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キャリアコンサルタントが考える「仕事で失敗ばかりする」対処法
ミスが重なることは、多くの人が経験していることですよね。反省したり、落ち込んだり、思いもさまざまあるでしょう。この記事では、キャリアコンサルタントの櫻井宏美さんと一緒に、仕事で失敗ばかりする人について考えてみましょう。
「なかなか仕事が上手くいかない…」というOggiブレーンの方から、こんなお悩みをいただきました。
「自分の仕事の出来なさに、いつも落ち込んでいます。一生懸命なつもりですが、なかなか上手くいかないことが多いです。そのストレスから、家族にあたってしまう事もあり、ますます自己嫌悪に陥ってしまいます」(Sさん・26歳・女性/神奈川県)
一生懸命、仕事をしているつもりなのに、なかなか上手くいかないと、気分も落ち込み、ストレスが溜まってしまいますよね。対処法について、櫻井さんにお話をおうかがいしました。
「真面目に仕事に取り組んでいるのに、上手くいかないと、落ち込んでしまいますよね。ストレスから、身近な人に矛先が向かう場合もあります。
以前、ある会社で女性の若手社員の方から相談を受けたことがあります。その方は、真面目に仕事に取り組んでいるつもりなのに、仕事が上手くいかないことを悩んでいました。
言われたことを忘れてしまったり、仕事の優先順位をつけられなかったり。頭ではわかっていても、いざ、仕事を始めると目の前のことしか集中できなくなってしまう状態だったそうです。
そこで、2つの提案をしました。1つ目は、自分の仕事を可視化すること。付せんやメモにやるべき業務を書き出します。それらをパソコンやデスクに貼って、やるべきことを常に視界に入れておくようにしてもらいました。
2つ目は、上司や同僚に相談することです。その女性は人に頼るのが苦手だったのですが、わからないことや不安なことはすぐに相談し、理解してから次に進むようにアドバイスしました。
この2つのアドバイスによって、状況はかなり改善されたそうです。『上司から、わからないことを積極的に聞く姿勢がいい、と褒められた』と笑顔で話されていたのが、印象に残っています」(櫻井さん)
仕事が上手くいかない原因は、人それぞれありますよね。まずは、自分の行動を可視化してみるといいかもしれません。素直に人に相談することも大切なようですね。
「仕事が上手くいかないストレスから、身近な人に当たってしまう場合は、仕事と家族の間に、『間』を設けてください。
通勤している方は、少し遠回りして自宅に帰る、リモートワークの方は、仕事が終わったら散歩に出るなど、気分転換を心掛けてくださいね。仕事のストレスが軽減されれば、身近な人に当たってしまうことも減る場合が多いようです」(櫻井さん)
ここからは、仕事で失敗ばかりする人の特徴や改善法を、一緒に見ていきましょう。
仕事で失敗ばかりする人の特徴は?
仕事で失敗を繰り返す人には、共通の特徴が見られるようです。一緒にチェックしていきましょう。
1:失敗を振り返らない
失敗すると落ち込んでしまい、「もう思い出したくない」となりがちですね。しかしながら、なぜ失敗してしまったのかを振り返らずにそのままにしておくと、また、同じ失敗を繰り返します。少し辛いかもしれませんが、次回の成功のために、失敗を振り返りましょう。
一人で振り返ることが難しいと感じた場合は、上司や同僚にアドバイスを求めてみると、いいかもしれませんね。
2:成功体験に頼りがち
一度成功したことが頭に残り、同じやり方に固執する人も、失敗が続いてしまう場合が多いです。成功したことを繰り返して行う方が、無難でやりやすいかもしれません。しかしながら、人も仕事も「生きもの」です。今は特に「変化」が問われている時代でもあります。
柔軟な考えで、その時の最善策を考えることが、失敗を繰り返さない秘訣です。
3:事前準備ができない
「この仕事を成功させるためには、何が必要で、どういう順番で、何を優先すべきか」というように、計画や準備を整えることが苦手な人が多いようです。そのため、期限に間に合わないことや、仕事の質の低下を招く場合があります。
まずは、頭の中で考えず、やるべきことを可視化してみましょう。1つの付せんに、1つの必要なタスクを書きます。付せんの順番を入れ替えて、優先順位を決めると、整理しやすくなりますよ
年代別に解説! 仕事で失敗ばかりする人の原因
仕事で失敗ばかりしてしまう原因は、年代によっても、さまざま見られるようです。ここでは、3つの年代別に、詳しく見ていきます。
1:新入社員の場合
学生から社会人となり、生活リズムや人間関係といった、大きな変化に慣れることも大変ですよね。その結果、仕事を覚えられず、失敗を繰り返してしまうことも。
わからないことや疑問に思うことは、上司や先輩にその場で聞くことが大事です。「聞きにくいな」と思うことがあるかもしれません。しかしながら、同じチームとして仕事をする上では、一人のミスが全体につながってしまう場合が多いです。
聞いた話はメモを取って、忘れないようにしましょう。メモを取って終わりではなく、理解できるまで復習することも大事です。
2:中堅社員の場合
さまざまな捉え方がありますが、中堅社員とは、主に入社3年目以降で、役職についていない社員を言います。
責任ある仕事が増える時期である一方、仕事にも慣れ、失敗も増えやすくなる場合が多いです。気持ちの余裕から油断してしまったり、役職を目指すがゆえに、実力の伴わない仕事に手を伸ばすこともあるでしょう。また、新入社員や後輩に、いいところを見せたい、という見栄が働く場合もあるのではないでしょうか。
一度、自分の計画や行動を、冷静に見つめなおすといいかもしれません。「無理だな」と思った時は、素直に、先輩や同僚に頼ることを心掛けてください。
3:ベテラン社員の場合
ベテラン社員の定義はさまざまありますが、ここでは40歳後半~65歳までの人のうち、管理職にない人のことを例にあげます。
この年代の社員は、体力やモチベーションの低下で、仕事に集中しにくくなっていることが考えられます。本人は理解できているつもりでも、忘れることや見逃してしまうことが起きやすいようです。
また、上司がベテラン社員より年下の場合、「年長者だから、注意しにくい」という場合も。まずは、コミュニケーションをとることが大切です。雑談から始めるのがいいかもしれません。お互いを知ることで、相手を思いやる気持ちが生まれます。
仕事で失敗ばかりしないための改善法は?
繰り返す失敗を防ぐには、どんな行動をとればいいのでしょうか。改善法を紹介します。ぜひ、参考にしてくださいね。
1:失敗に向き合う
失敗に向き合うといっても、「ああしなければよかった」とマイナスに後悔するだけでは、前に進みません。冷静に振り返ってみて、どの時点で失敗につながったのか。「次回はこうしよう」と改善点を見つけてみましょう。
失敗から得られるフィードバックは、成功へのヒントとなる場合が多いものです。
2:周りに相談する
失敗ばかりしてしまうと、恥ずかしいという思いが心を占め、周囲に相談しにくい場合がありますよね。ただ、自分一人で考えるのは限界があります。周囲にアドバイスをもらうことで、意外な改善策を得られるはず。
また、辛い気持ちや愚痴を聞いてもらうことで、ストレス発散やリフレッシュ効果も期待できます。
仕事で失敗ばかりしてしまった場合の対処法
「また、やってしまった」となった時、すぐにできる対処法を知っておくことも重要です。しっかり、押さえておきましょう。
1:お詫びと報告
最初にとるべき行動は、謝ることです。失敗したと分かった時点で、関係者に謝罪します。謝罪が遅れれば遅れるだけ、信頼を失うことになるでしょう。
その次に、上司に報告して、指示を仰ぎます。叱られることを怖がってはいけません。上司が叱らなくなった時は、その部下を諦めてしまう場合が多いようです。「叱られるのは、まだ自分にチャンスがある」ととらえ、早急に対応しましょう。
2:落ち込み過ぎない
自分を責め過ぎることは、避けるようにしましょう。失敗を繰り返さないように、十分に反省することはとても大切です。しかしながら、反省する中で、必要以上に自分を責めてしまうと次のステップへ進みにくくなります。
気持ちを切り替えて、趣味に没頭したり、散歩をして体を動かしたりしながら、失敗から少し距離を取ることも心掛けてくださいね。
最後に
今回は、仕事で失敗ばかりする人を見てきました。ドラマのように「失敗しない」と言い切れる潔さに、憧れを感じることもありますよね。しかしながら、人は誰でも失敗するもの。失敗するからといって、何も行動しないままでは、次の失敗を引き寄せることも考えられます。本記事を参考に、失敗を恐れず、ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
※本記事は Oggi ブレーン会員に対して 2022 年 10 月に行った「働き方アンケート」に回答 いただいた Oggi 読者の回答をもとにしています。
キャリアコンサルタント 櫻井 宏美
2017年国家資格キャリアコンサルタント取得。保険薬局・薬剤師の新卒採用を担当。Well-beingが高まる働き方を模索&実践中。