「薄給」とは?
ニュースなどで「薄給」という言葉を目にしたことはありませんか? よく見かける言葉ではあるものの、なんと読むのかわからない方もいるでしょう。まずは、「薄給」の読み方や意味を紹介します。
意味や読み方
「薄給」とは、「はっきゅう」と読みます。「はくきゅう」と間違えて読んでいる人もいますが、正しくは「はっきゅう」ですので、この機会に覚えておきましょう。「薄給」とは、「安い給料のこと」。「薄」という漢字自体に、「内容が少ない」「僅か」といった意味があります。これに、「給料」の「給」をつけて、「少ない給料」をあらわすのです。
「薄給激務」「薄給ホワイト」とは?
「薄給」に関連する言葉に、「薄給激務」や「薄給ホワイト」などがあります。「薄給激務」は、「はっきゅうげきむ」と読み、仕事が大変なのに給料が安いこと。深夜まで働いたり、サービス残業が多かったりするのに、賃金が少ないことをさし、ブラック企業といえるでしょう。
一方、「薄給ホワイト」は、残業が少ないなど働きやすいものの、給料が安いこと。「ホワイト」とは、ホワイト企業のことをさし、定時で上がれたり、有給休暇を取りやすかったりなど、まったり働けて労働環境が良い会社のことです。
「薄給」の業界とは?
では、「薄給」が多いのはどのような業界なのでしょうか? ここでは、国税庁の「民間給与実態統計調査」のデータをもとに見ていきましょう。まず、1人あたりの平均給与がもっとも低いのは、「宿泊業、飲食サービス業」の251万円でした。次に低いのは、「農林水産・鉱業(農業、林業、漁業、鉱業など)」の300万円、そして「サービス業(洗濯・理容・美容・浴場業や、娯楽業など)」の353万円です。
サービス業においては、日本にサービス自体にお金を払う文化がないため、給料が安くなってしまうよう。農林水産・鉱業においては、例えば農業の場合は天候に左右されるため、安定した出荷ができないことも「薄給」の原因のひとつのようです。
ちなみに、平均給与がもっとも高い業界は、「電気・ガス・熱供給・水道業」の 715万円でした。もっとも低い「宿泊業、飲食サービス業」の 251万円と比べて、464万円も差があることがわかります。
「薄給」の基準はいくらから?
続いて、「薄給」の基準を見ていきましょう。一般的に、「薄給」とされるのは年収が300万円未満のことをさす場合が多いようです。ただし、年齢や性別によっても給料の基準が変わってくるので、ここでも国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」をもとに、平均給与を紹介します。自分の給与が平均給与より高いのか低いのか、見てみてくださいね。
<全体の平均給与>
433万円(男性:532万円、女性:293万円)
<年齢・男女別の平均給与>
20〜24歳 260万円(男性:277万円、女性:242万円)
25〜29歳 362万円(男性:393万円、女性:319万円)
30〜34歳 400万円(男性:458万円、女性:309万円)
35〜39歳 437万円(男性:518万円、女性:311万円)
40〜44歳 470万円(男性:571万円、女性:317万円)
「薄給」だとどうなる?
給料が少ない「薄給」で働き続けると、どのような将来が待っているのでしょうか? 「薄給」のデメリットや影響を紹介します。
1:貯金ができない
「薄給」だと、給料のほとんどを生活費にあてることになり、貯金ができないことも。とくに家賃は毎月の出費の中でも大きいもの。実家暮らしでは問題ありませんが、一人暮らしで「薄給」の場合は大きな負担になります。もちろん「薄給」だと、貯金だけではなく、日々の生活でも節約をしなければいけなくなることもあるでしょう。
2:ライフイベントに支障が出やすい
結婚や育児、介護など、人生では様々なライフイベントが訪れます。「薄給」だと、貯金ができないため、こうしたライフイベントに支障が出てしまうことも。例えば、マイホームの購入や、子どもの学費、親の介護費用などにあてるお金がなく、妥協したり、諦めるしかなくなります。
3:年収が上がらない
「薄給」ということは、会社自体に利益が出ていないことが考えられます。そのため、いくら頑張ったとしても昇給やボーナスがないことも。年々業績が上がっている会社なら年収アップも期待できますが、「薄給」が続くようであれば、年収アップは期待できないでしょう。
「薄給」を抜け出すには?
「薄給」を続けていると、生活が苦しくなってしまうこともあります。ここでは、「薄給」を抜け出すためのアイデアを紹介ししょう。
1:副業をする
働き方が多様化してきた今では、副業OKの会社も増えてきています。もし自分の会社が認めているのであれば、副業ならすぐに収入アップが可能です。副業には、専門的なスキルがなくてもできるものや、すきま時間にネットを使ってできるものなどもあるので、一度検討してみてはいかがでしょうか?
2:転職をする
「薄給ホワイト」の会社であれば、副業の時間を確保できますが、「薄給激務」の会社であれば、難しいですよね。そうした時に「薄給」を抜け出すには、やはり転職しかありません。転職をして、年収が倍になったというケースも少なくないもの。給料アップの見込みがなければ、早めに見切りをつけて、転職を考えてみるといいでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「薄給」の類語には「安月給」「困窮」などがあります。「安月給」とは「やすげっきゅう」と読み、その漢字の通り「月給が安いこと」という意味です。「薄給」は「安い給料のこと」をあらわすので、まさに言い換え表現といえるでしょう。
また、「困窮」の読み方は「こんきゅう」。意味は、「貧乏で生活に苦しむこと」「困り果てること」。「薄給」とまったく同じ意味ではありませんが、1つ目の意味が、「薄給」の人の状態をあらわすのにぴったりです。
最後に
「安い給料」をあらわす「薄給」。デメリットばかりのようですが、「薄給ホワイト」であれば、プライベートを充実させられるので、ワークライフバランスをとりながら働いていけるというメリットもあります。しかし、転職や副業に踏み切る前に、自分は仕事に何を求めているかを一度考えてみるといいでしょう。
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