「仕事がだるい」には理由がある
十分に休養を取ったつもりでも、なぜか、仕事がだるいと感じることってありますよね。「気分がのらない」「やる気が起こらない」と、言い換えることもできるでしょう。人によって、さまざまな原因が考えられます。
今回は、出勤するのが億劫なOggiブレーンの方から、お悩みをいただきました。
「朝起きると、仕事に行きたくないと思ってしまいます」(Tさん・36歳・女性/静岡県)
目覚めた瞬間、「会社か…」とため息の出ること、ありますよね。特に休み明けは、なかなかベッドから起き上がれない、といった方も多いのではないでしょうか。対処法について、キャリアコンサルタントの櫻井さんにお話をおうかがいしました。
「朝、目が覚めて仕事のことを考えるだけで、行きたくない気持ちになる要因はさまざまあると思います。現代の働く環境は、厳しい経営状態、成果主義の徹底、複雑な人間関係など、心に大きな負担がかかる状況にあると言えますね。
以前、相談を受けた方は、会社に行くことを考えると、朝、ベッドから起き上がれず遅刻を繰り返すようになっていました。原因は上司の方の理不尽さだったようです。
その上司の方は、複雑な仕事や時間がかかる仕事はすべて相談者任せ。仕事を終わらせることなく帰ることも多くあり、相談者の残業が増えるばかり。周りに相談することをすすめましたが、話を聞いてくれる人はいても、解決にはならないようでした。
そこで、部署異動や転職も視野にいれて、ご自身の状況を考え直すことを提案したところ、転職を決意されました。会社を辞めると決断したことで、朝、起きにくい状況は解消され、前向きな気持ちになった、とスッキリした表情でお話くださいました」(櫻井さん)
自分の気持ちを抑えて無理をすると、どこかでひずみが発生し、心の病に発展する可能性があります。会社を辞めるというのは勇気がいることですが、自分の心を守る選択肢の1つとして、頭の片隅にとどめ置いておきましょう。
ここからは、「仕事がだるい」状態や原因、対処法を一緒に見ていきます。
仕事がだるいって、どんな状態?
仕事がだるい状態は、身体的なものと精神的なものが挙げられます。それぞれに特徴が見られるので、一緒に確認していきましょう。
1:身体的なもの
身体的なだるさは、行動にあらわれやすいと言えるでしょう。そのため、上司や同僚など、一緒に働いている人も気づいてもらえる場合が多いです。
仕事上のサインとしては、作業能率が下がる、ミスが増える、いつもの仕事に何倍も時間がかかる、といった状態になります。一方で、態度上のサインとしては、ぼんやりしてしまう、眠気が続く、笑顔や口数が減る、考え込むようになる、といった状態が多くなるでしょう。
周りに思い当たる人がいる場合は、「大丈夫?」など、気遣いを心掛けあげてくださいね。
2:精神的なもの
仕事がだるいと感じる時は、精神的なだるさを指すことが多いと言えるでしょう。業務の質的・量的負荷や対人関係など、さまざまな要因が考えられます。
何をするにも億劫、仕事に集中できない、気分が沈みがち、人に会うのが面倒、といった状態になることが多いです。
個人差がありますが、いずれにせよ、同じ状態が長く続くことはよくありません。自分の心の状態に関心を持ち、セルフケアに気を付けてくださいね。
仕事がだるい原因とは?
仕事は生活において、多くの時間を費やす活動といえますね。それがゆえに、仕事がだるいと感じることは、誰にでも起こり得ることです。ここでは、3つの原因を紹介しましょう。
1:働く時間が長く、休養できない
残業が多かったり、休日出勤が続いたりして、しっかり休養する時間が取れない場合、心身ともに大きな負荷がかかります。
昔の高度経済成長期の名残から、残業時間が長い人ほど、会社への貢献が高いと見られることが多いようです。また、上司が残業すると、周りの部下が帰りにくいという場合があります。
残業や頻繁な休日出勤を改善する取り組みが必要となる場合もあるでしょう。
2:職場の人間関係に悩んでいる
仕事に対する悩みで一番多いのは、職場の人間関係である場合が多いと言えます。社会に出て働いている以上、誰にも関わらず、仕事をするということは考えられませんね。
理不尽な上司、ワンマンな同僚、細かいことを指摘する後輩といった、多様な人間関係。モチベーションが下がる要因に囲まれていると、仕事がだるくなってしまっても、無理はありません。昨今は、パワハラやセクハラといったハラスメントも、大きな問題となっています。
自分一人で解決することが困難と判断した場合は、人事部や労働組合に相談しましょう。
3:正当に評価されていない
どんなに努力をして結果を出しても、それに見合った評価がなされないと、やる気がなくなってしまいますよね。特に、上司の好き嫌いや、社歴が長い人といった、実力と関係ないところで評価が決まってしまうと、モチベーションが下がる一方に。
このような状態が改善されない場合は、部署異動を願い出るのも一つの手です。実力以外で評価をされることが、会社の文化として、常態化している場合は、転職することを視野にいれてもいいかもしれません。
仕事がだるい人の注意点とは?
仕事がだるい状態が長く続く場合、心身ともにさまざまな症状が発生することが考えられます。そのままにしておくと「メンタルヘルス不調」を引き起こすこともあるでしょう。
「メンタルヘルス」とは「メンタル(心・精神)」と「ヘルス(健康)」を合わせた言葉です。総じて心の健康をあらわします。つまり、「メンタルヘルス不調」とは、「心の健康状態が不調である」ということ。ここでは注意点を2つ解説します。
1:強い不安を感じる
不安な気持ちが収まらず、沈んだ気分が続く場合は注意が必要です。そのままの状態で、働き続けると「うつ」になってしまう可能性も考えられます。上司や同僚に話を聞いてもらうなど、周りに頼ることも必要となるでしょう。
その際は、職場内ではなく、安心して話せるような場所を選んでください。時間に余裕をもって話せるようにすることも忘れずに。
2:眠れない
仕事のだるさが続くと、睡眠をしっかりとれないこともあるでしょう。睡眠不足は疲労感、情緒不安定、行動や判断ミスにつながります。
睡眠不足を改善するためには、寝室環境を変えてみるのもいいでしょう。例えば、寝室は間接照明で少し暗めにし、カーテンも遮光のものに変更してみてください。アロマ(香り)や穏やかな音楽をかけるなど、リラックスできる環境を整えることも効果があるようです。
仕事がだるい状態の対処法とは?
ここでは、仕事がだるい状態を改善する対処法を紹介します。「ただだるいだけだから問題ない」と、あなどらないように。早めの対処で、すっきりとした気持ちで仕事に向かいましょう。ここでは、朝・昼・夜に分けて、見ていきます。
1:朝日の中で深呼吸
目覚めたら、カーテンを開けて朝日を浴びて、ゆっくりと深呼吸してみましょう。ストレスで乱れた体内時計が修復され、体内リズムが整います。ぎりぎりまで寝て、慌てて家を出る余裕のなさも、ストレスを引きおこし、仕事のだるさにつながることがあるようです。
2:昼休みに短いウォーキング
15分歩いてランチへ行き、また歩いて会社に戻るだけで、1日30分歩くことになります。短い時間でも、積み重ねが運動不足解消のコツです。足を動かすことで全身の血行が良くなり、疲れにくい心身になるでしょう。オフィスにスニーカーを置いておくのもいいですね。
3:就寝前には刺激を控えて
寝る前に、スマホをいじりながらベッドに入る方も多いのではないでしょうか。日中に、パソコン画面とにらめっこしている上に、さらに目を酷使すれば、脳の興奮が収まりません。脳が休まらないと、仕事のだるさもなくなりにくいでしょう。就寝の30分前には、電源を切るように意識しましょう。
最後に
仕事のだるさは、頑張って働いている証拠ともいえます。しかしながら、心身ともに悪影響を及ぼすのは、避けたいところ。一方で、常に良好なモチベーションを維持することは難しいかもしれません。休むことも仕事の一部ととらえて、心身を良い状態に保ちましょう。
参考文献/メンタルヘルス・マネジメント(R) 検定試験公式テキスト III種 セルフケアコース(大阪商工会議所)
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※本記事はOggiブレーン会員に対して2022年10月に行った「働き方アンケート」に回答いただいたOggi読者の回答をもとにしています。
キャリアコンサルタント 櫻井宏美さん
2017年国家資格キャリアコンサルタント取得。保険薬局・薬剤師の新卒採用を担当。Well-beingが高まる働き方を模索&実践中。