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「仕事をする上で大切なこと」はモチベーションの源泉につながる
「仕事をする上で大切だと思うこと」のアンケートをとると、「信頼関係」や「責任感」「思いやり」などの言葉がランキングの上位にあがってきます。もちろんこれらは大切ですが、あなた自身が、「なにを大切にしているのか」ということは自覚できていますか?
先日、Oggi.jpブレーンの方から、こんなお悩みをいただきました。
「このまま同じ仕事を続けていて良いのか、と悩んでいます。仕事の内容自体が嫌いということではないですが、もっと自分にしかできないこともあるのではないかとモヤモヤしています。」(Mさん・福島県・27歳/女性)
モヤモヤしたまま仕事を続けていると、モチベーションが下がってしまいますよね。「仕事をする上で大切なこと」がわかると、なぜ日々のモヤモヤが解消されるのか。キャリアコーチの菊池啓子さんにお話を伺いました。
「嫌なことや困りごとなど、明確なネガティブ要因があれば、解決に向けてどうすればいいのかを考え、行動をすればいいだけ。Mさんは『仕事の内容自体が嫌いということではない』けど、なんだかモヤモヤするなと、悩まれているのですね。そんな時は、『自分にとって仕事をする上で大切なこと』を言語化してみましょう。
『大切なこと』とは『価値基準』です。人は、『価値基準』が自覚できると、迷いがなくなります。『価値基準』が満たされると、充実感を得ます。そして、無自覚だったとしても、誰もが必ず価値基準に沿った行動や選択をしてきています。その行動や選択によって得られた経験やスキルは、『その人らしさ』につながっています。
仕事をしていると、皆同じようなことをやっていて、代わりはいくらでもいると思ってしまうこともありますよね。でも、同じ作業や行動だったとしても、『その人らしさ』が発揮できるやり方を自分で見出すことができると、仕事に対するモチベーションは湧いてきます。
例えば、会議の議事録作成。『大切にしたいこと』が、丁寧さなのか・スピードなのか・わかりやすさなのか。それぞれでアウトプットされるものは違いますよね。そして、そのアウトプットを繰り返すことで、周囲からそのような人だと認識され、大切にしていることを発揮できる仕事へとアサイン(任命・抜擢)されていくようになるのです」(キャリアコーチ・菊池さん)
「仕事をする上で大切なこと」を、まずは自分なりに言語化してみましょう。就職・転職活動での面接やESなどの提出書類に記入する機会などで、例文やキーワードを検索したことがあるのでは? 「大切なこと」が自分の中で明確化されていないと感じる場合は、検索で出てきた例を参考にし、その中から自分にフィットする言葉を選んでおいて、考えるキッカケにするのもお勧めです。
「仕事をする上で大切なこと」を明確化する4つの質問
「仕事をする上で大切なこと」を明確化する4つの質問があります。4つを満遍なく答えられなくても大丈夫。まずは思いのまま直観で答えてみましょう。
1:やりたいことは、なに?
「今」やりたいことでも、「これから」やりたいことでもOK。そして、立派なものや大きなものである必要もありません。まずは、日常のちょっとしたことでも、仕事に直結しなくても、それを思うと心が躍る・気持ちがアガるようなことを考えましょう。
2:はずせないことは、なに?
仕事を考えるうえでは、「はずせないこと」も考えておく必要があります。例えば、お給料や勤務地、休日の取り方や同僚になる人に求めることなどもありますよね。はずせない条件は人それぞれ。自分らしく働くためには明確にしておく必要があります。
3:できることは、なに?
仕事に直結する具体的なスキルはもちろんですが、それぞれの人柄や行動パターンなどからも「できること」が見えてきます。誰とでも仲良くなれることも、ひとりで黙々と作業ができることも、気持ちの切り替えが早いことも、すべて「できること」です。
誰でもできる些細なことだと感じても、自分が「できる」と思えることをどんどん出してみましょう。これは「質」ではなく「数」の勝負です。
4:やるべきことは、なに?
いくら自分が「やりたくてできること」だったとしても、独りよがりな場合は「仕事」とは言えません。仕事は、必ず「他者のニーズを満たす」という側面があります。関わる人は誰なのか。相手のニーズはなにか。それを満たしつつ、自分の大切にしたい事を実現させるために「やるべきこと」はなにかを明確にしていきましょう。
「仕事をする上で大切なこと」を明らかにするメリット
4つの質問を通して「仕事をする上で大切なこと」がわかってくると、感じられるメリットが3つあります。
1:選択に迷いがなくなる
大切にしていることは、価値基準で判断基準。これは「自分がそうなら、それでいい」と思えるようになることです。そこに照らし合わせることができれば、おのずと選択肢は決まります。
2:成長ポイントがわかる
4つの質問からありたい姿が明確化されます。現状とありたい姿にギャップがあるとしたら…? ギャップを埋めるためにスキルを身につけたり、環境を整備するために周囲に交渉したり、不要な作業を減らす工夫をするなど、やることが見えてきます。やることを自分で見つけ、行動に移すことで、成長する経験をつむことにつながります。
3:居心地の良い環境を作れる
自分が「大切にしたいこと」を意識して仕事をしていくと、仕事の成果物や周囲とのコミュニケーションにそれが反映されていきます。するとそれに共感をする人が周りに現れたり、「この仕事といえば、○○さん」と認知をされるとことで、ポジティブに感じられる仕事が集まってきます。「なにを大切にしているのか」を表明することは、自分の環境を整えることにつながります。
大事なことは「仕事」と「自分の人生」をリンクさせること
キャリアを考える時に大事な視点として、「仕事は、望む人生を実現させるための手段のひとつ」だということです。仕事とプライベートを分けておくという考え方ももちろんあります。でも「仕事の自分」も「プライベートの自分」も、同じ人間なので、つながりは断ち切れないものです。
「大切なこと」は「価値基準」。なにに価値をおいている自分なのかを理解し、その価値を仕事でも大切にすることで、「自分にしかできないこと」を見つけて実現させていきましょう。
最後に
仕事で大切にしたいことは、自分の人生で大切にしたいことにもつながります。言葉にしてみることで、日々のモヤモヤも解消できそうですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
※本記事はOggiブレーン会員に対して2022年10年に行った「働き方アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン