「滅茶」の意味や語源とは?
日常生活で「めっちゃ嬉しい」「めっちゃ大変」という言葉をよく使いませんか? 普段何気なく使っている「滅茶(めっちゃ)」という言葉ですが、詳しい意味を理解して使っている方は少ないかもしれません。そこで今回は、日常会話で頻出の言葉「滅茶(めっちゃ)」を取り上げて、その意味や語源、使い方などを解説します。
意味
「滅茶」は、「滅茶苦茶」などで使われる「めちゃ」が変化した言葉で、「程度がはなはだしいさま」「非常に」という意味があります。そのため、「めっちゃ面白い」は、「すごく面白い」と言い換えることができますね。ちなみに「めっちゃ」は、漢字で書くと「滅茶」となりますが、当て字であるため、漢字自体に特に意味はないようです。
続いて、「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)」の意味もあわせて紹介しましょう。「滅茶苦茶」の意味は、「全く筋が通らないこと」「度外れなこと」「混乱すること」などです。「滅茶(めっちゃ)」は単純に、「非常に、ものすごく」という意味ですが、「滅茶苦茶」になるとやや意味合いが広がります。
例えば、話の筋が通っていないという意味で「この映画のストーリーは滅茶苦茶だ」といったり、部屋にいろんな物が散乱していることを「この部屋は滅茶苦茶だ」といったりしますね。このように「滅茶苦茶」は、度を越した物事に対して使われる言葉です。しかし最近は、「滅茶苦茶楽しい」「滅茶苦茶怒られた」というように副詞的に用いて、「滅茶(めっちゃ)」と似たように用いられることが増えてきています。
また、関西弁では「めっちゃ」「むっちゃ」という言葉が日常会話でよく使われます。「めっちゃ」「むっちゃ」は、「ものすごく」という意味。「めっちゃ好き」「めっちゃ嬉しい」というように感情を表すときに使うことが多いようです。
語源
「滅茶」は、漢字で書くと難しい言葉のように見えるため、中国の故事などに由来があるように思いませんか。しかし、「滅茶」は、「程度がはなはだしいこと」という意味の「めっちゃ」の当て字で、漢字自体に特に意味はないようです。
ですが「滅茶」は、「無茶苦茶」などで使われる「無茶(むちゃ)」が変化したものとされています。そこでここでは、「無茶」の語源を辿っていきましょう。
「無茶」の語源も諸説ありますが、代表的なものを2つ紹介します。1つ目は、仏教用語である「無作(むさ)」が語源という説。「無作」には、「自然のまま」「人為的な働きのないこと」という意味で、ありのままに身を任せるといった意味合いがあります。
2つ目は、「客人にお茶を出さない」という「無茶」と、「出したお茶が苦い」という「苦茶」が組み合わさってできたという説。お茶を出さないことも味が苦いことも相手にとって失礼にあたることから、転じて「道理に合わないこと」という意味になったとされています。
「滅茶」も「無茶」も、語源は定かではありませんが、中国の思想家である孟子や孔子が説いた言葉ではないようです。現代では、ひらがなで「めっちゃ」「むっちゃ」と書き、親しい友人同士の会話では欠かせない言葉になっていますね。カジュアルに使える分、馴れ馴れしい印象を与えるため、ビジネスシーンでの使用は控えましょう。
使い方を3つの例文でチェック!
ここでは、「滅茶(めっちゃ)」と「滅茶苦茶」のよくある例を紹介します。
1:このお店のチーズケーキは滅茶(めっちゃ)美味しいことで有名だ。
「滅茶」は、単純に「程度がはなはだしいこと」や「ものすごいこと」に対して使われる言葉です。この例文では、他の店のチーズケーキよりもここの店のものがずば抜けて美味しいと感じたため「めっちゃ美味しい」と表現しています。
2:あの部長は言っていることが滅茶苦茶で、いつも職場の人たちを困らせている。
「滅茶苦茶」は、「滅茶」よりもさらに意味合いが広がり、「全く筋が通らないこと」にも使用できます。意見がコロコロと変わったり、無謀な要求をしてくる場合に「滅茶苦茶」を使いましょう。周囲の人を混乱させるような人や行動に対して、「滅茶苦茶」が使われることが多いです。
3:彼が遅刻をしたせいでせっかくの誕生日が滅茶苦茶になった。
「滅茶苦茶」は、予定やイベントが台無しになってしまった時にも使われます。相手が遅刻するなどのなんらかの理由で、計画していた予定がスムーズに進まないとがっかりしますよね。このように、あらかじめ形作られていたものがどうにもならないほど壊れてしまった場合にも「滅茶苦茶」は使用します。
類語や言い換え表現3つ
「滅茶」や「滅茶苦茶」の類語にはどのようなものがあるのでしょうか? 一緒にチェックしてみましょう。
破茶滅茶
「滅茶苦茶」によく似た言葉には、「破茶滅茶(はちゃめちゃ)」も挙げられます。「破茶滅茶」も「度が外れたさま」を表す当て字なので、漢字自体に特に意味はありません。両者のニュアンスの違いとしては、「破茶滅茶」には「常軌を逸しているさま」という意味もあるので、「彼女は破茶滅茶なことをする」というようにやや常識はずれな行動をとる人のことを表すことが多いようです。
・彼女はお酒を飲むといきなり破茶滅茶な行動をとる。
・最近は破茶滅茶なラブコメディーが流行っている。
しっちゃかめっちゃか
「しっちゃかめっちゃか」も、どことなく「滅茶苦茶」と響きが似ていますね。こちらの意味は、「物事が入り乱れているさま」。「この部屋は物がしっちゃかめっちゃかだな」というように、空間にいろんな物が散らかっている状況で使われます。「滅茶苦茶」以上にくだけた表現なので、話し言葉として使われることがほとんどです。
・引っ越ししたばかりで部屋の中がしっちゃかめっちゃかだ。
・一度にたくさんの意見を言われて、頭の中がしっちゃかめっちゃかになっている。
べらぼう
近年ではあまり聞き慣れない古風な表現ですが、「べらぼう」も「滅茶苦茶」の類語です。「今日はべらぼうに寒い」は、「今日はひどく寒い」という意味。「程度がはなはだしいこと」という点が「滅茶苦茶」と共通しています。
またその他にも、「普通の人が考えられないような馬鹿げていること」に直面した時に「そんなべらぼうな要求がのめるか!」と怒ったり、「このべらぼうめが!」と人を罵るセリフとしても使われます。現代では、時代劇や歴史小説で触れる機会の多い表現ですね。
・真冬に飲む熱燗はべらぼうに旨い。
・ここの店は飯代がべらぼうに高いことで有名だ。
英語表現では「very」や「so」を使います
「滅茶(めっちゃ)」の英語表現は、「very」や「so」です。どちらも「とても」という意味で、「very」は、「so」に比べてフォーマルな場面で使われる傾向があります。
・He is a very good baseball player.(彼はとてもいい野球選手だ)
続いて「so」は、「very」に比べるとややカジュアルな表現となります。
・It’s so hot today.(今日はとても暑い)
また、「滅茶苦茶」のように「道理から外れた」という意味を表現したい場合には、「absurd(ばかげた、道理に反した)」「unreasonable(不合理な、滅茶苦茶な)」が適切です。
・That is absurd!(滅茶苦茶な!)
・I realized I was being unreasonable.(私は道理をわきまえていなかったと気づいた)
・They resell some tickets at unreasonable prices.(彼らは法外な値段でチケットを転売する)
最後に
プライベートで度々使われる「滅茶(めっちゃ)」という言葉。親しい友人との会話で当たり前のように使っていたため、初めて意味を確認したという方も多かったのではないでしょうか。「滅茶(めっちゃ)」は、漢字で書くとやや複雑な文字になりますが、基本的には当て字とみていいでしょう。便利な言葉ではありますが、ビジネスシーンでは「とても」「非常に」などの丁寧な言葉に言い換えてみてくださいね。
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