目次Contents
この記事のサマリー
・「欺瞞(ぎまん)」とは、人をあざむいたり、だますこと。
・類語には「偽善」「虚偽」「詐欺」などが挙げられます。
・英語では “deception”や“deceit”が挙げられます。
日常会話やニュース記事、文学作品などで目にする「欺瞞(ぎまん)」という言葉。知的な響きがしますが、正確な意味や使いどころを説明できる人は意外と少ないかもしれません。職場で耳にしても、「批判なのか、それとも冗談なのか」判断に迷うこともあるでしょう。
そこで本記事では、意味はもちろん、実際の使用例や類義語、英語表現まで幅広くカバー。読んだらすぐに安心して使える「知的なことば力」を身につけてください。
「欺瞞」とは? 正しい意味と背景知識を押さえる
まずは意味と語源を確認しましょう。
「欺瞞」の意味
「欺瞞」は「ぎまん」と読みます。意味は、人をあざむいたり、だますこと。
辞書では次のように説明されていますよ。
ぎ‐まん【欺×瞞】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)あざむくこと。だますこと。「―に満ちた言動」「国民を―する」
「欺瞞」という言葉の成り立ち
「欺」は「だます」、「瞞」は「だます、あざむく」を意味します。

欺瞞の使い方を例文でチェック
「欺瞞」は、そのまま名詞として使われる場合と、「欺瞞する」というように動詞として使われる場合があります。さっそく例文をみていきましょう。
今やこの国の政界は欺瞞に満ちている。
「欺瞞に満ちている」という表現はよく使われます。わかりやすく言い換えると、「嘘やだまし合いに満ちている」という意味で、腐敗した政治の世界や大人の社会に対して使われることがほとんどでしょう。
ニュースなどの報道では、「欺瞞ばかりの」「欺瞞だらけの」と表現されることもあります。政治家などの公人に対して使われるので、プライベートで使うにはややオーバーな表現だといえるでしょう。
あの社長は保身のために社員たちを欺瞞した。
「欺瞞」は、「欺瞞する」「欺瞞した」というように動詞として使うことも。先述したように「欺瞞」は、他者をだますことをより強調した表現なので、他人や社会に対して大きな損害を与えた場合などに使用します。
彼は自己欺瞞に陥っている。
「自己欺瞞(じこぎまん)」とは、「自分で自分の心をあざむくこと」。自分の良心や本心に反していることを知りながら、無理に正当化する場合と、無意識に自分自身の本心をあざむいてしまう場合の、2つのパターンがあります。
彼女に対する彼の主張はだんだん欺瞞的になっている。
「欺瞞」には、接尾語である「性」や「的」をつけた「欺瞞性」「欺瞞的」という表現もあります。いずれも「欺瞞の性質や傾向を持っている」という意味合いで使われますよ。

「欺瞞」の類語と言い換え表現
「欺瞞」に近い意味の言葉は多く存在しますが、微妙なニュアンスの違いを理解して使い分けることが大切です。ここでは、類語との違いと、フォーマルからカジュアルまでの言い換え例を紹介します。
類語とのニュアンス比較
偽善(ぎぜん)
表向きは善を装いながら、内心では異なる意図を持つこと。欺瞞は事実や状況を偽る点で広く使えますが、偽善は主に二面性を表すときに使われます。
例:「彼の寄付活動は偽善に過ぎない」=動機に対する批判。
虚偽(きょぎ)
真実ではないと知りながら、真実のように見せることを指します。欺瞞よりも事実そのものの正誤に重点があるといえます。
例:「虚偽の申告をした」=事実と異なる情報を提出。
詐欺(さぎ)
他人をだまして金品や損害を与える行為のこと。欺瞞が広義の概念であるのに対し、詐欺は損害を与えることまで意味に含んでいます。
例:「詐欺事件の容疑で逮捕された」
場面別の言い換え提案
フォーマルシーン
「誤解を招く表現」「不誠実な説明」「事実と異なる情報」など、直接的な批判を避けた柔らかい表現が考えられます。
例:顧客対応メールで、「一部誤解を招く説明がありました」
カジュアルシーン
「うわべだけの態度」「本音と建前が違う」など、日常的でわかりやすい言い換え表現が考えられます。
例:友人との会話で「彼、ちょっと本音と建前が違うよね」。
「欺瞞」の英語表現
「欺瞞」の英語表現には、“deception”や“deceit”が挙げられます。
“deception”は、「だますこと、欺瞞、嘘」という意味があり、“self-deception”で「自己欺瞞」という意味になります。
“deceit”にも「あざむくこと、欺瞞」という意味があり、特に人を惑わすことが目的で真実を隠したりするときに使用します。
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「欺瞞」に関するFAQ
ここでは、「欺瞞」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「欺瞞」と「嘘」はどう違うのですか?
A. 「嘘」は事実と異なることを意味します。一方、「欺瞞」は相手をだます意図をもって誤った事実を信じ込ませる行為全般を含みます。
Q2. 「欺瞞」のNGな使い方は?
A. 相手を直接批判する場合やSNSでの名指し発言は、誤解や炎上のリスクがあります。
特にビジネスでは、事実確認をせずに「欺瞞」という強い言葉を使うのは避けましょう。
最後に
「欺瞞」とは、「人をあざむくこと、だますこと」。難しい漢字が使われているため、難解なものに感じやすいですが、意味は意外と単純です。ちょっとした嘘や冗談ではなく、国家が国民を騙すことなど、規模が大きい行為に対して使われることがポイント。
それだけに社会問題を報道する際のワードとして取り上げられる機会も多いので、社会人としては押さえておきたいものです。
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