白眼視とは?
「白眼視(はくがんし)」とは、冷たい目つきで見ることや冷たく扱うことを意味する言葉です。誰かを冷たく見る・扱うときは「白眼視する」、反対に冷たく見られる・扱われるときは「白眼視される」と表現します。
なお、眼球の白い部分は「白目」か「白眼」と書き、「しろめ」や「しらめ」と発音します。白眼視の「白眼」は比喩的な表現のため、実際の「白目」「白眼」の部分を指しているわけではありません。
はくがん‐し【白眼視】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名](スル)冷たい目つきで見ること。冷たく扱うこと。「世間から白眼視される」
白眼視の使い方
「白眼視」は、次のように使います。
・彼女の白眼視に耐えられず、部屋から出た
・彼は世間からは変わり者と白眼視されているが、実は優れた研究者である
・昔から父は、世の中の人々を白眼視しているところがある
白眼視には「冷たく扱う」という意味もあるため、実際に人から見られるときや人を見るとき以外のシーンでも使われます。
白眼視の由来
三国時代の中国・魏に、阮籍(げんせき)という名の思想家がいました。酒と老荘思想を愛し、礼法を無視し、『達荘論』や『大人先生伝』などのさまざまな書物を著した人物としても知られています。
阮籍は、好ましいと思う相手には「青眼」で、俗物や偽善者には「白眼」で接していたとか。なお、阮籍は、世俗を避けて竹林に集まった「竹林の七賢」のひとりとしても知られています。

白眼視の言い換えに使える言葉
次の言葉は、「白眼視」と同じく、冷たい目つきで見ることや冷たくあしらうことを意味します。
・白い目で見る
・冷遇する
・薄遇(はくぐう)する
・冷淡な態度をとる
・見下す
・蔑ろ(ないがしろ)にする
それぞれの使い方やニュアンスの違いを、例文から見ていきましょう。
白い目で見る
「白い目で見る」とは、冷淡かつ悪意をこめた目で人を見ることです。
・彼女は、人から白い目で見られることに慣れているようだった
・誰にでも優しい友人だが、あの人だけは白い目で見ているようだ
・そんな前時代的な発言をしていると、白い目で見られるよ
「白眼視」と同じ意味でも使われることも多いため、悪意がこもっていないときでも「白い目で見る」と表現することがあります。
冷遇する
「冷遇(れいぐう)する」とは、冷淡に待遇すること、あるいは不当に低い待遇をすることを意味する言葉です。「白眼視する」や「白い目で見る」のように、単に冷たい目つきで見るときには使われません。
・彼は実力はあるのに社長派ではないため、冷遇されている
・その年齢で課長とは冷遇されているように見えるが、実際のところはそうではない
「冷遇する」の対義語は、「厚遇(こうぐう)する」です。厚くもてなすことや、地位や給料などでじゅうぶんな待遇をすることを意味します。「冷たい」の反対は「熱い」ですが、同じ「あつい」という読みの漢字でも「厚い」を使います。
・バイト先で厚遇してもらっているため、他のアルバイトを探そうという気持ちにはなれない
・彼女は厚遇されていることを理解しているのだろうか
・「最寄り駅からの送迎あり」「週休三日」と厚遇で求人しているが、応募者がいないらしい
待遇や条件がよいときに使われる言葉のため、求人関係で目にすることが多い傾向にあります。
薄遇(はくぐう)する
「薄遇(はくぐう)する」とは、人を冷淡にもてなすことです。
・彼女は朝から晩まで一生懸命に働いているのに、会社からは薄遇されているようだ
・わざわざ家まで呼んでおいて、明らかに薄遇するなんて、どういうことなの?
・薄遇されているかどうかは、客観的な事実だけでなく、もてなされている人の受け取り方にもよるだろう
「薄遇する」は、「冷遇する」と同じ意味で使われます。

冷淡な態度をとる
「冷淡」とは物事に熱心でないことや、関心や興味を示さないことです。淡白な対応を示すときには「冷淡な態度をとる」と表現できます。
・彼は彼女に冷淡な態度をとっているが、本心からとは思えない
・あの受付係は、誰に対しても冷淡な態度をとる
・あまり冷淡な態度をとっていると、いつか友人を失うよ
また「冷淡」には、思いやりがないことや、同情や親切心を示さないことといった意味もあります。
・他人の不幸に冷淡な態度をとるのはよくないよ
・彼女はいつも冷淡にあしらうが、それでも魅力的だ
・母は誰に対しても冷淡な目つきで見る
「冷淡な目つき」は「白眼視」とも言い換えられるでしょう。
見下す
「見下す(みくだす)」は、「下のほうを見る」や「見下ろす(みおろす)」のように物理的に下に見るときにも使われますが、相手を馬鹿にして見たり侮ったりするときなど、精神的に下に見るときにも使われます。
・人を見下した態度は止めよう
・あなたの発言は私を見下す発言ですね
・マウントを取っているようだが、本当は自分が見下されていることに気付いていないのかな
「見下す」と「見下ろす」は同じ意味で使われることもありますが、読み方が異なる点に注意が必要です。
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蔑ろ(ないがしろ)にする
「蔑ろ(ないがしろ)にする」とは、あってもないもののように軽んじることです。
・親を蔑ろにしていると、いつか後悔するよ
・私を蔑ろにするのは構わないが、情けないとは思わないのかな?
・彼女は周囲を蔑ろにすることが、自分の個性だと勘違いしている
「ないがしろ」は、「なきがしろ」の音が変化した言葉です。
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状況に応じて言葉を使い分けよう
「白眼視」は、冷たい目つきで見たり、冷たい態度であしらったりすることです。「白い目で見る」や「冷淡な態度をとる」などの言葉でも言い換えられます。
「見下す」も同じく、冷たい目つきや態度を示す際に使われますが、相手を馬鹿にするニュアンスが含まれる点に注意が必要です。状況に応じて、言葉を使い分けましょう。
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