この記事のサマリー
・「離職」とは、雇用関係の終了によって職を離れること。自己都合による退職だけでなく、解雇や定年、契約期間の満了なども含まれます。
・厚生労働省の「令和7年(2025年)雇用動向調査」によると、一般労働者の年間離職率は11.4%でした。
・「離職票」は、雇用保険の基本手当を受給する際に必要な書類です。必要になるか迷う場合は、退職時に会社へ交付を希望しておくと安心でしょう。
「離職」とは、辞書では「一般には、職に就いている者が、雇用関係の終了によりその職から離れること」とされています。自己都合による退職だけでなく、解雇や定年、契約期間の満了などによって職を離れる場合も含む言葉です。
「離職票」や「離職証明書」など、ハローワークの手続きでも耳にすることがありますよね。一方で、「退職とはどう違うの?」「離職票と離職証明書の違いがわからない」と迷う人もいるでしょう。
そこで、この記事では離職と退職の違いなどについて詳しく見ていきます。
「離職」と「退職」の違いとは?
「離職」と「退職」は、どちらも雇用関係が終了して職を離れることを表すため、同じような意味で使われることがあります。ただし、使われ方には少し違いがあります。
例えば、現在職に就いていない状態を「離職中」と表すことはありますが、「退職中」と表すことは一般的ではありません。「退職」は「会社を退職する」のように、職を辞める行為を表す際に使われることが多いでしょう。ただし、両者を「離職は状態、退職は行為」と明確に分けられるわけではありません。
また、「離職」は、退職届を提出して自己都合で辞める場合だけでなく、定年や雇用期間の満了、解雇なども含む、より広い意味で使われることがあります。
「離職率」の平均は?
続いて、「離職率」の意味や計算方法、平均的な水準などを見ていきましょう。

「離職率」とは?
「離職率」とは、一定時点の従業員数に対して、一定期間中にどれくらいの人が離職したのかを表す割合です。ただし、対象とする従業員や期間、計算方法は企業や調査によって異なる場合があります。
転職先を探すとき、その会社の離職率が気になったことはありませんか? 離職率が高いと、「入社しても長く働き続けるのが難しい会社なのでは?」と不安を感じる人もいるでしょう。離職率は、企業の人材定着の状況を知る手がかりのひとつです。ただし、業種や雇用形態、契約期間満了による離職者の多さなどにも左右されるため、数値だけで働きやすさを判断することはできません。離職率を見る際は、その理由や算出期間なども併せて確認することが大切です。
企業にとっても、離職率は無視できない指標です。離職者が増えれば、新たな人材の募集や採用、入社後の教育に時間や費用がかかる可能性があります。企業イメージや、残った従業員の業務負担に影響することも考えられるでしょう。
そのため、人材の定着を図ろうと、処遇や配置、人材育成、業務の進め方、職場環境などの改善に取り組む企業もあります。
計算方法
離職率の計算方法には、法律などで定められた統一的なルールがあるわけではありません。一例として、次の計算式が用いられます。
離職率(%)=算出したい期間中の離職者数÷基準日時点の従業員数×100
例えば、年度初めに100人いた企業で、その年度中に10人が離職した場合、離職率は10%です。ただし、企業や調査によって、対象とする従業員の範囲や算出期間、基準日が異なることがあります。離職率を比較するときは、数値だけでなく、どのような条件で算出されているのかも確認しましょう。
なお、厚生労働省の「雇用動向調査」では、原則として「離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100」という計算式で離職率を算出しています。
「離職率」の状況
厚生労働省の「令和7年(2025年)雇用動向調査」によると、一般労働者の年間離職率は11.4%でした。
産業別に一般労働者の離職率を見ると、もっとも高かったのは「宿泊業、飲食サービス業」の21.5%です。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が20.3%でした。ただし、数値だけで業界や企業の働きやすさを判断するのではなく、実際の職場の雰囲気や状況もあわせて確認するとよいでしょう。
新卒者の離職率についても見てみましょう。厚生労働省が2025年10月に公表した調査によると、2022年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、大卒者が33.8%、高卒者が37.9%でした。前年の卒業者と比べると、大卒者は1.1ポイント、高卒者は0.5ポイント低下しています。
参考:「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」
参考:「厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」

「離職票」とは?
退職するときに耳にすることがある「離職票」。どのような場合に必要になるのか、いつ受け取れるのか、届かないときはどうすればいいのかなどを解説します。
意味
「離職票」とは、離職理由や退職前の賃金などが記載された、ハローワークが交付する書類です。通常は、会社がハローワークで手続きを行い、会社を経由して本人に渡されます。ただし、一定の条件を満たす場合は、マイナポータルを通じてハローワークから直接受け取ることもできますよ。
離職票は、雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当の受給手続きをするときに必要です。原則として、雇用保険の被保険者として働いていた人が交付の対象となります。
次の就職先が決まっている場合や、退職後は家事に専念するなど、基本手当の受給手続きを行わない場合は、必ずしも離職票を受け取らなければならないわけではありません。ただし、後から必要になる可能性もあるため、迷っている場合は念のため会社へ交付を希望しておくと安心でしょう。
離職票を受け取ったら、「離職票-1」と「離職票-2」の2枚がそろっているかを確認しましょう。雇用保険の基本手当の受給手続きでは、原則として両方の提出が必要です。「片方だけ持って行ってしまった…」という話は意外とよくあるので、ハローワークに行く前に確認するのがおすすめですよ。
発行の流れ

「離職票」は、退職者が自分で作成するものではなく、原則として会社がハローワークで手続きを行い、ハローワークが交付する書類です。
会社は、雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。ハローワークが内容を確認した後、離職票が交付されます。
一般的な流れは、次のとおりです。
1:会社がハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出する
2:ハローワークが内容を確認し、離職票を交付する
3:会社が退職者へ離職票を送付する。(一定の条件を満たす場合は、ハローワークから本人のマイナポータルへ直接交付される)
なお、会社から離職票を受け取る際、紙の離職票が郵送されるケースのほか、電子データがメールなどで送られるケースがあります。受け取り方法や送付先、送付時期について退職前に会社へ確認しておくと、行き違いを防ぎやすいでしょう。
いつ届く?
離職票が手元に届く時期は会社の対応状況などによって異なりますが、退職後10日〜2週間程度がひとつの目安です。会社が早めに手続きを行った場合は、1週間程度で届くこともあります。
なお、時折「離職票を退職日当日に受け取れないの?」という質問も耳にしますが、原則として退職日当日に受け取ることはできません。というのも、会社がハローワークへ書類を提出した後、ハローワークが内容を確認して離職票を交付するからです。
会社が手続きを行う時期やハローワークの処理状況、郵送にかかる日数などによっては、2週間以上かかる場合もあるでしょう。特に年度末など、退職者が増える時期などは、通常より処理に時間がかかる可能性もあります。
基本手当の受給手続きを急ぎたい場合は、退職前に会社へ「離職票を早めに受け取りたい」と伝え、手続きや送付時期の目安を確認しておくと安心ですよ。
届かない場合はどうする?
退職後2週間程度が経過しても離職票が届かない場合は、まず会社へ連絡し、ハローワークへの手続きや発送が済んでいるかを確認しましょう。会社やハローワークで処理中である、書類に不備があった、郵送上の行き違いが生じているといった可能性も考えられます。
また、経営不振や事業停止、倒産などによって会社の管理部門が十分に機能せず、連絡がつかない、依頼しても手続きが進まないといったケースもあります。このような場合は、会社からの連絡を待ち続けず、住所地を管轄するハローワークへ早めに相談するようにしましょう。
相談する際は、本人確認書類のほか、退職証明書や解雇通知書、会社とのメールなど、退職日や在籍状況がわかる資料をできる範囲で用意しましょう。必要な書類は状況によって異なるため、事前にハローワークへ確認すると安心ですよ。

英語表現は?
「離職する」は、英語で「leave one’s job」と表現できます。例えば、「彼女は先月、仕事を辞めました。」は「She left her job last month.」となります。
「離職率」は「turnover rate」または、従業員の離職率であることを明確にした「employee turnover rate」と表現するのが一般的です。
「離職」に関するFAQ
ここでは「離職」にまつわるよくある疑問と回答を紹介します。
Q1.「離職」と「退職」は何が違いますか?
A. どちらも雇用関係が終了して職を離れることを表し、同じような意味で使われる場合があります。ただし、職に就いていない状態を「離職中」、職を辞める行為を「退職する」と表すなど、使われ方には違いがあります。
Q2.離職票は必ず受け取る必要がありますか?
A. 雇用保険の基本手当を受給しない場合は、必ずしも受け取る必要はありません。ただし、後から必要になる可能性もあるため、迷っている場合は交付を希望しておくと安心です。
Q3.退職後、離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
A. 退職後2週間程度が経過しても届かない場合は、まず会社へ手続きや発送の状況を確認しましょう。会社と連絡がつかない場合や、依頼しても手続きが進まない場合は、住所地を管轄するハローワークへ相談してください。
最後に
この記事では、「離職」の意味や「退職」との使われ方の違い、離職率、離職票の役割や受け取り方などについて解説しました。離職票は、雇用保険の基本手当を受給する際に必要となる、退職時の重要な書類のひとつです。必要になったときに慌てないよう、おさえておくと安心ですね。
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