直談判とは?
自分の上司を介さずに、直接社長などに直談判することがありますよね。そんな「直談判」ですが、改めて正しい使い方や類義語などについて整理していきましょう。この記事では、他にも直談判を用いた例文などについても解説していきます。
「直談判」の読み方は「じかだんばん」。意味についてですが、「間に人を入れないで、直接に相手と交渉すること」を意味します。当事者同士が議題について話し合うわけですね。
「直談判」ですが、「直」と「談判」に分けることができるでしょう。「直」は「間に隔てるものがない」ことを、「談判」は「事件やもめごとに決着をつけるために相手方と話し合う」ことを意味します。両者を組み合わせて、「当事者同士が直接交渉する」という意味になるわけですね。
直談判の言い換え表現
次に、直談判の類語についても確認しておきましょう。
1:直訴
「直訴」とは、所定の手続きを踏まえることなく直接上に伝えるということです。社長や組織のトップに自分の意思を伝える場合、上司や窓口などを介するのが通常ルートですが、それを飛び越えて直接やりとりするわけですね。
直談判は基本的に例外的手段です。なぜなら、意思決定者の間にはいくつもの人がいるものであり、その人たちを無視しているわけでもあるので、ある意味「失礼」と受け止められることもあるかもしれません。組織のルールに従っていては目的を達成できないが、何としても相手に伝えなければならない時などに、実行されるようです。
歴史的に見れば、足尾銅山鉱毒事件で田中正造が実情を訴えるために天皇に直訴するという出来事もありました。李氏朝鮮でも、一般民衆による王への直訴はしばしあったそうです。
例文:
「尾瀬沼のほとりにある山小屋の主人が、環境庁の長官に道路工事の中止を直訴した」
「生活が困窮しているので、実情を訴えるべく、大臣に直訴した」
2:陳情
陳情とは、目上の人に実情や心情を述べることです。他にも、中央や地方の公的機関、または政治家などに実情を訴えて、善処してくれるよう要請することを意味します。
陳情は誰でもできるようです。ネットなどで、国会や地方自治体に陳情する手順が紹介されていますので、興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。
例文:
「往来自粛の撤回を求め、ホテル団体は知事に陳情書を提出した」
「対面授業の再開を求めて、学生団体が大学に陳情した」
3:折衝
折衝とは、利害関係が一致しない相手と問題を解決するために、駆け引きをすることです。「労使間で折衝」「外交折衝」などと使われます。利害関係が食い違うことが前提とあるため、両者が妥協できる点を見つけるのは簡単なことではありません。
例文:
「負担分の割り当てをめぐって、相手側との折衝が難航している。困ったものだ」
「国同士の国境をめぐって、折衝は不可欠である」
直談判を使った例文
例文を見て、「直談判」の使い方を確認しておきましょう。
1:一般的なやり方だと、介在する人が多くてうまくコミュニケーションが成り立たない。よってここは当事者と直談判する必要があると思う。
当事者と話し合おうにも、手続きなどのために多くの人が介在することがあります。その場合、伝言ゲームのように自分の思っていることが正確に相手に伝わらないかもしれません。そこで、直談判することが選択肢になるわけですね。
2:騒音というご近所トラブルで悩んでいる。マンションの管理組合に意見書を出して、手を打ってもらうように頼んだが、なかなかうまくいかない。そこで、複数人で当事者と直談判するための準備を進めている。
騒音やにおいというようなご近所トラブルはよくありますよね。問題を起こしている当事者との関係悪化を恐れて、直談判するのは簡単なことではありません。最初は管理組合などを通じて間接的に相手にこちらの意を伝え、最終手段として誰かと一緒に当事者と直談判することもあるのでしょう。
3:みんなで一緒に、賃金の引き上げを社長に直談判しようか考えている。さすがにこれでは生活できない。
最近何かと話題の給料の賃上げ。さすがに個人で会社に賃上げを要求するのは厳しいでしょうから、労働組合などを通じて要求することになるのでしょう。
今は昔と比べ労働組合の組織率は低く、厚生労働省の「令和4年労働組合基礎調査」によると、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は16.5%となっています。労働組合そのものを知らない人もいるかもしれません。
何か会社に直談判したい時は労働組合を使ってもいいでしょう。とはいえ、今の状況から賃上げは会社としても厳しいかもしれません。
直談判の場で提案してみる
ビジネスなどの場で、上の人と直談判できる場があるのであれば、ただ不平不満を述べるだけではなく、改善策などを提案するのもいいでしょう。相手からの評価が高まるかもしれないし、何よりも提案のために考えるということが自分の成長につながります。ただ、作業をこなすのではなく、自分で仕事を作っていくというわけですね。
最後に
「直談判」という言葉について見てきました。意味としては、「間を介さずに相手と直接交渉すること」。自分と当事者との間にいくつも人がいれば、伝言ゲームのように自分の意思は伝わりにくくなるものです。そこで、直接話し合う、つまり直談判するわけですね。重要な事案であればあるほど、直談判が必要になるのかもしれません。
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