰にする?
職場に結婚報告をする際に、「まず誰に報告すべきなの?」と悩む方もいらっしゃることでしょう。そこでここでは、職場への結婚報告のポイントを解説します。結婚を考えているという方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
職場への結婚の報告を、まず先にするべきなのは、直属の上司です。その後に、人事総務など、手続きを担当している部門にも報告することが一般的。同僚への報告は、朝礼などでする会社もあるようですね。伝えるタイミングや方法については、上司に相談してみるのが良いでしょう。
また、上司より先に、仲の良い同僚や先輩などに報告をするのは、避けたいところ。これによって社内で噂が立ってしまい、上司から「なぜ自分に報告が無いのか?」と思われてしまうこともあるようです。
結婚の話については、社内で話す時は慎重にした方が良いでしょう。また、うっかり先に同僚などに話してしまった際は、「上司に自分から話すまで、内緒にしてほしい」と、伝えておくのも一つの手。ただし、「人の口に戸は立てられぬ」と言いますよね。そのため、噂が立ってしまうことを想定して、早めに上司に報告するのが安心です。
いつまでに報告するといいの?
結婚の報告は、いつまでにすれば良いのでしょうか? 報告のタイミングも見ていきましょう。
結婚の報告には、特に定まった期限があるわけではありません。ただし、名字が変わる場合は、氏名変更の手続きや、メールアドレスの変更等、会社で必要な手続きがあることも。そのため、少なくとも入籍予定日の1か月前には、報告するケースが多いようですね。
また、社内結婚の場合は、部署異動や配置換えの際、考慮されることもあるでしょう。そのため、ギリギリになって報告することは避けた方が無難です。なお、この場合、結婚が決まった時点で、夫婦間でタイミングを合わせて報告するのが一般的。二人で足並みを揃えて、少なくとも3か月前には伝えておくようにしましょう。
ただし、あくまでこれらの期間は目安です。もし入籍日が人事異動の時期と重なっている場合は、さらに余裕をもって報告した方が、良いかもしれませんね。
入籍のみの場合は?
最近では、結婚式を挙げずに入籍だけするということも、増えてきているようですね。入籍のみの場合は、どのように報告したら良いかも見ていきましょう。
まず、入籍のみの場合であっても、職場へ事前に報告することが原則。前述の通り、公的な手続きなど、会社が準備することがあるからです。この報告の際、入籍予定日や「結婚式は挙げずに、入籍のみになる」という旨を、上司に報告するのが良いでしょう。
最後に
この記事では、読者のお悩みにお答えするとともに、職場への結婚報告のポイントを解説しました。結婚は大きなライフイベントですので、職場へどう報告すべきかなど、何かと疑問が出てくるかもしれません。そんな方は参考にしてみてくださいね。
※本記事はOggiブレーン会員に対して2022年10月に行った「働き方アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
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塚原美彩(つかはらみさ)さん 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。ライター所属:京都メディアライン