「離職」とは?
「離職」とは、「退職や失業によって、仕事から離れること」。自己都合や解雇、定年、契約期間満了などの理由で、職から離れる・離れている状態のことを「離職」と言います。昔は、定年まで同じ会社で働くことが良しとされていました。ですが現在では、自分なりのキャリアを築くために、転職をするのが当たり前となり、「離職」する人も増えているようです。
「離職」と「退職」の違いとは?
「離職」と間違えやすい言葉に「退職」があります。「退職」とは、「現在の仕事を辞めること」。勤めている会社を辞めて、雇用契約を終了することをさします。「離職」と「退職」も、似たような意味を持っていますが、「離職」は、仕事から離れていることをさし、「退職」は、仕事を辞めることをさす場合が多いです。
「離職」は“状態”のことで、「退職」は“行為”のことを表すと覚えておくといいでしょう。そのため、仕事をしていないときのことを、「離職中」とは言っても、「退職中」とは言いません。
「離職率」の平均とは?
続いて、「離職率」の計算方法や平均、ランキングを見ていきましょう。
「離職率」とは?
「離職率」とは、ある企業の中で、どれくらいの従業員が辞めたのかを表す割合のこと。「離職率」は、働きやすい企業なのかを表す数値でもあります。そのため、「離職率」が高いと、求職者からの印象が悪くなり、採用が難しくなることも。また、その企業で働いている従業員のモチベーションを下げてしまうというデメリットもあります。
計算方法
「離職率」の調べ方について紹介しましょう。「離職者数=算出したい期間における離職者数÷起算日における従業員数×100」という計算式で算出するのが一般的です。しかし、計算方法は特に決められているわけではなく、企業によって「算出したい期間」が異なることも。そのため、「離職率」を聞いたときには、どれくらいの期間で算出しているものなのかを確認しておくといいでしょう。
ちなみに、厚生労働省が定期的に行っている「雇用動向調査結果」では、「離職率=離職者数÷年始時点の常用労働者数×100」という計算式が使われています。
「離職率」の平均
厚生労働省が発表した「令和3年(2021)上半期雇用動向調査結果」によると、「離職率」の平均は8.1%でした。令和元年(2019)は9.1%、令和2年(2020)は8.5%でしたので、「離職率」は減少傾向にあるようです。産業別に見ていくと、「離職率」がもっとも高いのは、「宿泊業、飲食サービス業」の15.6%。2位は、「教育、学習支援業」で12.4%、3位は「生活関連サービス業、娯楽業」で11.0%でした。
なお、新卒者の「離職率」も紹介しましょう。厚生労働省の「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況」(令和2年度)によると、大卒者の「離職率」は31.2%で、高卒者は36.9%でした。それぞれ、前年に比べて1.6%、2.6%低下したようです。
参考:令和3年上半期雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
参考:新規学卒就職者の離職状況を公表します(厚生労働省)
「離職票」とは?
「離職」をするときに耳にする「離職票」。「離職票」とは何に使うものなのか、発行期限はあるのか、いつもらえるのか、もらえないときはどうしたら良いのか等について解説します。
意味
「離職票」とは、「離職」したことを証明する書類のこと。「離職票」は、ハローワークでの求職や、雇用保険の失業手当の申請をするために必要なものです。また、「離職票」は国民健康保険に加入する場合に、役所に提出することもあります。
「離職票」は誰でももらえるわけではありません。発行条件としては、「在職中に雇用保険に加入していたこと」。もし加入していなかった場合は、受け取れないので注意しましょう。
「離職票」と「離職証明書」の違いとは?
「離職票」と混同しがちな書類に、「離職証明書」があります。「離職証明書」とは、「離職票」の交付のために会社がハローワークに提出する書類のこと。「離職証明書」には、自己都合なのか、会社の都合なのかといった「離職理由」などを記入する欄もあります。
なお、「離職証明書」は、ハローワークのホームページでダウンロードはできませんので、ハローワークで直接受け取らなければなりません。
発行の流れ
「離職票」は、従業員自らが用意するものではなく、会社が手続きを行うものです。会社は、従業員が会社を退職した日の翌日から10日以内に、雇用保険の資格喪失手続きとともに、「離職票」の発行申請を行います。その後、ハローワークが「離職票」を会社に交付。そして会社が従業員のもとに送付します。「離職票」が発行される流れをまとめると下記の通りです。
1. 企業がハローワークに、「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」を提出。
2. ハローワークが企業に、「離職票」を交付。
3. 企業が退職者に「離職票」を送付。
いつ届く?
「離職票」が手元に届くのは、退職日から数えて10日〜2週間くらいです。上記で説明した通り、会社だけではなく、ハローワークも絡むため多少時間がかかります。即日発行は難しく、最短でも2〜3日はかかると思っておきましょう。
なお、「離職票」を失くしてしまった場合は、自分でハローワークに行き、所定の手続きを行えば再発行が可能です。
届かない場合はどうする?
「離職票」が届かないパターンとしては、2つ考えられます。1つは、会社からの嫌がらせなどで発行してくれないケース。もう1つは、会社かハローワークでの手続きが滞っているケースです。
いずれにせよ、2週間たっても「離職票」が届かない場合は、まず会社に状況を確認・催促するようにしましょう。「離職票」は、退職者が請求をすれば、会社は発行手続きをする義務があります。そのため、手続きを行っていないことがわかったら、すぐに発行依頼をするようにしましょう。
なお、「離職票」が届いていなくても、失業手当の仮手続きはできます。しかし手続きの方法は異なるため、管轄のハローワークに問い合わせるようにしてください。
英語表現とは?
「離職する」の英語は、「leave one’s job」です。「離職率」のことは「turnover rate」という英語で表すことができます。
最後に
仕事から離れることをさす「離職」について解説しました。会社を辞めた後、失業保険を受け取る場合には、「離職票」が必要になりますので、忘れずに会社に申請をしておきましょう。
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