目次Contents
この記事のサマリー
・「参加させていただきます」は招待や許可への感謝を込めた敬語表現です。
・二重敬語ではなく、謙譲語・丁寧語の正しい組み合わせです。
・ビジネス、就活、結婚式など、幅広い場面で使えます。
フォーマルな場面で招待を受けたとき、多くの人が「参加させていただきます」と返します。丁寧な表現ですが、正式な招待だからこそ、相手にとって心地いい返信として使えたらより素敵ですよね。
この記事では、「参加させていただきます」の成り立ちを理解し、場面別にふさわしい使い方や言い換え表現、英語表現まで幅広く解説します。
「参加させていただきます」は正しい敬語? 意味と成り立ちを確認
「参加させていただきます」は、ビジネスメールや、結婚式の返信、就活でのやりとりなど、幅広いシーンで用いる言葉です。最初に敬語の成り立ちを理解し、自信を持って使えるように整理しましょう。
「参加させていただきます」の成り立ちと敬語の種類
「参加させていただきます」は、以下の3つの要素で構成されています。
「参加」:ある行事や活動に加わること。
「させていただく」:自分の行為が相手の許可や恩恵によって成り立つ場合に使う謙譲語。
「ます」:丁寧語。
「〜させていただく」という言葉については、過剰な敬語として回りくどく感じる場合がありますが、この場合は本来の使い方に沿った、正しい表現です。
「招待してもらったことに感謝しつつ参加する」という気持ちを含めて伝えることができ、違和感のない表現です。

「参加させていただきます」は二重敬語?
「参加させていただきます」は、二重敬語ではないかと心配する声を耳にすることがあります。二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねてしまうことです。
「参加させていただきます」について構造を分解すると、
「させていただく」=謙譲語
「ます」=丁寧語
と、異なる種類の敬語が組み合わさっているため、正しい使い方であり、二重敬語ではありません。
参考までに、二重敬語になる例を挙げましょう。
例えば「参上させていただきます」という表現です。「参上」がすでに謙譲語であり、そこに「させていただく」を加えると、同じ種類が重なるので、誤用になります。
この違いを知っておくと、自信を持って敬語を使い分けられますね。
「参加させていただきます」の使い方|場面別の例文集
「参加させていただきます」の使い方について、ビジネス・就活・結婚式の3シーンに分けて例文を見ながら確認しましょう。
ビジネスメール・会議参加の例
勤め先の上司や、取引先からの案内に対して、参加の意思と感謝を伝えるシーンの例文をご覧ください。
例文:
○○株式会社
△△様
先日は○○会議のご案内をいただき、誠にありがとうございます。
当日は予定通り参加させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ポイント:
・文章冒頭で招待や案内への感謝を述べる
・「参加します」よりも、「参加させていただきます」とすることで、招待を受けている立場を明確にできる
複数回のやりとりでは、繰り返しすぎないよう別表現(「出席いたします」など)に言い換えると丁寧ですよ。
就活や説明会の例
就活メールでは、参加の意思表示に加え、ビジネスメールの基本マナーを押さえることが重要です。
例文:
○○株式会社
採用ご担当者様
この度は会社説明会のご案内をいただき、誠にありがとうございます。
当日、参加させていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
ポイント:
・日付や会場情報がすでに案内にある場合は繰り返し不要
「参加」は集まりに対して用いる言葉です。面接や個別訪問の場合は「伺わせていただきます」や「参ります」が適切でしょう。

結婚式やフォーマルな場での例
招待状などへの返信は、よりかしこまった表現が求められます。
例文:
このたびはご結婚誠におめでとうございます。
喜んで参加させていただきます。末永くお幸せに。
ポイント:
・祝辞、招待への感謝を先に述べると丁寧
・招待状の返信では「出席させていただきます」でもOK
たとえ仲のいい友達だったとしても、カジュアルすぎる言葉(「行きますね!」など)は控えましょう。
「参加させていただきます」の言い換えのバリエーション
「参加させていただきます」は便利な表現ですが、場面や相手によっては、別の言い方に置き換えるほうが馴染みやすい場合があります。ここでは言い換え表現と誤用例について紹介します。
「出席いたします」
「出席いたします」は、学校の授業や会合などに出ることを意味する「出席」に、謙譲語の「いたします」が付いた言葉です。「参加させていただきます」と同様、招待してくれたことに感謝する気持ちと敬意を伝える返事になります。結婚式の招待状の返信においては、「出席させていただきます」がよく使われる表現です。

「謹んで出席申し上げます」
「謹んで」は、相手や行事に対する敬意を強く示す語です。結婚式や叙勲式など、特に改まった場に適します。
例文:「このたびは創立記念式典にご招待いただき、誠にありがとうございます。謹んで出席申し上げます」
「伺います」
「伺います」は、「聞く」「尋ねる」「問う」「訪れる」の謙譲語です。「参加する」という意志の表明としても使うことができます。「伺います」は、目上の人に招待された際の返事として使うことが多いでしょう。
「伺わせていただきます」に注意!
「伺う」は「訪問する」の謙譲語です。これに「させていただく」(謙譲語)と「ます」(丁寧語)を重ねた「伺わせていただきます」は、謙譲語が二重になり誤用となります。注意しましょう。
英語で「参加させていただきます」は?
「参加させていただきます」を英語で表現する場合、どのように言えばいいのでしょうか? 英語には、日本語の謙譲語のような敬語表現の概念がほとんどありません。そのため、ニュアンスはやや違いますが、英語においても招待されたことに対する感謝の気持ちを表現したフレーズがあるので、紹介しましょう。
“I would be happy to attend 〜”
招待を受けたことへの喜びと、参加の意思を丁寧に伝える表現で、会議や式典などフォーマルな行事に適しています。
例文:“Thank you very much for the invitation.I would be happy to attend the annual meeting on July 10th.”
(ご招待ありがとうございます。7月10日の年次総会に参加させていただきます。)
参考:『プログレッシブ ビジネス英語辞典』(小学館)
“looking forward to 〜”
「楽しみにしています」という前向きな気持ちを添えたカジュアルな表現です。友人同士や社内イベントなど、くだけた場面に向きます。
例文
“Thanks for inviting me! I’m looking forward to joining the team dinner next week.”
(招待ありがとう!来週のチームディナーに参加させてもらうのを楽しみにしています。)
“I’ll be there”
非常にシンプルで、口語的な返事です。招待メールやチャットで短く返すときに便利ですが、フォーマルな場では避けた方がいいでしょう。
例文
A: “Can you make it to the party this weekend?”
(今週末、パーティーに来られる?)
B: “Of course, I’ll be there!”
(もちろん、参加します!)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「参加させていただきます」に関するFAQ
ここでは、「参加させていただきます」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「喜んで参加させていただきます」は失礼になりませんか?
A. 失礼ではありません。
喜びを添えることで好印象を与えられます。
Q2. 上司からの業務命令に「参加させていただきます」と返すのは正しいですか?
A. いいえ。
この場合は「出席いたします」や「承知いたしました」が適切です。
最後に
「参加させていただきます」は、相手の招待や許可への感謝を込めながら参加の意思を伝える、汎用性の高い表現です。ビジネス、就活、フォーマルな場など幅広いシーンで活躍しますが、場面に応じた使い分けを意識することで、より品のある印象を与えられます。
敬語表現は、正しい形を覚えるだけでなく、相手や状況に合わせて選択できる柔軟さが大切です。今回紹介した例文や注意点を参考に、「参加させていただきます」を使いこなしてください。
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