自分の得意を仕事に活かす
「仕事は楽しくなくて当たり前」と考える方も、いらっしゃるかもしれませんね。確かに一昔前はそのような考えが多かったように思われます。一方で、楽しんで仕事をしている人の方が成果やパフォーマンスが高いとも言われています。仕事が楽しい人の特徴やメリット、楽しく仕事をする方法をキャリアコンサルタントの櫻井宏美さんと一緒に見ていきましょう。
今回は、初めての管理職に戸惑う、Oggiブレーンの方から、お悩みをいただきました。
最近、初めて管理職(チームリーダー)になったのですが、誰かを評価するということが苦手です。いちプレーヤーとして立ち回るほうが向いているなと思うのですが、どう対応していけばいいか悩んでいます(Yさん・48歳・女性/東京都)
「管理職に初めて就かれ、自分ではプレーヤーとして立ち回る方が向いていると気づかれたのですね。同時に、誰かを評価することを苦手に感じていて対応に戸惑っているご様子です。
確かに、管理職になると責任も重くなりますし、何より、チームのメンバーを評価しなければならないという職責も発生しますね。
以前、初めて管理職になって不安を抱えた方からも、同じような相談をいただいたことがあります。その方は、管理職は人をコントロールして成果を上げるように指導する、といったイメージを持っておられました。そこで、メンバー1人ひとりに時間を取って、1 on 1で面談をするようにおすすめしました。注意点は自分が話すのではなく、相手により多く話してもらうこと。
一人一人と向き合うことで、お互いの考えや不安に思っていることを共有して解消でき、今では管理職に、やりがいと自信をもって取り組んでいるようです。メンバーの評価をするというより、困りごとや改善点をサポートするという考えに切り替えたとおっしゃってました。Yさんが今までプレーヤーとして蓄積してきた知見は、必ずメンバーの役に立つと思います。一度、1 on 1の機会を作ってみてくださいね」(櫻井さん)
苦手なことを仕事で行わなければならないことは、ままありますよね。一方で、考えを切り替えて、自分の得意なことを仕事に活かすと、苦手ではなく、楽しいと感じることもできるのではないでしょうか。ここからは仕事が楽しい人のメリットや特徴、そうなるための方法を紹介します。
仕事が楽しいとは?
仕事が楽しいとは、仕事にやりがいを感じていたり、周りから働きぶりを評価されたりしている状態にあると言えます。
単に、「仕事が簡単で楽にできる」という意味ではありません。単純で楽にできる仕事でも、つまらなかったり、物足りなさを感じることがあります。一方で、どんな仕事でも、やりがいや充実感があれば、楽しいと感じることが出来るはずです。やりがいとは、それをするだけの価値と気持ちの張りがあることを言います。
自分の仕事に価値を見出し、仕事をすることで気持ちがイキイキする。その上、充実感や達成感を得て、周囲から高く評価されれば、仕事が楽しいと思えるでしょう。
仕事が楽しい人のメリット
仕事は仕事と割り切るのも考え方の一つですが、仕事が楽しいと、得られるメリットもあるようですね。一緒に確認していきましょう。
1:モチベーションをキープできる
仕事を楽しんでいると、気持ちが下がることなく、やる気に満ち溢れる効果が期待できます。「あんなことをやってみよう」「こうすればもっと良くなる」とアイデアが次々に出てきて、創造性が増すことにもつながります。
モチベーションが高い状態にあると、多少のミスやつまらない人間関係にとらわれることなく、自分の仕事に集中できるでしょう。主体的に行動でき、自分には少しハードルが高いと感じることにチャレンジする、前向きな気持ちが育つことも考えられます。
2:成長速度が早い
ゲームや自分の得意なことは、楽しいと感じることが多く、その前向きな気持ちが上達につながりますね。仕事も同じように、楽しんで行っていると、結果的に成長のスピードが早くなります。
自分で工夫したり、失敗したことをしっかり見直し、成功することで、自身の成長を感じることが出来るでしょう。成功体験を早いサイクルで繰り返すことで、多くの経験を積み重ねます。自走して、さらに成長スピードが加速するのは、言うまでもありませんね。
3:周囲からの評価や期待が高い
仕事を楽しんでいる人は、積極的に業務に取り組めるので、効率よく多くの仕事がこなせると言えます。また、他の人より経験値が高くなることで、質が高い仕事をこなすことになるでしょう。
また、明るくて雰囲気も良く、人から頼られることも多いようです。チャレンジ精神もあるので、断ることは少なく、むしろ、その仕事も自分の仕事としてとらえ、最後まで責任を持ちます。信頼を積み重ねることでも、周りからの評価が高くなるのでしょう。
仕事が楽しい人の特徴とは?
業種や職種の違いはあっても、仕事が楽しいと思える人には、共通の特徴があるようです。今回は3つ紹介しますね。
1:職場の人間関係が良好
楽しく仕事に取り組むためには、良好な人間関係は欠かせません。仕事を楽しんでいる人は、コミュニケーション能力が高く、どんな職場でもしっかり周りと、コミュニケーションが取れています。
やりがいを持ち、好きな仕事をしていても、職場内でいじめやハラスメントがあれば「楽しい」とは言えません。積極的にコミュニケーションをとる姿勢が、周りの変化につながることもあります。笑顔で挨拶をしたり、感謝の言葉を伝えたり、自分の気持ちを伝えたり。他人を変えることは難しいですが、自分は変わることができます。自分自身を変えることで、相手の言動が柔らかく変化することが考えられますね。
2:好きなことを仕事にしている
仕事が楽しい人は、好きなことを仕事にしている人が多いでしょう。好きなことに取り組んでいると、どんな困難でも乗り越えられますし、モチベーションも高い状態をキープできます。いつも楽しい状態が続くとはいきませんが、「こんな時もある」と、立ち止まって自分を見つめ直す余裕も生まれるでしょう。
自分には荷が重いと思うことや、責任ある業務を任された時も、「これは自分が成長するチャンスだ」と前向きに取り組めることが多いと言えます。
3:切り替えができている
仕事を楽しんでいる人は、仕事とプライベートの切り替えができていると言えるでしょう。仕事だけでなく、プライベートも楽しめるという人も多いです。どちらも充実させるには、時間管理が重要。仕事をどこまで続けるか、どこで終わらせるか、進捗状況を見ながら、適正な時間管理を行うわけです。
仕事が終われば、今度はプライベートを充実させます。趣味に没頭したり、リラックスできる音楽を聴いたり、体を動かしたり。しっかりと休んで、心身ともに整えることも、楽しく仕事をするには大切なことですね。
仕事を楽しくする方法とは?
楽しく仕事がしたい、と考えている方は多いのではないでしょうか。どのようにすれば仕事を楽しくできるのか、一緒に見ていきましょう。
1:自分を理解する
まずは、自分のことを知り、自分を受け入れることがとても重要です。それぞれを自己理解、自己受容と言います。明るい、真面目、前向き、せっかち、飽き性、ネガティブ、さまざまなタイプの方がいらっしゃるでしょう。自分がどんな性格かを把握することで、仕事に対する姿勢や取り組み方が変わってきます。
オンラインでもできる自己分析や性格診断もあるので、自分のことを知る第一歩には、いいかもしれませんね。もし、仕事自体が性格に合わないという場合は、転職するという選択肢もあります。
2:他人軸ではなく自分軸に
「あの人は仕事が早いのに、自分は時間がかかる」「私はできないけど、この人はできている」といった、他人軸で仕事に取り組んでいる方もいるでしょう。人はそれぞれ個性があり、性格や能力も異なるので、他人と自分を比べてもあまり意味がありません。
一方で、「自分はこんなことができる」「私はこれが得意だ」と、自分軸でとらえると、行動や考え方が前向きになる場合があります。自分は自分でいいところがある、と自分の長所を伸ばすことに目を向けると、仕事も楽しくなりそうですね。
3:お気に入りを身近に取り入れる
すぐに実行できそうな方法として、自分のお気に入りや気分が上がるアイテムを取り入れる、ということが考えられます。少し高級な文房具を購入したり、マグカップを好みの柄にしてみたり、自席に花を飾ってみたり。仕事をする時に、気に入ったものが身近にあると、それだけで楽しい気分になりますよね。
まずは、「楽しい」という気持ち作りから入ることも大切です。
最後に
仕事は日々の生活の大半の時間を占めるものですよね。仕事が楽しいと、人生も明るく前向きなものになるはず。「しごと」は、「私事」「志事」「支事」と、さまざまなとらえ方ができる言葉です。どんな言葉が自分に一番しっくり当てはまるか、考えてみてはいかがでしょうか。自分軸で楽しめる「しごと」に出会えるヒントになるかもしれません。
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※本記事はOggiブレーン会員に対して2022年10月に行った「働き方アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
キャリアコンサルタント 櫻井宏美さん
2017年国家資格キャリアコンサルタント取得。保険薬局・薬剤師の新卒採用を担当。Well-beingが高まる働き方を模索&実践中。